橋本 恵介 院長の独自取材記事
はしもとクリニック
(生駒郡平群町/平群駅)
最終更新日:2024/11/14
近鉄生駒線・平群駅から徒歩約4分の国道沿いにある「はしもとクリニック」。院長の橋本恵介先生は、大学病院や総合病院で消化器疾患全般を学び、内視鏡検査の経験を豊富に積んできた医師だ。その専門性を生かし、同院では内視鏡検査をはじめ、生活習慣病など身近な内科的疾患の治療まで幅広く展開している。胃の内視鏡検査では患者自身に挿入方法の選択を委ね、大腸の内視鏡検査では患者の特徴を把握して次に生かすなど、一人ひとりの痛みの軽減のためにきめ細かな配慮をしている。「がんの早期発見はもちろん、当院を信頼して通ってくださる患者さんの健康管理全般をサポートしたい」と願う橋本院長に、同院の特徴や診療への思いを聞いた。
(取材日2024年9月12日)
内視鏡検査を軸に幅広い内科疾患に対応するクリニック
地域の様子や患者層を教えてください。
当院は幹線道路沿いにあり、交通量のとても多いところです。開業した2005年頃は、ここから南のほうは田んぼだけだったのですが、今はすっかり商店街に変わりました。ありがたいことに、近隣はもちろんのこと、北は生駒市内から南は王寺町や三郷町、斑鳩町など幹線道路沿いの地域の方々もたくさんいらっしゃいます。年代としては、一般内科は65歳以上の方が多く、内視鏡検査は下は20代といった若い方も受けに来られます。現在当院は、医師である私含め、看護師が6人、受付が8人の総勢15人体制で診療にあたっています。
消化器内科の道に進んだ理由と、その後のご研鑽について伺います。
内視鏡を使った画像診断や治療にとても魅力を感じ、消化器内科の医師をめざしました。大学を卒業後、大阪医科大学附属病院(現・大阪医科薬科大学病院)の第二内科に入局し、消化管や肝臓、胆嚢、膵臓などの消化器疾患と進行がんに対する化学療法や内視鏡検査を専門的に学びました。その後は大野記念病院や石切生喜病院などに出向し、現場で多くの内視鏡検査に取り組みました。特に印象深いのは肝胆膵領域の治療です。胆道結石による化膿性胆管炎などは緊急にERCP(内視鏡的逆行性胆道膵管造影)を行い、早急に胆道ドレナージの必要があるため、緊張感の中でも難易度の高い治療に挑戦できるやりがいもありました。その領域に長けた先輩の医師に教わりながら、一生懸命に取り組んでいましたね。大阪警察病院では、内視鏡的粘膜切除術などの治療も多く経験し、やりたかった内視鏡検査・治療の経験を存分に積めた、楽しい勤務医時代でした。
開業以降、クリニックの在り方を模索してきたそうですね。
開業当時、この地域には小児科も少なく、今よりも地域医療が充実していない状況でした。そんな中で、内視鏡など専門性の高いクリニックよりも、ご家族みんなで通っていただけるような「ファミリークリニック」が地域に求められるのではないか、と考えました。ですので、まずは一般内科を掲げながら、徐々に専門の消化器内科の領域にシフトしていこうと診療を始めたのです。一方で、この頃は経鼻内視鏡が登場した時期でした。当院でも早期に導入をしたことから、遠方の患者さんを含め来院される方も増えました。そのように内視鏡検査のニーズが高まる中でも、当院を信頼して通ってくださる方の内科的疾患の診療も変わらず行わせていただきました。これからも地域の方との人間関係を大切にし、内視鏡検査を軸としながらも、地域の方の健康管理全般をお任せいただけるようなクリニックでありたいと願っています。
個々の患者の要望や特徴に配慮した胃・大腸内視鏡検査
こちらの内視鏡検査の特徴を教えてください。
当院では、約5年ごとに先進の内視鏡に更新しています。2024年7月に新たに導入した機種には、AIを使った画像認識機能も搭載されています。精度にこだわった機種を求めるのには相応のコストがかかりますが、私たちもストレスなく検査を行えますし、何より疾患の早期発見のために定期的なアップデートは絶対に欠かせないと考えています。また、苦痛の少ない検査に努めるのは大前提ですが、当院の胃の内視鏡では、経鼻内視鏡・経口内視鏡の選択や鎮静剤の使用・不使用など、患者さん自身にお好きな方法を選んでいただいています。信頼してお越しいただいている患者さんに対し、できる限りご要望にお応えしたいと思っています。
