蓮尾 直輝 院長の独自取材記事
蓮尾胃腸内視鏡クリニック
(池田市/池田駅)
最終更新日:2026/04/03
阪急宝塚本線池田駅から徒歩3分の「蓮尾胃腸内視鏡クリニック」。蓮尾直輝(はすお・ただてる)院長は、数々の医療施設で、消化器内科を中心に研鑽を積み、内視鏡を駆使して胃がんや大腸がんの早期発見に努めてきた。その経験をもとに、地域で長く親しまれてきた内科医院を継承。そこには一分野のスペシャリストで終わるのではなく、最終的には内科の医師である父のように開業医として地域医療に貢献したいとの思いがあったという。愛用の超細径内視鏡は、自らが開発に関わり、ディテールまでとことんこだわったそうだ。ストイックな一面もありながら、診察室のデスク周りには、大ファンだというプロ野球選手のサインや写真が所狭しと飾られている。そんな人間味にもあふれる蓮尾院長に、内視鏡検査への思いや患者に伝えたいことを聞いた。
(取材日2026年2月19日)
大腸がんの早期発見には内視鏡検査が重要
内視鏡の専門家としてのご経験をお聞かせください。

日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医になって、もう20年以上がたちます。もともとは内科医の父の影響で医師をめざし、目で見て直感的に判断できることが自分には向いていると考えて消化器内科に進みました。川崎医科大学を卒業後は、いくつかの病院の消化器内科に勤務。その中でも、昭和大学横浜市北部病院消化器センターで工藤進英先生に師事できた経験が今でも大きな財産となっています。工藤先生は当時から一歩先を進んでおられ、常に真実を追い求めておられる医師でした。自分で開業するまでは、工藤先生の指導のもと、大阪内視鏡クリニックで8年間ほど院長を務めていました。
消化器内視鏡検査には、どのような意義があるのでしょうか?
最大の目的は胃がんや大腸がんをできる限り早期に発見し、早期治療をすることです。自らの手で治療可能な範囲を超えるものは専門の治療施設に紹介して患者さんの生命を守ることにつなげることも重要です。そのためにも大腸内視鏡検査は40歳になったら必ず受けましょう。それでポリープが見つかれば1〜2年後、なかった人も3〜5年に1回は内視鏡検査を受けてください。半日がかりになるので大変ですが、当院は広い処置室にトイレや施錠できるロッカーも整備されており、トイレつきの個室も新設しているので安心して内視鏡検査を受けられます。腸内を空っぽにするために下剤を使用した後は、鎮静剤を使用しますので、うとうととした状態で検査を終えられることが見込めます。小さなポリープはその場で除去できますし、もし手術が必要という結果であっても、すぐに治療してもらえる専門病院を紹介します。
日本人の大腸がんが増えているそうですね。

日本人女性で最も死亡数が多いがんは大腸がんで、男性でも、肺がんに次いで2番目に多いです。それなのに、日本の一般的な健康診断ではいまだに便潜血の検査しかしていなくて、甚だ不十分と言わざるを得ません。先進各国は、何歳になれば必須、というようにどこかのタイミングで大腸内視鏡検査を導入しているのですが、日本だけやっていないんです。国が負担する医療費が増大しすぎて、健診に回す余裕がないという事情があるにせよ、これは大きな問題だと思います。つまり、日本人は大腸がんに関して、個人で意識的に自分の健康を守らなければならないということです。未受診の方は、ぜひ内視鏡検査を検討してください。
検査する側、される側の双方に良い方法を選択
女性も検査を受けやすいように女性医師もいらっしゃると聞きました。

