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葛谷 和夫 院長の独自取材記事

くずやクリニック

(名古屋市名東区/本郷駅)

最終更新日:2021/10/12

葛谷和夫院長 くずやクリニック main

地下鉄東山線・本郷駅から徒歩1分、駅前のビルの2階にあるのが婦人科の「くずやクリニック」だ。院長の葛谷和夫先生は愛知県がんセンターに26年間勤めた経験を持ち、2005年に同クリニックを開業。豊富な経験を生かして、子宮がん検診を中心に、婦人科腫瘍の診断や治療などに力を入れている。日帰りで子宮頸部円錐切除手術ができる数少ない病院の一つでもある。診察にあたっては、特に問診に重きを置くとともに、画像を用いたわかりやすい説明を心がけているそうだ。また、手術に限らずそれぞれの疾患に関連した身体的・精神的なアフターケアを非常に大切にしているという。そんな葛谷院長に、医師になったきっかけや、正確な診断のために患者に要望したいこと、今後の展望などを語ってもらった。

(取材日2016年6月15日)

母の願いを受け止めて医師になることを決意

開業にあたり、この場所を選んだ理由をお聞かせください。

葛谷和夫院長 くずやクリニック1

地下鉄東山線の沿線でアクセスがいいので決めました。本郷駅のすぐ目の前なので患者さんからも好評です。また、がんセンター時代からお付き合いのある、お隣の丸茂病院の先生の紹介があったのも、ここに決めた大きな理由です。丸茂病院は乳腺専門病院なので、婦人科の当クリニックとはお互いに密接な関連性もあり、カバーし合うこともできますからね。開業してみると結果的には遠くからも患者さんに来ていただいており、たいへん有り難いと思っています。開業当初は、がんセンターで診ていた患者さんのフォロー、経過観察が圧倒的でしたが、現在ではがん検診のうち子宮がん検診を中心に、主に子宮筋腫や卵巣腫瘍、更年期障害などの患者さんを診ています。

愛知県がんセンターでは、どのような経験をしてこられたのでしょうか?

私は婦人科なので、主に子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がんなどを多く診てきました。中でも圧倒的に子宮頸がんが多かったですね。がん治療の基本は手術ですが、種類や進行状況によっては抗がん剤や放射線治療も使います。早期で縮小手術ができれば、それに越したことはありません。どういう治療をすると効果が高くて、患者さんの負担や治療に伴う有害事象が少ないかなど、色々な臨床研究をしました。治療は「適切な適応」と言って、やり過ぎても足りなくてもいけないのです。また、方法はあるのに技術の問題でやれないというのは、修練してできるようにしなければなりません。さらに術後の管理も重要で、いかに患者さんの苦痛をやわらげてあげられるか、リスクを減らしてリカバリーできるかを考えてやっていました。

医師になったきっかけを教えてください。

葛谷和夫院長 くずやクリニック2

うちは父親が医者とか親戚が医者とか、そういう家庭ではありませんでした。小さな頃は野球少年で当然のように野球選手に憧れていたし、高校時代は建築家になりたいと思っていたんです。しかし、母親から「(母親の)弟が医者になる希望を持ちながら戦死した。できればその遺志を継いで医者になって欲しい」という想いを聞かされて育っていたためか、いつの間にか自然と医学部に進む気持ちになっていたのです。医学部に入ってからは、子どもが好きなので小児科を専門にすることも考えましたが、私は手術が好きだったので、手術ができて内科的なアプローチもできる、そして患者さんの全体を診ることができる科はどこかと考えて、婦人科の道を選んだのです。

患者と家族のメンタルケアは必要不可欠

診察で心がけていることはどんなことでしょうか?

葛谷和夫院長 くずやクリニック3

言葉遣いにせよ、態度にせよ、患者さんを不快にさせないことです。患者さんは不安を持って来るわけですから、その不安をどう払拭し、軽減してあげられるか、それが医者の仕事だと思っています。そのためには、可能な限り正確な診断をすることが基本になります。診断をきちんとすれば、何をするべきかもはっきりします。理論的に説明されれば患者さんも納得できるでしょう。ただ、納得した上で治療しても、それで患者さんの症状が100%消えるわけではありません。治る病気とそうでないものがあり、ずっとつきあっていかなければならない病気もあります。その区別を、ちゃんと患者さんに伝えることが大切だと思っています。

他にも意識していることなどはありますか?

