島 秀行 院長の独自取材記事
島内科医院
(広島市中区/紙屋町西駅)
最終更新日:2023/03/08

市内中心部で、広島電鉄の紙屋町西、本通り、原爆ドーム前、それぞれの電停から徒歩約2分。広島バスセンターからも徒歩約3分の場所にあり、アクセスが良好な「島内科医院」。幅広い年代の患者が訪れる。先祖の島家1代目から3代目までは安芸区中野で医院を開業。4代目の祖父、島薫が当地にて外科病院として診療を行い、院長の島秀行先生は6代目。医師家系に育ったことで、幼少期より医師をめざしていたそうだ。祖父と父親は外科ながら、島院長はより地域の人々と近い位置で診療できるほうが地域医療の役に立てると内科を選んだ。大学病院をはじめとする大規模病院の消化器内科で研鑽を積み、2009年に院長就任。内視鏡検査のエキスパートであり、なるべく患者に負担のない検査に努める島院長に、その検査の重要性や地域医療への思いを聞いた。
(取材日2023年1月11日)
長く診療を続けていくために内科の道へ
まず、医師をめざしたきっかけを教えてください。

祖父も父も医師である家系に育ったことで、医師という職業が身近にありました。今考えれば、そういった環境だからこそ、自然と意識をしていたということはあるかもしれません。幼い頃から自分は医師になろうと思っていた気がしますね。祖父の記憶はあまりないのですが、父が仕事する姿を見ていて、医師は「人の病気を治して、世の中のために貢献する」という立派な職業だなと素直に思えたところが、医師をめざした最大のポイントになっていると思います。
なぜ内科の道を選んだのでしょうか?
祖父も父も、実はともに外科の医師なんです。私も学生時代は外科の医師になるか、内科の医師になるか、最後まで悩みました。6年生の終わりまで、ずっと迷っていたんですね。でも内科のほうが、より患者さんの身近な存在としていれるのではないか、それはつまり、より地域医療に貢献できるということではないのかと考えたんですね。そこで、私は内科に進む決心をしました。そして内科の中でも、また選択肢があるんですよ。脳、心臓、呼吸器や腎臓など。その中で私が選んだのは消化器内科でした。
消化器内科のどんなところに惹かれたのですか?

内視鏡検査に非常に興味を持ったんです。もちろん、超音波検査もあり、そちらも面白いんですけどね。内視鏡検査では胃と腸の中を直接自分の目で見て診断できるんです。さらには腫瘍を自分の手で取り去って治療することができる。そういう点で、非常にやりがいを感じました。勤務医のときもずっとそういう仕事をしていましたね。勤務医のときにしかできない検査というのもあるんですが、内視鏡検査は開業医になってもずっと続けられるんですよ。だから勤務医時代に培った技術を開業してからも生かし続けることができるんです。医師になった時点でゆくゆくは、この実家を継ぐ、この地に戻るという気持ちがありましたので、開業医になってからのことも考えながら、消化器内科で内視鏡の検査と治療をするという道が一番、長くできる分野かなと思いました。
内視鏡検査を受けることの大切さを伝え続ける
勤務医時代の経験はどんなふうに生かされていますか?

非常に忙しい病院で長く勤めさせてもらいました。そのため、さまざまな症例を見ることができたんです。それが今の自分の知識、そして技術の基礎を築いてくれていると思いますし、自分の自信にもなっていますね。確かに大変ではありましたが、今となってはとても良かったと思える、毎日が勉強の時代でした。重篤な人や、検査した時にはすでに末期という患者さんもたくさん見てきましたので、病気の早期発見、そして早期治療の重要性が身にしみましたね。それを経験したからこそ、患者さんには積極的に内視鏡検査を勧めているんですよ。
その時代に内視鏡検査の重要性を学んだということですね。
そうですね。でもやはり皆さん、内視鏡検査というとつらいイメージがあるようでして。そのイメージを何とか払拭したいと思っているんですね。とにかく患者さんに楽に検査を受けてもらう、ということをめざしています。それは、苦痛の少ない検査をめざすということですが、そのための一つの工夫として、胃の内視鏡検査であれば、鼻から入る細い内視鏡検査、それに加えて鎮静剤を使います。内視鏡検査が苦手だという人には一度来ていただき、体験してもらいたいと考えています。「寝てる間に終わりました」と患者さんに喜んでいただけると、非常にありがたい気持ちになると思いますね。
内視鏡検査はどんなタイミングで受けるのがいいでしょうか?

現在、来院される患者さんは、20代の若い方から80代の高齢の方まで、幅広くいらっしゃいます。その皆さんに、たとえ症状がない方でも、なるべく定期的に胃腸の検査を受けることをお勧めしています。症状が出ていなくても、ポリープやがんができていることもありますからね。年1回でも、数年に1回でも、人によってさまざまですが、とにかく定期的にお越しいただき、病気の早期発見につなげていただきたいと思っています。ただそのためには、やはりできるだけ検査に苦痛が伴わないようにして、患者さんが気軽に受けやすい状況をつくらないといけません。そのためにどうすればいいかを常に考えながら、私たちは診療をしていくべきだと思っています。
江戸時代から6代続く、地域医療への貢献
先代院長とも一緒に診療していたんですね。

私は院長としてこの医院に帰って来まして、そのタイミングで父は名誉院長になりました。父は外科ですから、最初は外科の患者さんを診ていたんですけど、途中から私だけになりました。もともと島外科という名前でしたが、途中から島外科内科になり、今は島内科医院ですね。3代目として受け継ぐにあたって、父から直接、面と向かって何か言葉をもらったということはありません。でも、外科と内科、並んで診察していましたので、そこで雰囲気を感じながら学ばせてもらったということはあると思います。父は患者さんの話をしっかり聞いていましたから、私もそうしようと。患者さんに優しく接するということは、そういった現場で感じ取っていきました。
地域医療への思いを聞かせてください。
私はこの土地で生まれ育ちました。戦後になると周りの建物、街並み、もちろん住んでる人も、どんどん変わっていったと思います。でも、私たちの医院は戦前からずっとここにいて地域医療に貢献できるよう努めてきました。そういうスピリットがずっとここにあるというのを地域の皆さんには知っておいていただきたいなと思いますね。在宅医療もやっていますし、学校医も務めさせてもらっています。これからも変わらず、開業医に求められる地域医療を、自分でできる限りやっていこうと思っています。もちろん、私よりも専門の先生に治療をお任せしたほうがいいと思ったときには、どの専門の先生が一番いいだろうと自分なりに考え、ご紹介するという病診連携もしています。そういった連携がスムーズに行えるのも、祖父や父が信頼を築きながら、この地でやってきた恩恵と強みであると思っています。
今後の医院のビジョンを教えてください。

今と変わらず、同じ方向性で続けていこうと考えています。開業医に求められることを、自分のできる範囲で行っていくこと、また、今までの自分がめざしてきた地域医療、それを今後もより良いかたちにして、実践していけたらいいですね。検査に関しても、スタッフ一同、できる限り苦しくならないように心がけています。検査がつらくてもう受けたくないという方も多いでしょう。でも、そういう人こそ、私たちの医院へお越しいただきたいですね。ストレスの少ない検査で、病気の早期発見、早期治療に貢献したいと思っています。