波床 朋信 院長の独自取材記事
はとこクリニック
(香芝市/五位堂駅)
最終更新日:2026/10/30
近鉄大阪線・五位堂駅から徒歩4分のところにある「はとこクリニック」。京都大学医学部を卒業後、大阪赤十字病院や同大学大学院で糖尿病・内分泌疾患の高度な専門診療や研究に長年携わってきた波床朋信院長が、地域医療を支えてきた父の体調不調をきっかけに2023年に同院を継承した。同院では、高い専門性を要する糖尿病や甲状腺疾患の診療を中心に、日常の風邪症状や健康診断後の二次検査まで幅広く対応している。生活習慣病の診療においては一方的な禁止や制限をするのではなく、管理栄養士と連携した丁寧な食事のアドバイスなどで、患者一人ひとりに寄り添う「パートナー」としての医療を実践。同院の診療方針、糖尿病・内分泌を専門とする医師としてのやりがい、地域医療への想いなどについて、羽床院長に詳しく話を聞いた。
(取材日2026年9月19日)
父からクリニックを継承し糖尿病・内分泌診療に注力
医師をめざそうと思ったのはいつ頃ですか?

小学校2年生の時です。生まれは大和高田市の病院で、育ったのは隣の広陵町です。ずっとこの辺りで過ごしてきたので奈良の出身になります。父が医師なのですが、もともとは医師になりたいわけではありませんでした。むしろ父が忙しくて家に帰ってこず、年末年始もない状態だったため「絶対にならない」と心に決めていました。しかし、隣家の方が体調を崩された際、父が駆けつけて対応したことがありました。後日、そのご近所の方が「ものすごく助かりました」とお礼を言いに来られた姿を見て、「かっこいいな」と思ったのです。そこから自分もこういう職業に就きたいと思い、医師を志すようになりました。
内科の中でも糖尿病や内分泌の領域を選ばれた理由は何でしょうか。
一番は学問として面白かったことです。初期研修の実習で学ぶ中で魅力を感じました。糖尿病であれば膵臓、内分泌であれば脳の下垂体や首の甲状腺、副腎など、さまざまな臓器を診ることができます。また、負荷試験を行ってその結果をもとに治療方針を立てていく過程も面白く、自分の性に合っていたことが大きな理由です。インスリンもホルモンの一種であり、大きな意味では内分泌の中に糖尿病が含まれます。昔は「内分泌」として一つにまとめられていましたが、現在は全国的・世界的に糖尿病患者が非常に多いため、独立した領域として「糖尿病・内分泌」と表記されることが多くなっています。
独立や継承を意識されたのはいつ頃ですか?

自ら開業を意識したというよりは、父がここで約20年間クリニックを運営していたのですが、体調を崩して継続が難しくなり、「戻ってきてほしい」と言われたことがきっかけです。親孝行の一つになればと思い、戻ることを決めました。2012年から2018年までは大阪赤十字病院に勤務し、2018年4月からは京都大学大学院へ戻って研究を行っていました。そして2023年に当クリニックを継承しました。現在は父が理事長、私が院長という形で一緒に診療を行っており、父は診療ペースを落として残ってくれています。父は皮膚科などが専門で、私は糖尿病と内分泌を中心に診療を行っています。この地域は自分にとってホームタウンであり、帰ってきたという実感があります。
患者のライフスタイルに応じ一人ひとりに寄り添う診療
来院される患者さんの世代についてはいかがでしょうか。

糖尿病に関しては40代・50代から60代・70代の方がメインです。内分泌、特に甲状腺疾患に関しては、20代〜30代の若い女性が多く来院されています。幅広い年代の方に通っていただいていますね。糖尿病は一度診断を受けると、風邪のように「完治する」という概念はなく、長くうまく付き合っていく必要があります。一般的には、生活習慣の改善により、薬が不要な状態で生活を送れる方も多くいらっしゃいますが、悪化させないためには定期的な受診と生活習慣・食事の工夫が不可欠です。
患者さん一人ひとりのライフスタイルに応じた指導を行われているのですね。
はい。お薬の服用タイミングは生活リズムに合わせますし、当院には管理栄養士がおりますので、食事のアドバイスもともに行っています。働き盛りで時間がない世代の方でも無理なく続けられる範囲の運動や生活改善を一緒に考えていきます。患者さまの職業や家族構成、結婚・出産などの変化によってもアプローチが変わりますので、一人ひとりとしっかり向き合う診療を心がけています。
糖尿病・内分泌を専門とする医師としてのやりがいはどんなところにありますか?

糖尿病は自覚症状がない病気です。そのため、「症状がないのに通院や治療が必要な理由」や「数値改善が将来の心筋梗塞・脳梗塞予防につながる理由」をご理解いただくことが第一歩となります。その上で治療を継続して数値が下がり、患者さまご自身が喜んでモチベーションを高めていただけたら、私も本当に良かったとやりがいを感じられます。失明や人工透析などの重症化・合併症を防ぐことが最終的な目標です。しっかり継続して通っていただくことが大切ですね。
甲状腺疾患、バセドウ病や橋本病などの診療で気をつけていることはありますか?
バセドウ病や橋本病も継続的な治療が必要ですが、これらは食事や運動の影響を受けにくいため、適切なお薬の調整を行っていきます。特に若い女性や妊娠を希望されている方、不妊治療中の方には繊細な対応が必要です。不安を抱えておられることが多いため、治療の流れや安全性についてしっかり説明し、仕事のスケジュールなども考慮しつつ、安全性に配慮しながら最短で改善できるようサポートしています。
専門的な診療と内科全般の診療で地域医療を支える
患者さんとの信頼関係づくりで意識されていることはありますか?

「あれも駄目、これも駄目」と一方的に否定しないことです。例えば、果物を食べて血糖値が上がってしまった場合でも、否定すると本当のことを話してくださらなくなります。なぜ食べたのか、人からもらったのか、美肌のためなどといった背景を聞き、もらった物であればご家族に分けていただく、美肌目的であれば果物以外の代替案を一緒に考えるといった工夫を行います。なんとか血糖値が上がらないようにして今の生活を維持できる方法を一緒に考えますね。また、冠婚葬祭や旅行などのイベント時は楽しんでいただき、その前後の期間で調整してもらうなど、ストレスなく続けられるような生活習慣のご提案を意識しています。なるべく行きたくないと言われないようなクリニックをめざしていますね。
土曜日には「糖尿病教室」も開催されているのですね。
はい。通常の診察時間内ではお伝えしきれない日常的なテーマについてお話ししています。季節ごとに役立つテーマで開催していて、例えば、夏場に食べたくなるジュースやアイスの糖質量を具体的な商品名を挙げて比較したり、そうめんのつゆの塩分や熱中症対策飲料の選び方などを解説したりしています。
最後に、今後のクリニックの展望をお聞かせください。

橿原エリアにおいて、糖尿病や内分泌疾患の患者さまに満足していただける専門的な診療を提供し、ともに歩んでいける「パートナー」でありたいと考えています。また、風邪や一般的な健康診断の二次検査など、内科全般で何でも気軽にご相談いただけるクリニックをめざしています。当地域は再開発などによりファミリー層も増えておりますので、世代を問わず地域医療に貢献できるよう尽力してまいります。どんなことでも、お気軽にご相談いただけたらうれしいです。

