全国のドクター9,182人の想いを取材
クリニック・病院 158,625件の情報を掲載(2024年4月25日現在)

  1. TOP
  2. 大阪府
  3. 池田市
  4. 池田駅
  5. 蓮尾胃腸内視鏡クリニック
  6. 蓮尾 直輝 院長

蓮尾 直輝 院長の独自取材記事

蓮尾胃腸内視鏡クリニック

(池田市/池田駅)

最終更新日:2023/02/03

蓮尾直輝院長 蓮尾胃腸内視鏡クリニック main

阪急宝塚本線池田駅からほど近い便利な場所で、2022年8月にオープンしたのが「蓮尾胃腸内視鏡クリニック」。この地で長く親しまれた内科医院を、蓮尾直輝(はすお・ただてる)院長がそのまま継承。胃がんや大腸がんの早期発見を最大の目標に、長い勤務医人生から新たな舵を切った。数々の医療施設で専門性を高めてきた経歴の持ち主とは思えない、謙虚でやわらかな物腰が印象的な蓮尾院長。にこやかに話す表情から、地域を支えるホームドクターとしての矜持が伝わってくる。自ら開業してまで実現したかったものは何なのか、内視鏡検査や患者に対する熱い思いとともに、クリニックでのアプローチから将来に向けた展望までじっくり聞いてみた。

(取材日2022年9月21日)

内視鏡の技術をホームドクターとして生かしたい

こちらは古くからあった医院を継承されたそうですね。

蓮尾直輝院長 蓮尾胃腸内視鏡クリニック1

はい。ここはもともと三好内科という長く続いた医院で、院長の三好先生は父の大学時代の同級生で以前から面識がありました。その先生が退職されることになり、医院を継いでくれないかとお話をいただいたのがきっかけです。当時の私は内視鏡検査に精通している工藤進英先生が手がけられた大阪内視鏡クリニックの院長を務めていました。それから5年間、週1回は三好先生のお手伝いで診療や内視鏡検査をするようになり、昨年いっぱいで三好先生が退職され、医院を正式に継承。8月に名称変更して看板を掛け替えたというわけです。その後、お盆休みを利用して内装をリフォームし、いくつかの設備も新たに導入しました。

開業医への転身を決めた理由は何ですか?

大阪内視鏡クリニックには先進の技術があり、私も大いに学ばせてもらいました。ただ、内視鏡検査にあまりに特化しているせいで、このままだと内視鏡だけのスペシャリストになって、地域医療からどんどん遠のいてしまうという危惧を抱いたんです。私の父は78歳ですが、今も現役の開業医として地域に根差した内科診療を長く続けています。最終的に私が落ち着く先は、やはりホームドクターだと気づいたんですね。これまでの経験や技術を生かしつつ、自分の思い描く医療で地域の皆さんのお役に立っていきたい。そう考えるようになった時期に三好先生からお話をいただいたのはいいタイミングだったと思います。

開院から1ヵ月、現在の状況を教えてください。

蓮尾直輝院長 蓮尾胃腸内視鏡クリニック2

スタッフは三好内科から残ってくれた人員と新規採用やパートさんを合わせて総勢12人で、常勤の看護師が5人、受付スタッフが3人います。ドクターは基本的に私1人ですが、大阪内視鏡クリニックの現在の院長が手伝いに来てくれる時があり、私がそのクリニックを手伝うこともあります。患者さんは、やはり胃や大腸の内視鏡検査を前提とする方が中心で、ありがたいことに開業直後からかなり忙しい日々が続いています。基本的には朝一番で急なおなかの不調などの患者さんを診て、午前10時頃から一気に検査を行うのですが、午前中に診療を終えられることはほとんどありません。一般内科の診察がおろそかにならないように気をつけています。

苦痛と見逃しのない内視鏡検査で患者の命を守りたい

消化管内視鏡検査には、どのような意義がありますか?

蓮尾直輝院長 蓮尾胃腸内視鏡クリニック3

最大の目的は胃がんや大腸がんをできる限り早期に発見し、専門の治療施設につなげて患者さんの生命を守ることにあります。大腸内視鏡検査は40歳になったら必ず受けましょう。それでポリープが見つかれば1~2年後、なかった人も3〜5年に1回は内視鏡検査を受けてください。半日がかりになるので大変ですが、当院は三好先生の時代から広い処置室にトイレや施錠つきロッカーも整備されており、トイレつきの個室も新設し、女性でも安心して内視鏡検査が受けられます。下剤で腸内を空っぽにさえすれば、あとは基本的にうとうとしている間に検査は終わっています。小さなポリープはその場で除去できますし、もし手術が必要という結果であっても、すぐに治療をしてもらえる専門病院を紹介いたします。未受診の方は、ぜひ内視鏡検査を検討してください。

