濱中 一将 院長の独自取材記事
浜中歯科クリニック
(世田谷区/梅ヶ丘駅)
最終更新日:2024/10/03
梅ヶ丘駅南口からすぐの「浜中歯科クリニック」。生まれも育ちも梅ヶ丘という濱中一将(はまなか・かずまさ)院長は、1995年に開業して以来、地域住民の口腔内の健康を守ってきた。総義歯を専門としているが、予防歯科、小児歯科など幅広い診療を行っている。「インタビューは苦手なんですよ」と気さくな笑顔で登場し、取材チームの緊張をあっという間にほぐしてくれた濱中院長。「何、照れているんですか!」と、冗談まじりのスタッフの声も飛び交うなど、取材中の院内には明るく温かな空気で満ちていた。なぜ、地域の人々が愛してやまないのか、小さな歯科クリニックの魅力にとことん迫った。
(取材日2024年8月26日)
生まれ育った梅ヶ丘で地域医療に貢献して約30年
まず、歯科医師を志したきっかけやご経歴を教えてください。
母方の祖父、2人の叔母、叔父が歯科医師で、親戚の集まりで歯の話をしているなど、歯科医師は身近な職業ではありました。小さな頃からプラモデル作りも得意でしたし、美術の成績もずっと5段階評価の5。母の応援もあり、手先の器用さも生かせるのではないかと志すようになったんです。日本大学歯学部入学後も、特に興味を持ったのは造形的なことができる補綴でした。卒業後は総義歯補綴科に残り博士号を取得するとともに、医局長も務めました。今でも非常勤講師として母校で学生さんたちの指導をすることもありますが、専門としてきた総入れ歯のニーズは年々減ってきていることもあり、寂しかったりもします。いずれ、総入れ歯の患者さんはいなくなってほしいと私も願っていますが、1人でも必要とする人がいる限り、知識と技術はしっかりと伝えていきたいです。
大学病院勤務を経て1995年に開業。長年、地域医療に貢献してこられました。
私は梅ヶ丘で生まれ育ち、すぐそばの商店街の店主などはだいたい顔見知りで、昔から家族ぐるみのお付き合いをさせてもらっている方も多いんですよ。地元の皆さんのために長年にわたって歯科診療を続けてこられたことを、心からうれしく思っています。患者層としては長く通ってくださっているご高齢の方が比較的多いのですが、新しく住み始めた子育て中のファミリーなども来院してくれていますね。当院は、乳幼児期の指導に強みを持つ歯科衛生士が在籍しており、離乳食の与え方など、子どもの歯に関する相談にも対応できることも強みとしています。お子さんのことでお悩みの方はぜひお気軽にご相談いただきたいですね。
最近はどのようなニーズの患者さんが多いのでしょうか?
ここ10年で予防歯科への関心が急速に高まったのを感じています。歯周病と糖尿病、心筋梗塞、脳梗塞、肥満、早産などとの関連を医科の先生方が伝えてくれるようになったからでしょうか。医科の先生から「治療の前にまずは口腔内をきれいにしてきて!」と指導を受けてきた患者さんや「クリーニングして口の中をきれいにしたい」という患者さんが増えた印象です。現在の比率は予防が6割、治療が4割ほど。当院には4人の歯科衛生士が、いずれもしっかりとしたスキルを持っているので、これから予防を始めたい方もご相談ください。また、治療では保険診療で白い詰め物も使えるようになったこともあり、「昔入れた金属の詰め物を取り替えたい」という方や「自由診療でも構わないので、できるだけきれいにしたい」と希望される方も増えました。審美的なニーズにもきめ細かに対応しながら、大事にしているのは見た目だけではなく根本的な治療をしていくことですね。
歯の寿命を伸ばすために根本的な治療を重視
根本的な治療とはどのようなものなのでしょうか?
