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古井 倫士 院長の独自取材記事

古井脳神経外科

(名古屋市中区/栄駅)

最終更新日:2026/09/17

古井倫士院長 古井脳神経外科 main

「古井脳神経外科」は、栄の中心部に立つビル6階にある。2~9階までを占める「エスエル医療グループ」35の診療所のうちの1つであり、2004年に開院した。古井倫士(ふるい・ともお)院長は、名古屋大学大学院修了後、同大関連病院などで多くの手術に携わってきた。現在は、頭痛の診断、治療を主とし診療にあたる。「正しい判断と正しい治療がまず基本。患者さんが納得するよう頭痛の理由を説明します」と話す。40年近く臨床に携わってきた高度な医療技術と知識、経験からくる言葉は、安心して治療を任せられる重みがある。脳神経外科というと近づきがたいイメージがあるが、誰でも経験のある頭痛、心配な時は気楽に相談してみたい。

(取材日2016年5月10日)

頭痛の治療が専門。患者の半数以上が緊張型頭痛

どんな患者さんが多く来られるのでしょうか。

古井倫士院長 古井脳神経外科1

私は頭痛の診断と治療を専門にしていますので、頭痛の患者さんが一番多く、脳梗塞や脳出血の術後の方も来られます。私の本を読まれたり、クチコミで来院される方もいらっしゃいますね。手足の動きが悪くなった、しゃべりにくいなどの患者さんは、CTで脳梗塞の状態を診て、さらに詳しい検査はMRIのある病院に行っていただき、手術が必要と判断した場合は大学病院や総合病院に紹介します。その他にも、転んで頭を打った方、外傷の方もいらっしゃいます。ここでは、脳神経外科が扱う疾患を正しく診断して、しかるべき治療をする、ということに努めています。

頭痛には、どんな種類がありますか。

国際頭痛学会では200種類ぐらいに分類していますが、多いのは一次性頭痛といって頭痛それ自体が病気のもので、患者の7~8割を占めています。中でも緊張型頭痛、片頭痛がその代表です。緊張型頭痛は、頭や首の筋肉が過剰に緊張して起こるもので、締めつけられるようなドーンとした痛みに肩凝りやめまいを伴うこともあります。片頭痛はズキズキ、ガンガンするのが特徴で、そのメカニズムに女性ホルモンが関係しているため、女性の割合が多いです。当院では患者さんの半数以上が緊張型頭痛です。二次性頭痛は、別の病気や異常の症状として頭痛が出現するもので、脳出血や脳腫瘍、女性ですと妊娠中毒症など重大な病気によるものもありますが、二日酔いや風邪のウイルス感染など日常的な出来事を伴うものもあります。

頭痛の原因はさまざまなんですね。

古井倫士院長 古井脳神経外科2

パソコンばかりやっていたら頭が痛くなったという場合、目を動かす筋肉の緊張が原因のこともありますし、歯の噛み合わせが悪かったり虫歯があったりすると、顎を上下させる筋肉にアンバランスな運動を強いることになり、頭痛の原因になったりします。まずは頭痛の外来を受診し、原因がわかってから眼科なり歯科を受診するといいですね。頭痛は種類によって薬も対処法も違いますので、まず頭痛がどのタイプか正しく理解する必要があります。来てすぐに「CTを撮ってください」と言う方もいますが、実はCTやMRIで撮らなくても頭痛の原因はわかる場合が多いんです。最初に検査ありきではいけない。医師は患者を診て、症状の原因を考える。その過程でCT、MRIを撮らないと結論が出ないというときに撮るんです。検査は、あくまで医師の側が必要だと思って行うものです。

正しい判断・治療のために患者が納得するように説明

検査以前に、先生は丁寧に患者を診ていらっしゃるのですね。

古井倫士院長 古井脳神経外科3

医師の診察は患者さんの状態を適切につかむことから始まります。どんな頭痛か、どうして痛むのか、医学的判断に基づいてきちんとわかるように話をすると、ちゃんと納得していただけます。それだけでも頭痛が治まることもあるんですよ。「出血していませんから大丈夫。帰ってください」では誰も納得しないでしょう。出血していないのに、どうして痛いのか、それはこういう理由でこういう頭痛が起きていると丁寧に説明するんです。病気というのは、原因がわかると安心するもので、それが一番重要です。なぜそれが起きているか明確にするのが医師の仕事。正しい診断、正しい治療、それが基本であり、私が最も大切にしていることです。