大腸内視鏡検査は肛門から細いスコープを挿入しますので、抵抗を感じる女性もいらっしゃいます。そのため、当院では週に1回、女性の先生にも来てもらっています。僕の大学時代に医局で同期だった先生で、横浜市北部病院でも一緒に働いていた経験豊富で信頼のおける医師です。その先生に来てもらうようになってから、新規の女性患者さんが確実に増えましたね。女性に多い鋸歯状ポリープというものは、特に粘液を出すタイプががん化しやすいとされているのですが、これがあるかどうかは便の検査だけではわかりません。繰り返しになりますが、やはり内視鏡検査が重要なんです。
先生が行う大腸内視鏡検査に特徴はありますか?
僕はほとんどの場合、色素内視鏡と呼ばれる方法を取ります。大腸内に、青く色をつけた水を撒きながら内視鏡検査をするんです。ポリープは赤っぽいことが多いので、ピンク色の大腸内では見つけづらく、暗い内視鏡室で目を凝らしていると非常に目が疲れてしまいます。周囲を青くすることでポリープが際立って、見えやすくなるんです。色水を撒いても、特に患者さんにとって違和感はなく、もちろん体への影響もないので、双方にとって良い方法だと思っています。それから、自分が開発に関わった内視鏡を使っているのも珍しいことかもしれませんね。10年以上前になりますが、実績のある医療機器メーカーとタイアップして作った超細径内視鏡を今も使っています。細くて軽いので、おなかの中に入っている違和感が少ないんですよ。開発段階から、ちょっとした硬さなんかも僕好みにしてもらったんです(笑)。
胃などに対するアプローチはどのように行っていますか?

胃がんの原因が、ほぼピロリ菌であることは広く知られるようになってきました。当院でも、ピロリ菌感染の有無によって発がんリスクをスクリーニングしてきましたが、除菌が進んだことによって胃がんは減少傾向です。胃カメラが本当に必要な人の割合もずいぶん減りました。とはいえ、かつて保菌者だった人の経過観察は当然、胃カメラなどでしっかり行っています。また、おなかに関する日常診療も大切にしています。エコー検査の機械を導入し、急な腹痛の原因や盲腸、胆石、腹部腫瘍などはその場ですぐに診断をつけるように努めています。
地域のホームドクターでありたい
開業時は、古くからあった医院を継承されたそうですね。

かつて、ここは三好内科という長く続いた医院で、院長の三好先生は父の大学時代の同級生で以前から面識がありました。退職を見据えた三好先生から、医院を継いでくれないかとお話をいただいたことが開業に動き出したきっかけです。当時、僕は大阪内視鏡クリニックの院長を務めていました。それから5年間、週1回は三好先生のお手伝いで診療や内視鏡検査をするようになり、2021年に三好先生が退職されて医院を正式に継承しました。2022年8月に名称変更して看板をかけ替えました。三好先生から継承のお話をいただいた頃は、自分でもこのまま内視鏡だけのスペシャリストになるのではなく、最終的には地域のホームドクターでありたいと考えていた時期だったので、いいタイミングだったと思います。
現在までに医院の状況に変化はありましたか?
開業から1年ほどたった頃、池田圭政(けいせい)医師に副院長として加わってもらいました。池田先生も検査が上手で、現在は基本的に2人で診療や検査にあたり、週に1回、女性医師も来るという体制になっています。開業時との変化は、今のほうが若い患者さんが多いということです。推測ですが、「若いうちから内視鏡検査をしたほうがいい」という考え方が浸透してきたのではないでしょうか。「友達が内視鏡検査をしたら、ポリープが見つかり、その人からやったほうがいいと勧められた」と、検査を受けにくる人が多いんです。非常にいい傾向だなと感じています。
今後についてはどのようにお考えですか?

順調に患者さんが増えましたが、検査スペースには限りがあるので、しばらくは現状維持ですね。僕は医院を一歩出たら、一切仕事はしないタイプです。プロ野球のナイター観戦とゴルフと、飲みに行くことしか考えていません(笑)。でも、だからこそ医院にいる時は集中して検査のクオリティーを保てるのだと思います。先々のことはまだわかりませんが、3人の息子たちが全員、医学部で医師をめざしているので、誰かが継承の手を挙げてくれたらなぁと、淡く期待しているところです。

