鳥飼 泰彦 院長の独自取材記事
とりかい眼科白内障・緑内障クリニック
(松山市/宮田町駅)
最終更新日:2024/12/17

松山市宮西で長年親しまれてきた「とりかい眼科クリニック」が、松山駅近くの松山市愛光町へ移転リニューアルした。「とりかい眼科白内障・緑内障クリニック」として2024年10月3日より診療を開始した。リニューアル後の院長には、鳥飼治彦(とりかい・はるひこ)前院長の後を継ぎ、息子である鳥飼泰彦(やすひこ)先生が就任。2人の医師による診療体制が整い、より多くの患者の目の健康を支えるクリニックとして生まれ変わった。今回は新院長の泰彦先生に、注力している治療や診療の際に心がけていること、患者への思いなどをたっぷりと聞いた。
(取材日2024年11月14日)
白内障・緑内障の日帰り手術が可能なクリニック
移転リニューアルをされて、変更した点やこだわりのポイントを教えてください。

前院長の父である治彦からクリニックを引き継ぎましたが、父も現役で診療は続けています。私と父の2診体制になったことで、より幅広い疾患を診ることができ、患者さんの待ち時間の短縮にもつながるのではないかと考えています。今回の移転で一番変わった点は、1階ですべて完結するようになったことだと思います。前院は3階まであり、診察室、検査室、手術室などがフロアごとに分かれていたため、患者さんの移動負担がありました。移転後は1階のみのバリアフリーで、待合室から検査室、診察室、手術室への動線がスムーズで、受診しやすく働きやすい環境になったと思います。待合室や診察室にはステンドグラスや陶板などの装飾を施し、開院の時に頂いたお花も飾っています。広さも十分に取ることで、リラックスして過ごしていただける空間をめざしています。車いすもご用意していますので、お体の不自由な方、ご高齢の方も安心してご来院いただきたいです。
注力されている診療について教えてください。
市立宇和島病院での勤務医時代から専門としてきた緑内障の治療には、今後も注力したいと考えています。緑内障は、主に眼圧が上がる(目が固くなる)ことが原因で視神経が障害され、視野が狭くなっていく病気です。眼圧を下げることで視野障害の進行抑制をめざすことが、現時点での唯一の治療です。神経の病気ですので、一度傷んだ視野を元に戻すことは不可能です。緑内障の患者数は40歳以上の5%、70歳以上の10%といわれており、年齢とともに罹患率が上昇します。放置すると視神経が傷むので、いかに早い段階で診断し早期治療につなげられるかが鍵となります。緑内障の治療で一番大切なのは、治療を継続して行うことです。通院が途絶え点眼が途切れると、視野障害が進行する可能性が高まります。通院が負担になると、離脱率も上がりますので、当院では2診体制で待ち時間の短縮を図り、土・日も診療するなど通いやすい環境づくりに努めています。
日帰りの緑内障手術にも対応されているそうですね。

緑内障の治療の基本は点眼での眼圧コントロールを図ることです。点眼でのコントロールが難しい場合は、手術の選択肢を提案しています。緑内障の手術は勤務医時代にかなりの症例を経験させていただきました。緑内障の手術デバイスはどんどん進化し、多岐にわたっていますので、日帰り手術で対応できる幅も広がっています。所要時間は軽度の手術ですと5~10分程度、手の込んだ手術では1時間ほどとさまざまです。幅広い種類の緑内障の日帰り手術が可能なクリニックは、県内でも数少ないと思いますので、患者さんのニーズにお応えできるのではないかと思います。また、当院では対応が難しい症例に関しては、総合病院の先生方に相談し、連携しながら治療に臨んでいきます。
患者の意思を尊重し、望む「見え方」に寄り添う
診察の際に心がけていることはありますか?