大腸の内視鏡検査はいかがでしょうか。
大腸の内視鏡検査に関しては、検査後のおなかの張りなどの苦痛軽減のために、早くから内視鏡炭酸ガス装置を導入しました。また、何より人為的操作により苦痛が生じないよう、細心の注意を払っています。具体的には、おなかを切る手術をした方で入りにくかった箇所や、腸の長さ・伸縮の具合、「このような工夫をしたらスムーズだった」などの個人的な感触に至るまで、一人ひとりの大腸の特徴を詳細に記録して次の検査に生かすよう努めています。痛みの軽減のために鎮静剤を積極的に活用する考えもありますが、頻度は非常にまれなものの身体への危険がないとは言いきれません。もちろん患者さんのご要望を優先しますが、私の治療の技術の向上により患者さんのご負担を少しでも減らせることを、第一にめざしていきたいと考えています。
スタッフさんとのチームワークも重視されていますね。
はい。当院は病院勤務など経験豊富な看護師が多く、各自ができることを積極的に見つけて段取り良く動いてくれるので、とても助かっています。内視鏡検査の最中には私もお声がけを怠りませんが、看護師は常に患者さんの表情に注目し、手を握ったり背中をさすったりしながら、耳元で「楽にしてくださいね」「大丈夫ですよ」などとお話ししてサポートするよう努めています。一方受付では、開業当時から支えてくれているスタッフが中心となって切り盛りしてくれています。不安な気持ちでいらっしゃる患者さんはもちろん、製薬会社のMRなど外部の方に対しても円滑なコミュニケーションを図ってくれるので、「感じの良い受付ですね」といつもお褒めをいただきます。これからもチームワークを大切にして、安心できる雰囲気づくりをしていきたいですね。
常に医療知識のアップデートを欠かさない
一般内科の診療では、生活習慣病の治療が多いと伺っています。
はい。高血圧症や糖尿病、脂質異常症などの治療が多いです。一番気を配るのは、症状が悪化した時のサインを見逃さないことです。こちらとしては、こまめに採血を行うなどして察知したいと考えていますが、費用の面などから希望されない患者さんも多いため、現状無理に検査はお勧めしません。細かく症状を伺いながら、一人ひとりの患者さんに適した治療や取り組みやすい生活習慣の改善を提案するよう配慮しています。一方、呼吸器疾患や糖尿病など特にニーズの多い治療に関しては、外部の講習などに通って、常に知識のアップデートに努めています。先進の医療の情報を聞いたり志が高い開業医の皆さんと接したりすることで、とても刺激を受けますし、自分も患者さんのために頑張っていこうと身が引き締まりますね。
多くの患者さんが来院される中で、心がけていることを教えてください。
診療では、患者さんの理解度をよく観察しながら、その方に合わせたわかりやすい説明を心がけています。説明後はこちらから「わからないことはありますか」とお声がけし、質問しやすいように対応しています。また、お伝えしたように、私自身信頼して通ってくださっている患者さんに対しては、身近な疾患から内視鏡検査まで全部フォローしたいと願っています。おかげさまで内視鏡検査はもちろん、かかりつけ医院として何年も継続的にお越しくださる方がたくさんいらっしゃいます。お一人お一人を丁寧に診察したいと思う一方で、待合室でお待ちいただいている患者さんに対しては本当に申し訳ないと、もどかしい気持ちでいっぱいになります。できるだけ効率的な診療をめざしてまいりますので、ご理解いただけたら幸いです。
最後に今後の目標と地域の方へメッセージをお願いします。
今後も引き続き、内視鏡検査を継続的に受けてくださる患者さんの疾患の早期発見に注力していきたいと思います。内視鏡検査の実績は当院の信頼の証でもありますので、今までと同様に多くの患者さんに対応していきたいと考えています。同時に初心を忘れることなく、身近な疾患などで来られる方の健康管理もしっかりサポートさせていただきたいです。私ができることは何でも対応したいと考えていますし、必要があれば病院などのご紹介も適切に行ってまいります。お体のことで何か心配事があれば、どうぞお気軽にお越しください。