中村 良司 院長、中村 佳司 先生の独自取材記事
中村歯科
(土岐市/土岐市駅)
最終更新日:2025/06/20

JR中央本線の土岐市駅から徒歩約4分の閑静な住宅街に立つ「中村歯科」。1946年開院の歴史あるクリニックで、2002年に道を挟んだ向かいに新築移転した。診療を行うのは、院長の中村良司先生と息子の中村佳司先生。良司先生は、東京医科歯科大学で文部教官教育職を務めた後に、矯正治療を中心に技術を磨いてきた。佳司先生は、日本歯科大学歯学部歯学研究科で学び、東京などで勤務医として研鑽を積んだ後に帰郷。同院での診療の傍ら、歯科関連の講演会への登壇などにも大きなやりがいを見出しているという。地域医療の一翼を担うべく尽力する両先生に、土岐市で新たに始まる歯科検診事業のことなどについて詳しく話を聞いた。
(取材日2025年3月27日)
エビデンスに基づく、先を見据えた矯正治療が強み
まずは御院についてご紹介ください。

【佳司先生】診療内容は一般歯科と矯正歯科がメインで、父が矯正歯科を担当し、私が一般歯科と矯正歯科を担当しています。祖父の代から定期的に通ってくださるご高齢の方や、矯正治療に来るお子さんや学生さんなど、幅広い年代の患者さんがお越しになっています。市内だけではなく、恵那市や中津川市、愛知県の名古屋市から通院される方も少なくありません。セカンドオピニオンを受けに来られる方もいらっしゃいます。
続いて、診療の特色についてお聞かせください。
【佳司先生】一般歯科では、患者さんご自身の歯をできるだけ長持ちさせるために、削る量を最小限にすることをめざしています。高齢になった時、自分の歯で噛めるということが全身の健康にもつながるためです。また、金属アレルギーを考慮し、メタルフリー治療に力を入れています。虫歯治療の際は、コンポジットレジンという、保険適用の白いプラスチック素材で修復することが多いですね。
【良司先生】顎関節症の患者さんも相談にいらっしゃいます。原因は、形態的な異常や機能的な問題など複合的ですが、症状としては、開口障害、痛み、雑音があるなど多種多様で、すべてにおいて総合的な検査・分析・診断をもとに、関連学会のガイドラインに準じて治療を行っています。マウスピースを用いるほか、体全体の緊張を改善させるためのストレッチを取り入れるなど、症状に応じて行っています。
矯正治療ではどのようなことを大切にされているのでしょうか。

【良司先生】私は東京医科歯科大学に11年間籍を置いて矯正歯科の研鑽を積み、学生にも指導してきました。矯正治療は、歯をきれいに並べることだけが目的ではなく、顎・顔・頭の成長発育を考慮した上で、正しい歯の位置と傾きにし、結果としてきちんと噛み合うようにしていくことが重要です。成長の度合いには個人差がありますから、一人ひとりタイミングを考慮して適切に治療していくことが大切ですね。当院ではその場限りではなく、先を見据えて治療計画を立て、実践することを大切にしています。
【佳司先生】父も言うように、矯正治療では適切な時期に適切な治療を行うことが非常に重要です。これを見誤ると、時間も費用も無駄にかかってしまうことになりかねません。そこで当院では、エビデンスに基づいた矯正治療をご提供することを大事にしています。
最近は、大人の矯正治療も増えているそうですね。
【佳司先生】ええ。成長期のお子さんや若い方に比べると歯の動きは遅くなりますが、いくつになっても始めるのに遅すぎるということはありません。私の祖母も70歳で部分矯正をしたんですよ。矯正治療に興味はあるものの一歩踏み出せない、お子さんと一緒に矯正治療を受けてみたいという方は、ぜひご相談いただけたらうれしいですね。
【良司先生】今では目立ちにくいセラミック製の装置や透明に近い目立ちにくい装置もありますし、ワイヤーを歯の裏側に取りつける方法もあります。ワイヤーにかけるゴムを自分好みの色にするなど、楽しみながら治療に取り組んでいただけると思います。
東京で培った技術や経験を生かし、地域医療に力を注ぐ
患者さんに接する際は、どのようなことを大切にされていますか。