医師からの一方通行にならないように心がけています。確かに、医師の立場からこの患者さんにはこの治療がベターというのはありますが、押しつけるようなことはしたくありません。やはり最終的には患者さんとご家族さんの意思が大切。もはやお医者さまの言うことは絶対という時代ではありませんから、よほど緊急のことでない限りは、患者さんの決定を尊重しています。というのも、見えるも見えないも、本来はご本人の自由なはずなんですよね。望む見え方も、一人ひとり違います。患者さんが生活のどんなことに困っていて、どんな見え方を望んでいるか。しっかりとヒアリングを重ね、一緒に病気について考え、納得していただける治療をご提供したいと考えています。
患者への説明を大切にしているのですね。
もちろんです。目は患者さんが治療の効果をダイレクトに実感する部位ですから、認識のずれがないように、できる限り説明を尽くしています。とはいえ、私たち医師がすべてをお伝えするには時間が限られており、ジレンマを感じることもありました。そこで、勤務医時代の先生にも監修をいただきながら、白内障手術の説明動画を作ったんです。手術の説明を動画で見える化することで、わかりやすさもアップするのではないかと期待しています。患者さんには、カウンセリングルームでご家族と一緒にリラックスしてこの動画を見ていただき、ご不明点や不安なことを私に相談していただくようにしています。
印象深い患者さんとのエピソードはありますか?

前職では、市立宇和島病院に眼科医師として6年半勤務していたのですが、患者さんには本当に良くしていただきました。私が松山に移転開業することをお伝えした時も「近くで開業してくれたら行くのに」といった言葉をかけてくださって。中には「鳥飼先生に診てもらいたいから」と宇和島からわざわざ松山まで来てくださる患者さんもいらっしゃるんです。地域の方々と信頼関係がある程度は築けたのかなと、本当にうれしく、ありがたく思っています。
内科と外科の両面から患者をトータルで支える眼科医療
医師を志したきっかけについて教えてください。

父が眼科医ということもあり、高校時代に医師をめざすことにしました。愛媛大学医学部で一通り学ぶ中で、最終的に眼科を選んだのは、内科的治療から外科的治療まで、すべて眼科で完結できることに魅力を感じたからです。内服、点眼、手術などさまざまな治療の選択肢を持って、患者さんの病気をトータルで管理ができるというのは、眼科の醍醐味だと思います。
現在までのご経験について教えてください。
愛媛大学医学部を卒業後、同大附属病院での研修、勤務を経て、前述のとおり、市立宇和島病院に眼科医として勤務しました。そこでは、眼外傷や急性緑内障発作、網膜剥離などの急性期の病気に加え、専門の緑内障・白内障の手術といった、さまざまな臨床経験を積ませていただきました。週に一度、関連病院の吉田病院で診療を行う日があったのですが、そちらは地域のクリニックのような病院でしたので、定期的に経過観察が必要な慢性疾患の患者さんをたくさん診てきました。ですから、宇和島での勤務時代に、総合病院の先進的な眼科医療と、地域に根差したクリニック的な診療の両方を経験できたことはすごく良かったと思います。
お休みの日はどのようにお過ごしでしょうか? ご趣味などがあればお聞かせください。

中学時代から陸上競技をしていまして、短距離走が専門だったのですが、今でも走るのは好きですね。種目は100mから400mまでやっていました。大学時代は勉学よりも陸上に打ち込んでいて(笑)。西日本の医学生が参加する総合体育大会では4×100mリレーで優勝したこともあるんです。なので、できれば休日は体を動かしたいなと思っています。あとは家族の時間ですね。3歳と0歳の子どもたちと過ごすひとときが癒やしです。
最後に、患者さんへのメッセージをお願いします。
目の健康を維持するためには、定期検診が欠かせません。特に40歳以降は緑内障の発症リスクが高まり、さらに60歳以降では白内障が原因で視力低下を感じる方も増えてきますので、こうした病気の早期発見のためにも検診が重要です。当院は、患者さんが目に不調を感じた時、不安なことがある時、気軽に足を運べる身近なクリニックをめざしています。そして、年齢ごとのリスクに対応した検診を通じ、患者さんの目の健康を末長くサポートしていきたいと考えています。土日診療も行っていますので、どうぞ気兼ねなくご来院ください。
自由診療費用の目安
自由診療とは多焦点眼内レンズを用いた白内障手術/20万円~