渡邊 和礼 理事長の独自取材記事
渡辺ファミリークリニック
(鹿児島市/上伊集院駅)
最終更新日:2025/09/11

上伊集院駅から徒歩圏内、松陽台の美しい風景を一望できる見晴らしの丘公園の近くにある「渡辺ファミリークリニック」。内科・外科・小児科と幅広い診療項目を設け、2005年に開院してから20年間、親子3世代で通えるかかりつけ医として地域を支え続けている。理事長の渡邊和礼先生は、大学病院や基幹病院の外科で、心臓血管・消化器外科手術を中心にあらゆる臓器の手術をこなしてきたキャリアの持ち主で、生まれ育ったこの地域に恩返しするためにクリニックを開業。地域に密着したプライマリケアを理念に、ちょっとした風邪症状から専門知識が必要な疾患まで、何でも相談できる存在をめざしている。「僕にとって医師の仕事は天職だ」と朗らかに笑う渡邊先生に、地域医療にかける熱意や今後の展望についてじっくり話を聞いた。
(取材日2025年7月30日)
親子3世代が気軽に相談できるファミリークリニック
窓から差し込む光が心地良い待合室ですね。設計時にこだわったポイントはありますか。

待合室は、明るく清潔感のある空間づくりを意識しました。天井を高くすることで、開放感を演出しています。また院内感染を防ぐため、一般的な内科疾患の方と感染症の疑いがある方の待合室を分けています。診療室も別々なので、血圧などの慢性疾患の薬などの処方を希望される方と、新型コロナウイルスやインフルエンザ、感染性胃腸炎など感染症疾患の方が隣同士で座ることはありません。院内のエリアごとに、空気清浄機も設置しています。昼休みごとの細かな清掃や、1ヵ月に1度の院内除菌清掃も実施しているので、どのような症状の方も安心して受診いただけると思います。
医師を志したきっかけや、開業までのキャリアをお聞かせください。
医療の道に進んだのは、医師の多い家系で生まれ育ったのが大きいですね。父、祖父、曽祖父もみんな医師で、自分も幼い頃から医師になるものだと思っていました。ロックが好きだったので、ロックンローラーになれたら一番良かったんですけど(笑)。医師の中でも外科を選んだのは、父が個人病院で手術をしていて、やはり医師になるなら外科がいいなと自然に思いました。大学を卒業してからは2年間、久留米大学医学部の第2外科で、その後は鹿児島大学の第2外科で研鑽を重ねました。その後は、鹿児島市内の医師会病院や医療センターなどの基幹病院で、心臓血管や消化器外科をメインに骨や脳以外の幅広い臓器の手術を行っていました。
数多くの外科手術をこなしていた中で、この地域で開業する道を選ばれたのはなぜですか。

40歳を過ぎた頃、地元である松陽台で一般的な診療をやってみたいと思うようになりまして。赤ちゃんからご高齢の方まで、地域の方々の役に立ちたいという思いからプライマリケアを掲げ、内科・小児科・外科と幅広い診療を提供することに決めました。プライマリケアとは病気やケガをした時に最初に受ける医療で、患者さまの全身状態を把握して、複数の診療科をまたぐ包括的な診療を提供することです。生まれた時からお世話になっている松陽台に恩返しをしたいと思っていたので、開業先はこの地域だけしか考えていませんでした。余談ですが、開業する際に内科と小児科を改めて勉強しましたが、医学の深さを実感しました。開業前が人生で一番勉強しました(笑)。
外科での経験を生かした診療で緊急性を見極める
クリニックの理念や診療方針を教えてください。

