手足の痺れが病気の兆候?
MRI検査で脳神経疾患の早期発見を
いのうえクリニック
(吹田市/吹田駅)
最終更新日:2021/10/12
- 保険診療
脳梗塞やくも膜下出血などの脳卒中や脳腫瘍などの脳神経疾患は、1度発症してしまうと麻痺や神経障害などの重い後遺症が残ることがあり、最悪の場合は命まで奪われることもある。本格的な発作が起こる前の兆候を見逃さず、病気のリスクを早期に見つけて、病気を食い止めることが重要であり、脳疾患の早期発見に役立つのがMRI検査である。以前は大学病院や総合病院でしか受けられない検査だったが、最近は地域のクリニックでも受けられるところが増えている。吹田駅からほど近い「いのうえクリニック」もその一つ。「患者さんがMRI検査を受けたいと思ったときに、気軽に受けられる環境にしたかった」と言う井上正純先生に、MRI検査の必要性や検査の流れを聞いた。
(取材日2018年8月23日)
目次
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- QMRI検査で何がわかりますか?
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A
脳腫瘍や脳梗塞、脳出血などの脳疾患の診断や、くも膜下出血の原因になるような破裂する前の動脈瘤、微細な脳梗塞など、将来的に起こり得る病気のリスクなどを確かめることができます。また、動脈硬化性の因子が認知症を促進することがわかってきており、海馬の萎縮や血流の異常がないかを確認して、認知症の予防や進行を遅らせる対策につなげることができます。MRIはCTと違い、造影剤を使用しなくても血管の情報を得られるのが大きな特徴です。ただし、MRIは磁気を使用するため、ペースメーカーなど何らかの金属が体内にあると受けられません。その場合はCT検査を選択します。
- Qどんな時にMRI検査を受けたほうがいいですか?
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A
脳神経疾患の症状としては、今までに感じたことのない頭痛や急なふらつき、呂律が回らない、片側の手足や顔がしびれる、片目が見えにくい、物が二重に見えるなど。脳卒中と同じような症状が突然起こり、短時間で消えることを一過性脳虚血発作と言いますが、15~20%が3か月以内に脳梗塞になり、その半数は2日以内に発症していることが明らかになっており、軽いと思われる症状でもできればその日にMRI検査を受けてほしいですね。また糖尿病、高血圧、高脂血症など生活習慣病のある方や喫煙する方は、動脈硬化が進みやすく脳血管障害のリスクが高まります。心房細動などの不整脈も脳梗塞の危険因子となるため、MRI検査をお勧めします。
- Qもし検査で病気が見つかったら、その後の流れは?
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A
まずは緊急性が高いかどうかを判断し、手術的な治療や入院を要する精密検査が必要であれば、患者さんの希望を伺った上で、所見に応じ専門の医療機関を紹介します。将来的に病気のリスクが高い場合は、高血圧、糖尿病、高脂血症の管理や生活習慣の改善指導を行います。良質の蛋白質を取り、塩分・動物性脂肪・カロリーを抑えたバランスの良い食事を心がけ、軽い運動を習慣にするなど発病予防に努めていきます。脊椎の変形によってしびれが生じている場合や頭や首の周りの筋肉が緊張して頭痛が起こっている場合は、悪化因子をなくすことが重要です。その状況を患者さんに説明した上で、適切な治療やリハビリテーションを行っていきます。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1問診票に記入する
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同院の場合、脳のMRI検査は、前日までに予約をしていなくても、来院したその日に検査を受けることができるという。気になる症状があってMRI検査を希望する場合は、受付の際にスタッフに伝える。頭痛や物忘れなど、症状に応じた問診票を渡されるので、具体的な症状や生活習慣について、当てはまる項目にチェックをつけていく。
- 2問診を受ける
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問診では症状や家族の既往歴のほかに、高血圧や糖尿病といった脳血管障害の危険因子がないかを確認する。病気によって、角度や撮り方が異なるため、ヒアリングは大切だという。物忘れがある人は、日常生活でどれくらい支障があるかを、本人が把握できていないこともあるため、同居している家族に一緒に来てもらうと問診がよりスムーズに進むそうだ。
- 3説明を受け、いよいよMRI検査へ
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撮影時の注意点など、放射線技師から説明を受ける。アクセサリーや眼鏡を外し、ポケットの中に携帯電話やキャッシュカードが入っていないか確認をしてから検査室に入室する。ベッドの上に横たわり、トンネル型の機械の中へ自動的に移動。検査中の機械音が気になる人は、あらかじめ耳栓を入れてから撮影開始。頭部だけなら15分ほどで検査が終わるそう。
- 4画像を見ながら結果説明
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着替えを済ませた後は、検査結果の説明を受けるため診療室へ。撮影した画像データは、すぐにパソコンのモニター画面に映し出すことができる。血管が細くなっていたり、膨らんだりしていないことを、医師と患者自身が一緒に確認していく。断面画像については、どの部分を切り取ってどんな角度で見えているのかを、模型や図を使い解説してくれるという。
- 5治療計画を立てる
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血流や神経の状態を見ながら、予防のための治療やリハビリの計画を立てていく。治療内容は薬物療法だけでなく、生活習慣や姿勢の改善、筋肉の緊張を和らげるストレッチなどさまざま。物理療法やマッサージなど、患者の希望に合わせリハビリを提案しているそうだ。もう少し詳しい検査や専門的な治療が必要な場合は、連携の医療機関を紹介しているという。