子宮頚部は自分では見えないわけですから、その状況を図で示すだけでは理解しづらいですよね。なので、できるだけ患者さんに理解してもらいやすいように、検査中のモニター画面を見せながら説明する、「可視化」を意識しています。超音波検査はもちろんのこと、子宮頸がん・子宮頚部上皮内腫瘍の診断の精密検査である組織検査などに不可欠なコルポスコープ検査も画面を通して説明し、その後、診察室で再度のモニター画面での供覧をすることで、より説明がわかりやすくなっていると思います。それ以外にも適宜カーテンの解放をしたり、看護師が声かけや手を握ったりすることで、少しでも患者さんの不安が軽減されるように努めています。

治療のアフターケアに関しては、何が重要だとお考えでしょうか?

葛谷和夫院長 くずやクリニック4

私はがんセンターに在籍した26年の間がん患者さんを診てきて、身体的なアフターケアとともに、いかにメンタルケアが大切かをしみじみ感じてきました。そこで、クリニック開設とともに臨床心理士による「こころの相談室」を併設してカウンセリングを行ってきたのですが、今はどうしてもカウンセリングを希望するごく少数の方にのみ続けている状況です。診察では、限られた時間内に出来る限り患者さんの悩みや不安を聞き出し、的確なアドバイスするように心がけています。できるだけ聞き取る、聞いてあげることが大切です。仮に答えが出ないとしても、話すだけで落ち着く人がたくさんいますから。特にがんの患者さんは、治療による後遺症や副作用もあり、長期的なケアが必要ですね。

子宮がん検診の受診率アップに尽力

スタッフは何人いらっしゃいますか?

葛谷和夫院長 くずやクリニック5

看護師と医療事務で13名います。皆んな一生懸命仕事をしてくれて感謝しています。普段は忙しくて、夜は8時に終わればいい方、遅いと9時過ぎになることもあります。だから仕事中は私語をする暇もなくて、なかなかコミュニケーションをとる余裕はないんです。ただ、年に3、4回くらいはスタッフとの飲み会をやっていて、そのときは、なるべく美味しいものを食べてもらうようにしています。今日も、後で近所のインド料理店に予約に行くんですよ。飲み会で行くのはだいたい決まっていて、今はほとんど焼肉屋か、中華料理ですね。焼肉屋は、BSE(狂牛病)で牛肉離れが起きたときも行っていたので、お店からたいへん感謝されて、今でも特別待遇なんですよ(笑)。

先生がこれからやっていきたいことを教えてください。

私は現在10年愛知県産婦人科医会の理事をさせて頂いて、悪性腫瘍関係を担当しています。簡単に言うと、がん検診の普及と啓発活動を。また、愛知県と名古屋市の子宮頸がん検診の精度管理の仕事にも関わせて頂いています。子宮頸がんの「HPV(ヒト・パピローマウイルス)併用検診」といって、従来の細胞診検査にHPVウイルス検査を加えることで、子宮頸がんとその前がん病態(異形成)の発見率が大きくアップし 細胞診のみでの見過ごしを減らす検診を推進しているんですよ。世界的にはこれが標準になってきており、今後日本でも一般化していくだろうし、そうあって欲しいと願っています。そして子宮がん検診の検診率を上げるのに少しでも役立てればうれしいですね。そのためにも、まずは私自身健康でいることが必要なので、少しでも運動しないといけないと。そういう理由で散歩を兼ねてゴルフに行っています(笑)。

医師の立場から患者さんに伝えたいこと、望むことはありますか?

葛谷和夫院長 くずやクリニック6

今の症状や悩みや知りたいことを整理して、きちんと医師に伝える準備をして受診していただけるとうれしいですね。患者さんの中には、ただただ不安でいっぱいになって来られ、例えば自分の飲んでいる薬の名前もわからないし、どんな治療をいつ、どのくらいの期間やったのか、その結果がどうだったか答えられない人も少なくはありません。それではこちらも患者さんの様子がよくわかりません。「診断は問診で決まる」とも言われます。出来る範囲でいいので、自分の症状や他の医療機関の受診歴、薬歴などを整理して伝える事をお願いします。飲んでいる薬を覚えていられない方は、「お薬手帳」だけでも持ってきてください。そうすることで医師の方もより的確にまた正確にまた効率よく診断ができ、より効果的な治療ができる一助になると思います。

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