青山 効司 院長の独自取材記事
みかんやま整形外科
(名古屋市瑞穂区/総合リハビリセンター駅)
最終更新日:2021/10/12
総合リハビリセンター駅から徒歩圏内の「みかんやま整形外科」。まず目に入るのが、クリニックのシンボル、オレンジ色の蜜柑のトレードマーク。「実はあのマーク、私がモデルなんですよ」と笑うのは青山効司院長。数多くの病院で整形外科の医師としてのスキルを磨いてきた経験豊富なドクターだ。患者が抱える痛みを取ることを優先としながらも、患者の生活をトータルに向上させるべく、より深く原因究明をしていきたいというポリシーをもつ。医師だけが主役なのではなく、患者やスタッフ、皆が主体性を持って治療にあたることが重要だという。蜜柑のトレードマークの眉に感じる強い意志、それは院長のこだわりにも通じる。青山院長にじっくり話を聞いた。
(取材日2019年4月23日)
患者のニーズに「広く深く」応えるクリニック
こちらはクリニックビレッジにありますが、ここに開業を決めたきっかけは何でしょうか?
ここにはもともと、別の整形外科クリニックがありました。そのクリニックの先生が、そろそろ一息つきたいということで引き継いで診療してくれる医師を探していると聞いたことがきっかけです。密柑山は大きな道路沿いでもなく、静かな住宅街にひっそりとある、落ち着いたたたずまいの街。以前からこだわりをお持ちの方が暮らすところだなという印象を抱いていました。さらにこのクリニックの外観を見たときに、一目で気に入ってしまったんですよ。オーナーが本物志向の方で、使用されているレンガもわざわざヨーロッパから取り寄せたものだと聞いています。私自身、開業するならこだわりを持ったクリニックをつくろうと考えていたこともあり、密柑山という場所、またこのクリニックのそのものに縁を感じたということもありました。
現在どういった患者さんが来院されていますか?
近隣に陽明小学校や汐路小学校がありますから、お子さんが多いですね。また、こちらの地域に古くからお住まいの高齢の患者さんも来院されます。世代を問わず老若男女、幅広い層の患者さんが来院されるため、主訴も多岐にわたります。お子さんの場合はケガ、高齢者は神経痛や腰痛、変性疾患などが多数を占めます。整形外科はすべての運動器官を治療しますので、カバーする治療領域は大きく、内容も多様です。大学病院や総合病院、地域の医療機関と連携し、必要があればご紹介することも少なくありません。そういう意味で、大きな病院とかかりつけ医とで役割分担することも重要だと考えています。ただ基本的には、患者さんのニーズにできる限り対応していきたい。「広く浅く」ではなく、「広く深く」を実現するクリニックでありたいという思いは常に持っています。
院内に大きな船の模型が飾られていて、院内にもこだわりを感じます。
あの模型は、実は息子が選びました。患者さんが病院に来るのは痛みがある時ですから、少しでもその痛みを忘れてほしい、気持ちを和らげてほしいという思いから、内装には気を配っています。骨格模型、つまりガイコツなんですが、息子が使っていたテンガロンハットをかぶせてみました(笑)。何だか楽しい気持ちになりませんか? お子さんが、つい痛みを忘れるような、遊び心のあるオブジェがあったらなと思ったんです。レントゲン室の天井には青空の壁紙を貼っています。レントゲン室は狭い空間ですし、どうしても殺風景になってしまいます。患者さんには、せめて青い空を見上げているような気持ちでリラックスしてほしいと思ったのです。お花も飾って、なるべく明るい雰囲気になるように工夫しています。
患者が主体となり、根本から解決していける医療の提供
診療される際に大切にしていることを教えてください。
しっかりとした医療を当たり前に行うことです。まずは痛みをコントロールすることを優先し、いろいろな方法で緩和する。例えば、膝に痛みがある患者さんのケースでは、一時的に痛みを抑えるために湿布を貼ったり、注射をしたり、電気を当てたりといった方法を取ります。実は、原因は膝そのものの問題ではなく、足首の接地のバランス、土踏まずのバランスでひねりが加わっていることが不調につながっていることもあるのです。膝の上部に位置する股関節の角度、筋肉の偏りやバランスの悪さ、体幹などトータルに関係しているためです。どこかが痛くなったというのは結果に過ぎません。トータルに診ることが必要ですし、体の上部も下部も影響していることが考えられます。そこを総合的に突き詰めなければ、根本的な解決とはならないのです。
痛みを取るのがゴールではなく、根本から治すことを大切にされているのですね。
患者さんの中には、痛みを取ってくれたらいいという方もいらっしゃいます。ですが、再発してしまっては意味がないですよね。悪化や再発を予防するためには何に気をつけ、どういう生活をしていけばいいのか。積極的に治療やリハビリに参加してくださる方に来ていただきたいですし、そういった考え方を患者さんの中に育てていきたい。一人ひとりの患者さんとしっかり向き合い、患者さんが主体となって意識できるよう、私やスタッフたちがお手伝いするというスタンスを取っていければと思っています。一人ひとりの患者さんとしっかり向き合う分、診療時間がどうしても長くなってしまうのは心苦しく思っています。ご理解いただいて通ってくださる患者さんも多く、たいへんありがたいですね。
スタッフさんのご協力も大きいのでしょうか?