【佳司先生】基本的には自分の身内のように大切に思って接しています。どれだけその人のことを思って診察できるか、説明できるかが大切ではないでしょうか。お互いに意思疎通ができない限りいい治療はできないと思いますし、そのためには説明にも時間を取る必要があります。なるべく患者さんが理解しやすいように例え話なども交えて、コミュニケーションを図るようにしていますよ。お子さんの場合は、歯科医院への受診がトラウマにならないよう、無理強いはせずにその子の自主性を尊重して対応するようにしています。
【良司先生】私はお子さんに対しては目線を合わせ友達感覚で、高校生以上からは大人の扱いで接するようにしています。
良司先生はなぜ歯科医師になり、矯正をご専門にされたのですか?
【良司先生】歯科医師になったのは、実家が歯科医院だったことが大きな理由です。もともと矯正治療に興味があり、大学卒業後に矯正の研究室に入ってからはもっと面白くなりました。私が在籍していた大学が、歯の表面に直接接着する装置の開発を行っていたため、当時としては新しいさまざまな情報にふれて学ぶことができました。矯正には、病理的な要素、成長発育、生理的な顎運動、材料や機材などの知識が必要で、それらをすべて臨床に生かせることが魅力です。知識とテクニック、そして美的センスが問われる治療だと思います。
佳司先生はいかがでしょうか。

【佳司先生】私も大学病院などで歯科医師として働く父の姿を見て育ったので、自然に歯科医師になるものと思っていました。大学に進学したら勉強が面白くなって、大学院にも進みました。とても大変な4年間でしたが、病理学講座を選んだ結果、論理的に話や文章をまとめる能力が身について、現在の診療や講演会などでも役立っています。その後、地元である土岐市に帰ってきて、自分の技術を磨くことに集中しようと考えたこともありました。でも、都会ではなく、土岐市のような地域だからこそできることがたくさんあることに気づき、地域医療の一端を担うことの重要性を感じたのです。そうして歯科医師会の仕事などを通じ、広い視野から地域の皆さんの口腔内の健康を支えたいと思うようになりました。
行政と歯科医師会が連携し、新たな歯科検診事業が始動
行政と歯科医師会で新たな取り組みがスタートするそうですね。

【佳司先生】ええ。行政と土岐歯科医師会が手を携え、新たな歯科検診事業に取り組むことが決まりました。2025年4月から、16歳から74歳までの市民の方は、歯科医師会に所属する歯科医院で歯科検診と基本的な清掃を無料で受けていただけるというものです。実は土岐市は、学校歯科検診が高いレベルで行われている上に、75歳以上の方には、「ぎふ・さわやか口腔健診」というものがあります。しかし、その間の年齢の方には、きめ細かにアプローチできていないという現実がありました。私はその点に着目し、狭間の年代にもアプローチして幅広い世代の口腔内の健康づくりに力を入れていくべきだと考えたのです。国は、生涯を通じて国民の口腔内の健康を守るために「国民皆歯科健診」を推進しています。そういった背景もあり、歯科医師会を通じて行政の担当者に提案する機会を得ました。その結果、市長にもご賛同いただいて実施できる運びとなったのです。
定期的な歯科検診は、どの年代においても重要ということですね。
【佳司先生】ええ。お仕事などで忙しく、なかなか歯科医院に行く時間がないという方も少なくないでしょう。けれど、痛みや違和感などの自覚症状が出てから歯科医院に行って治療となると、時間もお金もかかって患者さんの負担が大きくなってしまいます。そうならないように定期的に歯科検診を受けていただければ、異変に早く気づけますし、処置が必要だとしても軽く済むことが多いです。ぜひ新たに始まる歯科検診事業を利用して、口腔内の健康チェックをしていただけたらと思います。
最後に、読者へのメッセージをお願いいたします。

【良司先生】今後も、患者さんとの信頼関係を大切に、エビデンスに基づいた質の高い矯正治療をご提供したいと思っています。
【佳司先生】治療が終わったらそこで終了ではありません。継続して検診を受け、クリーニングなどを通じて歯のメンテナンスを続けることが重要です。美容院に行って髪の毛をきれいにするのと同じような感覚で、口腔内をきれいにするために歯科医院を気軽に利用していただけたらと思います。
自由診療費用の目安
自由診療とは矯正治療/80万円~