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田邉 裕子 院長の独自取材記事

草柳クリニック

(大和市/大和駅)

最終更新日:2023/05/16

田邉裕子院長 草柳クリニック main

病院の皮膚科医長の時、循環器科の医師である父が開業するはずだったクリニックを急遽任される形で開業した「草柳クリニック」田邉裕子院長。患者に寄り添う診療方針と培った診療技術で、着実に地域に浸透してきた医師だ。「あれこれと手を広げず、のんびりやっています」とにこやかに語るが、院長として穴を開けるわけにはいかないと臨月まで診療を続け、出産後も1ヵ月で復帰したというガッツの持ち主。自らも母親となり「朝晩2回子どもに薬を塗布することの難しさもわかるようになりました。患者や家庭に合わせ、より実践しやすい生活指導を心がけています」と話す。今後は日常生活へのアドバイスなどを行い、より地域の役に立ちたいと語る。優しい笑顔も魅力的な田邉院長に話を聞いた。

(取材日2016年3月24日/最終更新日2023年5月11日)

大和市草柳で、地域住民に頼られる皮膚科医に

医師を志したきっかけや経緯を教えてください。

田邉裕子院長 草柳クリニック1

循環器科の医師である父は、子どもの頃はあまり顔も見たことがないくらい多忙で、父の仕事がどんなものかわからなかったのですが、親戚に医師が多いこともあり、自然に医療の道を志しました。東京女子医科大学を卒業後、聖マリアンナ医科大学の皮膚科に入局しました。皮膚科を選んだのは、目で見て症状がわかり、診断も早くできて治療に結びつき、自分も患者さんも治療の過程がきちんと把握できるところに魅力を感じたからでしょうか。研修プログラムとして救命センターと小児科、内科、外科を経験してから皮膚科に戻り、大学院で研究も続けながら、医学博士号を取得し大学病院や関連病院で診療に携わりました。

この地で開業されたきっかけは?

ここはもともと父の地元で、父が開業する予定だったのですが、とある都合により代わりに私が開業することになったんです。最初はいつもの父の冗談かと思ったぐらい突然のことでした(笑)。私自身は、皮膚科医長として必死に頑張っていた時で、また美容皮膚科など新しい分野の勉強も始めようとしていたのですが、もう建築も始まりスタッフも確保している状態でしたので、開業を決意しました。それから開院日までの3ヵ月間は、総合病院での勤務を続けながらの準備でしたので、かなり忙しかったです。

診療科目は皮膚科と内科ですね。

田邉裕子院長 草柳クリニック2

はい。皮膚科と循環器を中心とする内科です。父を含めて3人の内科医が分担して内科診療を行います。患者さんはご近所の方が中心ですね。ありがたいことにクチコミでだんだん患者さんが増え、最近は意外と遠方からの方も増えてきました。こちらは古くからお住まいの方が多く、親子3世代、中には4世代でお見えになるご家族もいらっしゃいます。町内の横のつながりも強いのか待合室で顔を合わせた方が話し込まれていたりします。また近所に小学校や幼稚園がありますので、小さいお子さんやお母さん方もよく来られます。待合室に赤ちゃんから100歳を超えた車いすの方まで幅広い年代の方が来られて、見知らぬ患者さん同士が会話をされたりして微笑ましい光景も見られます。

治療だけでなく、日常のケアや生活指導にも力を入れる

先生の診療方針を教えてください。

田邉裕子院長 草柳クリニック3

大学病院勤務医時代、恩師から「皮膚症状から内科が診られる医師になれ」と教えを受けました。皮膚科では命に関わる疾病は少ないのですが、小さな発疹から、膠原病や内臓悪性腫瘍など重篤な病気がわかることもありますから、常にそれは意識しています。そして患者さんと、同じゴールに向かって、同じ方向を向いて治療することを心がけています。こちらが頑張ってほしいと思っても、患者さんがそれほど治ることを期待していらっしゃらないと治療がうまくいきませんからね。またアトピー性皮膚炎やじんましんなど、皮膚の症状は生活の影響を受けることが多いので、薬の使い方以外にもお風呂の入り方や、その他生活上の注意などを細かくお話します。治療の話より、なぜそうなったかの原因を探るために、患者さんのバックグラウンドを根掘り葉掘り聞いたり、生活のアドバイスをしたりする時間の方が長いぐらいです。

