わきた歯科医院

わきた歯科医院

脇田雅文 院長

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「わきた歯科医院」の院長を務める脇田雅文医師は数多くの症例を扱っているインプラント治療のスペシャリスト。All-on-4(オールオンフォー)や静脈麻酔鎮静法など今、注目を浴びている治療も10年以上前から導入してきた診療への熱意と意欲あふれる医師だ。そんな脇田院長が2015年に『「食べる力」が健康寿命をのばす』(幻冬舎)という本を刊行した。なぜ食べる力が健康と関係あるのか。話を聞いていくと、高齢者の大きな死亡原因となっている誤嚥性肺炎や認知症の発症にまで噛む力が関係していることが実感できた。日常的に行っていることこそ、失われたときに払う代償は大きいのだ。今はまだ関係ない、と思っている読者にも知ってほしいエッセンスの詰まったインタビューとなった。脇田院長に噛む力の重要性について詳しく話を伺った。
(取材日2015年8月28日)

噛む力が健康寿命に大きく影響

―どんな患者さんが来院していますか?

インプラント治療を希望されて来院する方が多いです。岩手、岐阜などの遠方からいらっしゃる患者さんも多数います。現在、一番遠方は鹿児島から来ている方ですね。インプラントを希望される方の中には入れ歯が合わず、好きなものが食べられないことに悩んでいる高齢の方がたくさんいます。印象に残っているのは、20年前に治療した現在85歳の患者さんがメンテナンスで来院した時のこと。その間、一度がんの手術をしたそうですが、20年前にきちんとインプラント治療で歯の治療をしておいたので「食べる力」があったため、経管栄養だけでなくお口からの食事で栄養をしっかりととることができ、その結果早く退院することが出来、現在は元気に生活されているとのことです。インプラント治療で「食べる力」を保持していたことが自分の健康につながったことを実感しておられました。当院の患者さんは飲みこむ力が衰えませんから、健康寿命が延びているんです。私は100歳になっても患者さんに歩いて来ていただける歯科医院というのが理想です。

―先生のご著書も健康寿命にまつわる内容でしたね。

はい、『「食べる力」が健康寿命をのばす』という本を出しました。本書では飲みこむ嚥下(えんげ)の力に触れています。海老名歯科医師会に嚥下に詳しい歯科医師がいらっしゃったことがきっかけで、学ぶ機会が多く得られました。そんな矢先、私の85歳の父が交通事故に遭ってしまいました。骨盤だけでも3ヵ所骨折する大事故でした。医師の懸命な治療によって奇跡的に一命を取り留めたものの、2ヵ月間は集中治療室(ICU)で絶対安静の寝たきり生活。健常者が1週間寝たきりになっただけでも立ち上がるのが困難になると言われていますから、2ヵ月というとかなりの時間になります。こうなってくると、手足の筋力だけではなく、喉の筋力も落ちてくるんですよ。すると、食べるために使う筋肉が衰え、今まできちんと胃に入っていた物が肺に入る誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)が頻発するようになります。また、食べこぼすことが増え、寝ている間に胃から肺に逆流して入ってくる不顕性誤嚥(ふけんせいごえん)も起こします

―では交通事故受傷後、先生はお父様をどのようにケアしていったのですか?

2ヵ月間毎日父のもとに通って、歯ブラシ等で口の中をきれいにしたり、口腔周囲筋を鍛えるためにわざと咳をさせたり、「パ」「タ」「カ」「ラ」と発音させるトレーニングなどを行ってきました。なぜか「パ」「タ」「カ」「ラ」かというと、これらは健常者は簡単に発音できますが、口腔周囲筋が弱っていると発音できないことが多いんです。何回かトレーニングしてやっと「パ」と言えるようになる程度。しかしそれをしなければ決して良くなりません。こうした努力の結果、集中治療室(ICU)から父が出てきたとき、食べる力が衰えていなかったので父は胃ろうにならずにすみました。また、口の中をきれいにする刺激は大脳皮質も刺激することになり、認知症予防にも一役買いました。私は歯科医師だからそういったケアができましたが、それを知らずに不幸な結果となっている方も多いと思います。そういう方を1人でも減らしていきたいと思い、この本を書きました。

記事更新日:2016/01/24


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