こちらの内視鏡検査の特徴を教えてください。

つらい検査体験によって受診から遠ざかり、症状を放置して手遅れになってしまうのは非常に残念なことです。そういう意味でも、患者さんの苦痛をいかに抑えるかが私たちの重要な課題です。当院では胃カメラに経鼻内視鏡、大腸検査には超細径内視鏡を用意しています。超細径の開発には私自身も携わりましたが、検査を受けた経験のある皆さんに「これがベストだ」とおっしゃっていただけるものをめざしました。内視鏡内部の微調整をするとこんなに変わるんだと、機器の進化がいかに大切かを思い知らされました。また、検査であるからには病気を見逃さないことが何より重要です。最近では全大腸内に色素を散布することで、これまで見落としていた小さな病変の発見率が高まると実感しています。私自身は内視鏡を用いたポリープ切除まではできますが外科手術をしませんから、手術が必要なポリープの見極めに関してはあらゆる手立てで全力を尽くすよう心がけています。

胃に対するアプローチはどのようにしていますか?

蓮尾直輝院長 蓮尾胃腸内視鏡クリニック4

上部消化管には食道や十二指腸もありますが、発生率を考えればまずは胃がん。当院では胃カメラを実施する際に、ピロリ菌感染の有無によって発がんリスクをスクリーニングします。初めての方やご家族にピロリ菌感染のある方には、ほぼ全員にその検査を行います。がんをメインに扱ってきた立場からいえば、胃がんの発生を抑える上でピロリ菌の除菌は重要だと思います。また、がんへのアプローチとともに、おなかに関する日常診療も大切ですね。まずはエコー(超音波)検査の機械を新たに導入し、急な腹痛の原因や盲腸、胆石、血栓などはその場ですぐに診断がつくようになりました。今後は予約システムの見直しやマンパワーの充足なども検討し、より丁寧に診断できるように努めていきたいと考えています。

時代の進歩を反映した医療を地域から発信

院長先生の経歴を簡単に教えてください。

蓮尾直輝院長 蓮尾胃腸内視鏡クリニック5

私が医師になったのも内科医になったのも父の存在が圧倒的で、目で見て直感的に判断できることが自分には向いていると考えて消化器内科へと進みました。川崎医科大学を卒業して神戸大学医学部の第二内科に入局し、いくつかの病院の消化器内科に出向して働きましたが、中でも昭和大学横浜市北部病院消化器センターで工藤進英先生に師事できた経験は今でも大きな財産となっています。工藤先生は当時から一歩先を進んでおられ、常に真実を追い求めておられる医師でした。それから数年後、工藤先生からちょうど神戸大の医局が解体されるタイミングで、いきなり「新大阪に内視鏡クリニックを出すから君が院長をやれ」と連絡があった時は驚きましたね。大阪では8年間ほど院長をやらせてもらいましたが、今から考えるといい人生勉強となりました。

プライベートはどうお過ごしですか?

開業前から多忙を極め、休日は時間さえあれば家で寝ています(笑)。家族は妻と、息子が3人で、上の2人は医学部をめざし、寮生活で受験に向けて頑張っています。私と同様に父親の背中を見て医者になってくれたらうれしいのですが、どの科をめざすか今から楽しみです。内視鏡検査をしていると、それが仕事でもあり、趣味のようでもあり、いつも幸せを感じています。自分で診療科を選び、専門の道に進んで仕事ができている。医療人として、こんなに恵まれた人生はありません。年を重ねたらわが息子なり、次世代を継いでくれる若い人に興味を持って手伝ってもらえれば何よりです。ただ、それにはやはり情熱が必要です。そして、自分の思いを投影できるいい先生に出会うことが一番かもしれません。

最後に、今後へ向けたメッセージをお願いします。

蓮尾直輝院長 蓮尾胃腸内視鏡クリニック6

技術がどんどん進化して、もう痛みの少ない内視鏡検査は当たり前の時代になってきました。これから先は、小さながんも見逃さない観察レベルが重要なテーマです。私は大腸ポリープ検査に使うAI(人工知能)に知恵を埋め込むディープラーニングに関わる機会があり、そのAIはすでに実用化されています。ヒューマンエラーによる取りこぼしをAIがサポートしてくれるわけですね。内視鏡検査でがんを発見しても、早期であれば皆さんピンピンして帰ってこられますから、あまりありがたみを感じてもらえないかもしれません。しかし、今後それを担っていくのは地域のクリニック。経験や技術ばかりに頼るのでなく、時代の進歩をできるだけキャッチアップして、さらに満足度の高い医療を提供していきたいと思います。

Access