皮膚科の専門的な立場から気になる傾向などありますか。

発疹などに対して内科や小児科で強い薬を処方され、「再発しやすい」と来院される方が少なくありません。場合によっては、ステロイド剤はだんだん弱い薬に切り替えていくなど使い方に注意が必要ですし、生活習慣を改善しないと難しいこともありますので、やはり専門家である皮膚科に相談していただきたいですね。またここ数年、若い世代の帯状疱疹が目立ちます。帯状疱疹は免疫が落ちるとかかることが多いので、お子さんも疲れているのかなと思います。若い男性では、女性と同じようにニキビをとても気にされる方も増えていますね。恥ずかしいと皮膚科を受診されず、市販薬で治療されてなかなか治らなかったり、薬にかぶれて悪化するケースもあります。ひどくなってから受診される方も少なくないので、もっと早く来ていただきたいなと思うことが多いですね。

ご自宅での過ごし方やケアがすごく重要なのですね。

田邉裕子院長 草柳クリニック4

生活習慣の改善もそうですが、日常生活でなにげなくやっていることが実はお肌にはあまりよくないということもあります。お肌に刺激を与えないようアドバイスをするならば、例えば体を洗う時にナイロンのタオルを使ってこすらない、洗顔をする時の洗顔料はしっかりと泡立てる、洗顔後の泡は洗い残さずしっかりと洗い流す、化粧水を使用するなど、お肌のトラブルを少しでも軽減させるために日常生活を見直してみてください。化粧水はお肌に水分を補充する役割を持っているので、男性の方もぜひ一年中を通して使用してください。どの化粧水がいいかなどわからないことがあれば、ご相談にも応じているので、気軽にお越しいただければと思います。

ところで、開業されてから結婚、出産を経験されたようですね。

開業してから結婚し2人の息子を出産しましたが、自分が親となったことで、お母さんの気持ちや事情もよくわかるようになりました。朝晩2回でも子どもに薬を塗ることがどれだけ大変であるかも実感し、お母さんの仕事や兄弟関係など、ご家庭の事情や生活スタイルに配慮したケアや生活指導を心がけるようになりました。

今後は生活のアドバイスなど、さらに寄り添った診療を

お忙しい毎日ですが、趣味や健康法を教えてください。

田邉裕子院長 草柳クリニック5

今は、私自身の趣味やスポーツを楽しむ余裕はありませんが、長男や夫もテニスをするので、家族でコートを借りて楽しんでいます。夫はビジネスマンで、週末は子どもの面倒をみてくれるので助かっています。健康法は特にありませんが、私自身の肌が荒れていると患者さんへの説得力がありませんから(笑)、おかしいなと思ったら化粧品を変えたり、季節によって早めに対応するように心がけています。寝不足や疲れなどの影響も受けやすいので気をつけています。

今後取り組みたい分野などがありますか。

来院してくださる患者さんにより向き合い、生活背景までも配慮した診療をしていきたいと思っています。以前、90歳代の女性のお顔のしみのご相談に乗ったことがあり、とても喜ばれたことが今も印象に残っています。女性はいくつになってもきれいな肌でいたいという思いが強いですから、皮膚の専門家としてそんな願いを叶えて差し上げたいと考えています。また、最近はお肌のトラブルに悩む男の子も増えてきたように感じるので、ご自宅でのケアについても積極的にアドバイスをしています。最初は表情が暗かったお子さんが、お肌のケアをちゃんとすることで、だんだんと明るくなっていくこともあります。皮膚科での治療ももちろん大事ですが、ご自身で行うスキンケアの大切さをもっと伝えていきたいですね。

読者へのメッセージをお願いします。

田邉裕子院長 草柳クリニック6

開業以来、試行錯誤しながら進んできました。地域の患者さんにさまざまなことを教えていただき、クリニックとして育てていただいたので、これからはスタッフとともに地域により一層還元してお役に立ちたいという思いが強まっています。「こんなささいなことで悪いけど」という方もいらっしゃいますが、早期発見が大切ですから、小さなことでも気になることがあれば気軽に来てください。自己判断で市販薬を塗ってかえって悪くなることもありますから、ぜひ専門家の診断を受けてください。当院は病気のことだけでなく世間話をされる患者さんも多く、笑い声が絶えないクリニックです。そんな家庭的な雰囲気も大切にしたいと思っています。皮膚科と内科は、どなたにも身近な診療科ですから、地域に貢献できる明るく楽しいクリニックでありたいと思っています。

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