例えば、審美性にこだわるとしても、きれいな詰め物やかぶせ物を入れさえすればいいだけの治療はしません。まず、根管治療を細心の注意を払って行います。根管治療は時間もかかりますが、基礎工事のようなものなので手は抜けません。患者さんにも、「どんなに美しい家でも、土台がしっかりしていなければ長持ちしませんよね」と説明して、ご理解いただいています。よくある「歯が痛い」というお悩みに対しても、痛みの原因をしっかりと把握し、根本的に治療するという堅実かつ良質な治療を追求しています。また、どんなに適切に作った入れ歯でも、使っているうちに痛みが出てしまうものです。そんな時も、不具合の根本原因をきっちりと突き止めて、患者さん一人ひとりに合わせた微調整を行っています。
患者さんが安心して治療に臨めるよう工夫していることはありますか?
感染症対策には開業当初から気を配ってきました。医療用の大型空気清浄機も新型コロナウイルス感染症の流行以前から導入しています。さらに、4台のユニットにはそれぞれ口腔外バキュームを配置。治療中にどうしても飛散してしまう唾液、血液、歯・詰め物・かぶせ物の削りかすなどを吸い込み、院内を漂うことのないようにしています。もう一つ、ずっと大事にしてきたのがインフォームドコンセントです。患者さんが不安なまま治療に進むことのないよう、説明にはしっかりと時間をかけています。基本的に患者さん一人につき30分の予約枠を取り、ご自身のお口の中の状態を適切に理解し、納得して治療を受けていただけるように心がけています。
診療の際に大切にしていることを教えてください。
常に、「医療は人と人」であることを忘れないでいることです。私はもともと「I love 人間」というタイプで、誰かとコミュニケートすることが大好きなんです。そんな特性を生かして、患者さんの目を見ながら訴えをさえぎることなく聞き、丁寧にお話しするように心がけています。もし、私自身が受診する側だったら、いくら電子カルテだからといってパソコンばかりを見ている医療者では不安です。質問もさせてもらえず、「薬を出しておきますね」と一方的に言われても少し不安が残ります。だからこそ、自分はそうならないように気をつけるようにしています。患者さんがお辞儀をしながら診察室を出て行くのを、私も頭を下げて「お大事にしてください」とお見送りするところまでが診察だと思っています。
訪れた人が笑顔になれる歯科クリニックであり続けたい
今後の展望についてお聞かせください。
歯周病の予防と治療にますます力を入れていきたいと思っています。歯周病は歯を失う大きな原因ですし、さまざまな全身疾患との関連性も高いので、健康寿命を伸ばすことにもつながりますからね。当院では外科手術をせずに、歯周ポケット深部の炎症を抑えるためのレーザー治療にも早くから取り組んできました。現在はネオジウムヤグレーザーを使用していますが、より用途が広いエルビウムヤグレーザーの導入を検討しています。また、補綴治療に関しては、印象材ではなく口腔内スキャナーで型採りする方法に変えていこうかと考えています。今後も、日々勉強を続けて新しい治療法を積極的に取り入れつつ、設備投資も続けていきたいです。
お忙しい毎日だと思いますが、休日はどのようにお過ごしですか?
小さい頃から体を動かすことが好きで、中学ではバスケットボール、高校から大学まではアイスホッケーをしていました。今はこれといってスポーツはしていませんが、同業の先生方と野球観戦をしたり、中学校まで一緒だった同級生たちと集まって、相撲を見に行ったり、飲みに行ったりもしています。そのうちの一人の娘さんがプロのボクシング選手になったので、応援にはせ参じることもありますね。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
地域で一番に愛されて、「歯の治療ができるだけじゃなくて、笑顔になれて、役立つ情報も教えてもらえる」と言われるような場所でありたいと、約30年にわたり診療を続けてきました。小学生だった患者さんが大学生、社会人になって、やがて自分のお子さんを連れてくるのを見届けるのは、スタッフ一同の喜びでもあります。結婚して引っ越しても、里帰りするように通ってくれる患者さんがいるのもうれしいですね。今後とも、地域に根差したかかりつけ歯科として頼りにしてもらえたらと思っています。定期的に通わなければいけない予防歯科だからこそ、緊張せずに受診したいという方! アットホームな雰囲気には自信があります。どんな小さなお悩みでも、ぜひ一度ご相談ください。