以前は手術を多くしていらっしゃったのですね。

かつて勤務していた名古屋大学関連病院や名城病院では、開頭して行うクリッピング手術をしていました。ときには夜中に呼び出されて行うことも。得意だったのは、頸動脈内膜剥離術です。心臓から脳に血液を送る大動脈である頸動脈が動脈硬化によって狭くなってしまったときに、それを「掃除」する手術です。血の塊や動脈硬化の破片が脳の血管に流れて詰まると脳梗塞になってしまうので、取り除いて血液が流れるようにするわけです。手術箇所の周囲3ヵ所をはさんで閉じて血液を止める必要があり、止める箇所のうち1つは、外頸動脈といって止めてもいいのですが、あと2ヵ所、手術箇所の両側に当たるところを止めると血液が脳に流れなくなる。だから、血管にバイパスとなる管を入れてそちらに血液を流しながら手術をするわけです。

とても高度な医療技術ですね。

古井倫士院長 古井脳神経外科4

上手な医師だと3時間ぐらいの手術です。当時はそのシャントというバイパスがアメリカ製の物しかなくて、血液を止めるのに血管をぎゅっと締めつけるので、血管壁を損傷する恐れがありました。それで私はいろいろ研究して、シャントの両側にバルーンをつけて、血管の中でそれを膨らませて血液の漏出を防ぐ技法を開発しました。それによって血液の塊などによって血管がふさがれてしまう塞栓(そくせん)の危険性も少なくなり、挿入が容易な細めのチューブを使うことも可能になりました。もう30年ほど前の話になりますが、現在もこのバイパスは頸動脈内膜剥離術で多く使われています。患者さんのためになっていると思うとうれしいですね。

「たかが頭痛、されど頭痛」心配な時は早めに受診を

多くの手術実績を上げられ、2004年にこちらに開院されたのですね。

古井倫士院長 古井脳神経外科5

このビルにはさまざまな診療科のクリニックがあり、ほかの科と連携できることが強みですね。消化器や循環器、内科のほうから、頭が痛いとか、手足の動きが悪いという患者さんが紹介されて来ることもありますし、こちらが紹介することもあります。例えば頭痛で来院されても実は精神的なことが原因で、頭は痛くないはずなのに「頭が痛い」と言う人もいます。身体表現性障害といって精神科が扱う領域なので精神科に紹介しますが、そういうケースもあります。しかし「たかが頭痛、されど頭痛」。気丈な人は我慢しやすいのですが、それまで頭痛の経験がほとんどなかったのに頭痛がするとか、頭痛持ちでもいつもと違う頭痛の時、頭痛が日を追うごとにひどくなる時、頭痛のほかに何か症状がある時など、心配があれば専門のクリニックを受診しましょう。

診療以外でのご活動を教えてください。

数年前に豊田市にサービス付高齢者住宅をつくりました。クリニックもあって、医師は別の人に頼んでいますが、ここの休診日には私も診察に行きます。当院にも高齢者の患者さんが増えており、こうした施設が必要かなという考えもありました。最近は、「私、認知症でしょうか」と心配して比較的若い方が来ることもあります。同年代と比べて何かおかしいとしたら問題ですが、私は80~90歳になって認知症になってもいいんじゃないかなと思います。本当に個人的な意見なんですが、喜怒哀楽がだんだん減って、記憶もおぼつかなくなって、自然に死ぬのがいい。私もいずれ徐々にそうなっていこうと思いますが(笑)、患者さんがいる限り、まだまだ頑張ります。

休診日も診察とはお忙しいですね。

古井倫士院長 古井脳神経外科6

日曜日は休むようにしています。気晴らしは、たまに居酒屋に行くぐらいでしょうか。最初にも言いましたが、本を何冊か出していて、趣味は文筆活動なんです(笑)。直近では2011年に、日本、東洋、西洋の古代から現代までの病気を巡ってのエッセイをまとめました。エスエル医療グループの機関誌には、歴史的人物をテーマに文章を書いています。例えばアインシュタインが1955年に亡くなった時、日本でも「タンノウ炎」と新聞で報じられましたが、文献を調べると肝炎だった可能性が高いなど医学的に見ると歴史からさまざまな物語が浮かび上がり、興味は尽きません。カルチャーセンターから講師の依頼も来ているので、わかりやすく頭痛の話をして、皆さんがご自身の体を理解する一助になればと思っています。