当院では、来院された患者さまは可能な限り診療するというのをモットーにしています。新型コロナウイルス感染症が流行してから、当院ではプライマリケアを行う地域のかかりつけ医として、感染症の疑いがある患者さまでもすべて受け入れることに決めています。また、内科や外科疾患だけでなく、心の不調で来院される患者さまもいらっしゃいますが、そのような方のお話も丁寧に聞くようにしています。患者さまお一人お一人と向き合うことを大切にしているので、待ち時間が長くなってしまうのは申し訳ないんですが、一生懸命診て、話を聞いてあげたいと思っているんです。大きな病院のような治療ができるわけではないけれど、来て良かったと思ってもらえる、地域の皆さまにとってそんな存在でありたいです。
患者さんの年齢層や主訴に特徴はありますか。
当院では予防接種なら0歳から、診療は2歳から100歳を超える方まで誰でも受診できるクリニックなので、赤ちゃんからご高齢の方まで幅広い年齢層の方がいらっしゃいます。患者さまの年齢層を平均すると、ちょうど30~40代くらいになるんじゃないかなと思います。50代以上の患者さまは、血圧やコレステロールなどの慢性疾患が多い印象です。また当院は、お子さまと保護者の方を同時に診療できるのが強みですね。例えば家庭内で感染症が流行ってしまった場合、当院ではファミリークリニックとして「家族丸ごと」診ることができますから(笑)。
長年基幹病院の外科医としてキャリアを積まれた、先生ならではの強みを教えてください。

緊急性のある疾患かどうかの見極めができる点ですね。当院では患者さまの症状に応じて、エックス線撮影、心電図、腹部エコー検査、一般採血などを行っています。エコー検査は、肝臓・胆嚢・膵臓などの大きさや形、石・腫瘤などの有無、甲状腺の肥大や動脈硬化などを診ることができます。触診や問診にプラスして、超音波で体内をチェックすることで、より的確な診断につながります。その診断も、外科の知識と経験があるからこそ、緊急性の有無などを高い精度で判断できると自負しています。緊急性がなければ症状の改善が期待できる薬を処方し、緊急性がある場合は即時に大病院を紹介します。長年市内の基幹病院で働いていたので、その症状に適した病院へ紹介する体制が確立しているのも強みだと思います。
プライマリケアの精神でどのような症状でも診療
医師として40年以上働く中で、どのような瞬間にやりがいを感じますか。

自分の治療や見立てがぴたりとはまった時は、やはりうれしいですよね。内科・外科・小児科と幅広い診療を行っている分、さまざまな症状の方がいらっしゃるので、それ相応の知識や経験が必要になります。だからこそ適切な治療を提供できて、患者さまが元気になられた姿を見られた時は、心からやりがいを感じます。歳を取って体力はどんどん落ちていますが、昔も今も医師の仕事に不満はありません。そうやって医師の仕事に集中できるのは、経営を支えてくれる妻や診療をサポートしてくれるスタッフのおかげです。病院外で必要な交流なども妻がフォローしてくれているので、本当に助かっています。
お忙しい毎日をお過ごしですが、休日に楽しまれている趣味やリフレッシュ方法はありますか。
最近は、1週間以内に放送された番組がいつでも日本中どこでも聴けるスマホアプリで、好きな時にラジオを聴くのがブームです。日本全国のラジオがいつ・どこでも聴けるんですよ。深夜の番組を昼間に聴くこともできますし。特に東京や大阪の番組が面白いですね。僕らのような中高年向けの番組も多いので、暇つぶしやストレス解消を目的に聞いてます。他にも、睡眠時間の確保は大切にしていますね。健康的な生活を送る上で睡眠は間違いなく大切な習慣なので、忙しい時でも欠かさず取ろうと意識しています。
最後に、今後の展望や読者へのメッセージをお願いします。

当院では現在、患者さま自身やご家族の力を借りて来院できる方なら誰でも診療するのをモットーにしておりますが、今後は訪問診療にもチャレンジしていきたい思いがあります。チャレンジというか、外来診療のみだった診療方針の切替ですね。当院に来院できない患者さまにも医療を届けることで、今まで以上に地域へ貢献していきたいです。当院はファミリークリニックなので、乳幼児からご高齢の方まで気軽にご来院いただけます。来院された患者さまに対しては、症状に関わらず診療を行いますので安心してご相談ください。「体調が優れないけれどどこで診てもらえばいいかわからない」という場合に、医療機関にかかる最初の窓口として利用していただけたらたいへんうれしいです。