マウスピース型装置に注目が集まる今
正しく知りたい矯正のこと
しみず矯正歯科クリニック
(奈良市/高の原駅)
最終更新日:2024/07/12
- 自由診療
従来からのワイヤー矯正やマウスピース型装置を用いた矯正など、選べる装置や素材が増えたことで、矯正治療は以前よりも身近な治療になっている。特に最近は、インターネットやSNS上で手軽なマウスピース型装置を用いた矯正の広告をよく目にするようになった。見た目も目立ちにくい矯正法だが、実はこの矯正法によるトラブルも増加しているという。矯正専門の歯科医師としてこれまで多くの患者の治療を担ってきた「しみず矯正歯科クリニック」の清水美輝雄院長は、「正しい情報を持たないために、矯正に失敗する患者を1人でも減らしたい」との強い思いで診療にあたっている。矯正歯科のエキスパートである清水院長に、それぞれの矯正法の特徴や矯正を考えている人に知っておいてほしいことを教えてもらった。
(取材日2024年7月4日)
目次
メリットだけでなくデメリットも知り、矯正専門の歯科医師のもとで一人ひとりに合った矯正法を見つけよう
- Qマウスピース型装置を用いた矯正についてどうお考えですか?
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A
希望する方が増えている矯正法ですね。矯正そのものに興味を持つ人が増えるのは、とても良いことだと思います。しかし、その人にマウスピース型装置を用いた矯正が適しているかどうかは専門の歯科医師の診断のもとで見極めていく必要があり、「簡単そうだから」「SNSで少ない費用でできると宣伝していた」などの理由で安易に選ぶのはとても危険です。噛み合わせや口の状態は千差万別。それぞれに合った矯正法を選ばなければ、かえって歯並びが崩れてしまったり、すぐに後戻りしてしまったりといったトラブルにつながりかねません。実際、この矯正法が適している患者さんは少ないと私は考えています。
- Qマウスピース型装置を用いた矯正では症例が限られるのですね。
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A
必ずしもその矯正法が悪いというわけではありません。症例を選ぶものの、マウスピース型装置を用いた矯正のほうがきれいに歯並びを整えられることが望める場合もあります。また、場合によってワイヤーとマウスピース型装置を併用して矯正を行うこともできます。マウスピース型装置は、ワイヤーと比べてあまり目立たず、食事や歯磨きの際には取り外すことができるため、矯正中に虫歯や歯周病になるリスクが低いなどのメリットもあります。重要なのは、ワイヤー矯正とマウスピース型装置を用いた矯正のどちらも行っている矯正専門クリニックを選ぶこと。そして、経験のある歯科医師のもとで自分に合った矯正法を決めていくということだと思います。
- Q一般歯科と矯正専門のクリニックはどのように違いますか?
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A
一般歯科で矯正を行っている場合、一般歯科を専門にしながら矯正も学んだという先生が多いです。それに対して、矯正専門のクリニックは矯正に関して知識や技術を突き詰めてきた歯科医師が診療しています。長年の経験と実績があるため、矯正を専門とするクリニックのほうがより多くの症例に対応できると言えるでしょう。矯正においては、始める前の診断とそれに基づいたゴールまでの計画が何よりも大切です。最初の診断が間違っていては、誤った矯正法を選んでしまう恐れがあるからです。より適切な診断につながるという点で、矯正専門のクリニックのほうが患者さんも安心して矯正を受けられるのではないかと思います。
- Qこちらで行っている矯正の特徴を教えてください。
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A
矯正は終わるまでに年単位の時間がかかりますし、患者さん自身の努力も必要になります。そのため、できるだけ患者さんにとって負担が少ない治療をめざしています。その一つが、ワイヤー矯正で採用しているセルフライゲーション型のマルチブラケット装置です。従来のワイヤー装置は、細い針金やゴムでブラケットとワイヤーを結束するのが一般的でした。このセルフライゲーション型は開閉式のキャップを用いてワイヤーを固定するため摩擦抵抗が少なく、従来のワイヤー装置よりも早く矯正を進められることが期待できるのが特徴です。適度な力をかけていくので痛みも軽減され、歯や歯周組織に対しても負担の少ない装置になっています。
- Q矯正後にしっかりメンテナンスに通うことも大切ですね。
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A
そうですね。矯正が終わった後も、しばらくの間保定装置を装着する必要があります。基本的には毎晩、この保定装置をつけて寝てもらい、歯科医院にも定期的にメンテナンスに通ってもらいます。後戻りを防ぐために、保定装置の着用やメンテナンスにはしっかり取り組んでもらいたいですね。そういった意味でも、クリニック選びの際には信頼できるだけでなく、通いやすいクリニックを見つけることも大切です。進学や就職、引っ越しといった今後のライフイベントを考えた上で、使用頻度の高い公共交通機関の沿線上で探すなど、長く通えるクリニックを探してみてください。
自由診療費用の目安
自由診療とはマウスピース型装置を用いた矯正/90万円~、ワイヤー矯正/80万円~
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。