医師の力はもちろんですが、リハビリにおいては理学療法士が担う部分は大きいです。当院のスタッフは熱心に勉強会やセミナーに参加し、自己研鑽を欠かしません。豊富な実務経験のある、信頼できるスタッフばかりです。また、患者さんの立場に立って考えてくれますね。ですから、私に聞きにくいことをスタッフに尋ねる患者さんもいます。私に聞いてくれればいいのに……と、少しもどかしく感じることもありますが、当院のスタッフの誰に聞いても、きちんとした答えが返ってくると患者さんが感じてくださっている証だと思っています。
気軽に相談できるクリニックでありたい
整形外科でCTを導入されているのは珍しいですね。
よりレベルの高い医療を提供したいと思い、導入しました。人間対人間のことですから、最後は手技だという認識でいます。ただ、医療機器の進歩は著しく、人間のサポートをするための素晴らしい技術が開発されてきているもの事実です。 一例を挙げると、超音波(エコー)を用いた診断はもはや欠かせないものになっています。従来のレントゲンによる診断では、骨の情報しか得られませんでした。超音波を用いることで、靭帯や腱、筋肉までも見ていくことができるようになりました。ただの打撲なのか、もっと深い病変があるのか、より詳しく知ることで治療法も変わってきます。CTを導入したことにより、背骨や手足の関節をさらに細かく確認することが可能になりました。エックス線の被ばくも従来より大幅に少ないというメリットもあります。
熱意あふれる先生ですが、整形外科をめざしたきっかけは何だったのでしょうか?
ずっと野球を続けてきたこともあって、整形外科は身近な存在でした。ただ、救急医療に携わっていた叔父への憧れもあって、救急の道に進むか迷ったこともあります。医師として、人の生死にかかわる仕事をしたいという思いもある一方、整形は人の一生を左右するような難病、難症例のある診療科目です。だからこそ、患者さんの生活を豊かにするお手伝いができる喜びがある。開業前に勤務していた大学病院では、整形全般に携わり、リウマチなどの重症な方を診たり、手術をしたりと多くの経験を積んできました。そして今度は、開業して地域の患者さんの生活の生命線を担いたい。医師としてのプライドを持ち、診療にあたっています。
最後に、地域の方々へメッセージをお願いします。
現代の日本は、ストレス社会だといわれています。誰もが心身に不調を抱える可能性のある時代です。不調、痛みは体からのSOSであり、病気の予兆かもしれません。単なる疲労なのか、病的なものなのか、受診して気づくこともあります。痛みが長く続く場合は、気軽に来院してください。また、最近は、椎間板ヘルニアや骨粗しょう症といったような整形外科の疾患への関心が高まってきているように思います。それと同時に、ずっと自分の足で歩きたいと、予防の意識の高まりを感じます。病気の予防も含め、これからも自分の身体を大切にしたい方をサポートしていけるクリニックでありたいですね。