心臓リハビリテーションで
心疾患の再発防止と生活の向上を
なかむらクリニック
(八尾市/高安駅)
最終更新日:2023/11/15
- 保険診療
超高齢社会で年々増加する生活習慣病。それが原因となって心筋梗塞や狭心症などを引き起こし、運動を控えて不便な生活を送っている人も多いに違いない。こうした病気の再発リスクを抑え、心臓機能の回復が期待できるのが心臓リハビリテーションだ。八尾市内にある「なかむらクリニック」では、クリニックの2階にあるリハビリテーション室で、循環器の専門家である中村治夫院長が中心となり、理学療法士や看護師らが一丸となって心臓リハビリに取り組んでいる。その目的や対象、メニューの決め方について、中村院長に詳しく聞いてみた。
(取材日2020年10月16日)
目次
リハビリ中は運動負荷を絶えずチェック。心臓の機能を回復し、健康寿命を延ばしていこう
- Qこちらのクリニックでは、どのような診療をされていますか?
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A
当院の一番の目標は、かかりつけ医として地域の皆さんの健康をお守りすること。一般的な内科診療はもちろん、私が専門とする循環器内科では各種検査機器をそろえ、心疾患の予防や再発防止に努めています。生活習慣病の患者さんの中には心臓や血管の病気を発症される方が一定数おられます。普通の内科だと心臓に関しては専門の医療機関に委ねることが多いのですが、当院では心臓も含めトータルな診療が可能です。その一環として、もう一つ力を入れているのが心臓リハビリで、外来で通える心臓リハビリを実施しているクリニックの数は少ないんです。皆さんの健康寿命を少しでも長く保つこと。それが私たちのコンセプトです。
- Q心臓リハビリとはどのようなものですか?
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A
心臓リハビリは普通のリハビリとは違い、心臓や血管の病気のある方の再発防止や健康維持に特化しています。運動機能が低下した場合、普通は筋力を鍛えますが、心臓も筋肉からできていますので、それを鍛えるとイメージしていただければわかりやすいと思います。要するに病後の体の衰えを立て直すだけでなく、運動負荷によって心臓そのものを強化していくわけです。また、心筋梗塞などで心臓機能を一度損なうと、病気自体からはなんとか回復できても、心臓機能が落ちて心不全を繰り返すケースが目立ちます。こうした方の心臓を元の正常な状態に近づけて保ち、病後の再発予防に努めるのが心臓リハビリなのです。
- Qどのような人が心臓リハビリを受けるべきですか?
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A
基本的には心筋梗塞後や狭心症、心臓や血管の手術を受けた方などが対象で、心不全があったり血管病で足が冷えたりという方の再発予防に行っています。特にこのリハビリに適しているのが、心不全で入退院を何度も繰り返しているような状態の方ですね。入院回数を減らすため、週1〜3回の運動を続けていきます。心臓が悪い人は動いてはいけないという考えが今も多く、運動しないことで心臓がますます弱るという悪循環に陥っている方が多いものです。きちんと管理された心臓リハビリなら患者さんにも無理なく心臓機能のトレーニングができるので、まずは誤ったイメージを拭い去ることから始めてみてください。
- Qリハビリのメニューはどのように決めるのですか?
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A
まず最初に問診を行った上で運動負荷試験を行い、心電図の波形や心拍数、血圧などを注意深くチェックしながらその患者さんに見合った負荷量を決定します。こうした運動負荷試験や有酸素運動には自転車形のマシンを使いますが、さらにゴムバンドを用いた筋力トレーニングがセットとなります。負荷量は随時変えることができますので、患者さんの変化に合わせてその都度ブラッシュアップすることが可能です。所要時間は1回1時間。週1回〜3回を目安に続けてください。リハビリ中は常勤の理学療法士や看護師が必ず付き添います。また、月に1回は私が定期的に診察し、細かい薬の調整などを行っていきます。
- Q心臓リハビリを受ける目的を教えてください。
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A
一番の目的は、患者さんが元気に過ごせるよう、健康寿命を延ばすこと。その手段として心臓リハビリを行っています。続けているうちに、狭心症であれば、リハビリによって息切れせずに階段を上がれるようになるとか、心不全でたびたび入院を繰り返すことがなくなるなど、目に見えた変化が期待できるでしょう。また、糖尿病や動脈硬化といった生活習慣病など基礎疾患を併せ持っている場合も運動療法はお勧めです。先ほども言いましたが、当院の最大のコンセプトは健康寿命を延ばすとこと。以前に比べて元気に動けるようになる、活動時間が増えるなど、心臓リハビリを通じて皆さんの生活が少しでも向上することを願っています。