山田 涼子 院長の独自取材記事
やまだクリニック
(伊丹市/伊丹駅)
最終更新日:2023/06/27
阪急伊丹線伊丹駅から徒歩1分のところにある「やまだクリニック」。院長の山田涼子先生は、この場所で17年間地域を支えてきたクリニックを父親から引き継ぎ、2021年院長に就任した。山田院長は、消化器内科の医師として大学病院に長く勤務し、特に肝臓を専門に研究してきたスペシャリスト。クリニックでは、肝臓の硬さや脂肪肝の量までわかるエコーなどを新たにそろえ、専門的な治療にあたっている。また、消化器内科を専門とする医師として胃カメラも実施。口ではなく鼻から細い内視鏡を入れる方法で、苦痛の少ない検査を心がける。プライベートでは、数年前からテニススクールに通うなどアクティブな一面もある山田院長。そんな終始穏やかに受け答えをしてくれる山田院長に、診療内容や開業医としてのやりがいなどについて、話を聞いた。
(取材日2023年4月6日)
地域に根差した父のクリニックを継承し、院長に就任
開業に至った経緯、きっかけなどがありましたらお聞かせください。
この場所に、父が胃腸を専門に診るクリニックを開業していたんです。自宅は離れていたのですが、父はもともと市立伊丹病院に勤務していたため、勤めていた場所に近い伊丹を選んだようです。父は家では寡黙でしたが、クリニックではよく患者さんと話をする医師だったそうで、地域のかかりつけ医として地域の方から親しまれていたんだなと感じます。そして一昨年父が他界したため、クリニックを継承し院長に就任しました。父の代から働いてくれているスタッフもいるので、よく患者さんの個性やバックグラウンドなど、患者さんそれぞれの接し方を教えてもらうことも。とても頼れるスタッフばかりで助かっています。患者さんも、自分のことを昔から知ってくれている人がいるのは、安心にもつながるのではないでしょうか。
こちらのクリニックでは、どのような相談でいらっしゃる患者さんが多いでしょうか?
診療内容として多いのは、高血圧症や脂質異常症などの生活習慣病のご相談です。父の代から通っていただいている方もいらっしゃるので、年齢層としては、ご高齢の患者さんが1番多いですね。中には長く通ってくださっている高齢の方もおり、クリニックに信頼を寄せてくださっているのか「すべてお任せします」とおっしゃるケースがよくあります。ありがたいなと感じる一方で、生活習慣病は自宅でのケアも大切になってくるため、ご自身の体のことや治療方法について、少しでも知っていただけるとうれしいなと思っています。説明方法などをいろいろと考えて、興味を持っていただけるよう、私なりに工夫をしています。
説明や患者さんとのコミュニケーションの工夫として、実施していることを詳しくお聞かせいただけますか?
例えば、口頭で説明するだけだと、聞いていただく患者さんも大変だと思うので、あらかじめ説明の用紙やプリン体の多い食べ物リストを作ったり、簡単な臓器のイラストを使ったりして説明するようにしています。それから、高血圧症の方はご自宅で血圧を測っていただく必要があるのですが、どうしても忘れてしまう方も多いんです。そういう場合は、血圧表をこちらで作ってお渡しして、諦めずに血圧を測る大切さをお伝えするようにしています。ご自身の状態や、どういう生活を送ったら良いかを知っていただくのは、治療においてとても大切です。お薬だけ出すのは簡単なのですが、それだけではなく、良くなるために患者さんとコミュニケーションを取りながら取り組んでいきたいですね。都度言い続けていると「前はこんなこと言われなかったのに」なんてぶつぶつ言いながら、協力してくださる方も多いんですよ(笑)。
設備をそろえ、大学病院で培った知見を生かす治療を
勤務医時代は主にどのような治療に携わってこられたのでしょうか。
開業前は、消化器内科の医師として仕事をしてきました。10年以上大学病院に勤務して、肝臓の研究をしていたんです。クリニックでも専門性を生かせるように、新たにエコーを導入しました。画像の解像度が高いのはもちろん、このエコーでは、肝臓の硬さも測ることができるんです。以前は、肝臓の硬さを調べるためには、肝臓に針を刺して組織を取る方法が主だったのですが、最近はエコーの超音波を利用して硬さを測ることができるようになっています。それから、ほかにも脂肪肝の量も測ることが可能です。生活習慣病の方は、エコーを使えば、隠れ脂肪肝を見つけやすくなります。
脂肪肝があると、どのような体への影響が考えられるのでしょうか。
脂肪肝自体で亡くなる方というのはそんなにいないのですが、脂肪肝はメタボリックシンドロームの1つなので、心筋梗塞や脳梗塞といった怖い病気のリスクが高くなってしまう恐れがあります。脂肪肝の量を確認することは、全身の状態を評価する上で、1つの重要な因子になると思っています。また、当院で使用しているエコーは数字で結果が出るので、例えば運動を頑張った成果を患者さんにわかりやすくお伝えすることもできますね。患者さんが数値を下げるために頑張った後、前回よりも結果が良くなっていれば、日常生活から気をつけようというモチベーションにもつながるのではないかと思っています。
肝臓についてクリニックを受診したほうが良いケースなどはありますか?
肝臓は大量にお酒を飲む人だけが心配する臓器と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、肝臓を悪くする恐れのあるものはお酒以外にもたくさんあって、1滴も飲まない方でも肝臓の病気になることがあるんです。特に自覚症状がなくても、脂肪肝やALTといった肝臓の状態を診る数値などについて、健康診断で引っかかったことがある方などは、一度専門の医師に診てもらうことをお勧めします。
何でも相談できる、来院しやすいクリニックをめざして
胃カメラ検査も行っていると伺いました。こちらで行う胃カメラの特徴などはありますか?
当院では、口ではなく鼻から細いカメラを入れる経鼻内視鏡を使った検査を行っています。また、その内視鏡は、画像強調システムという正常な粘膜と炎症部のわずかな色の違いを強調できる先進のものを導入しているため、早期の病変も発見しやすいんです。口から入れる胃カメラは、人によっては「えずいてしまってつらい」という方もいらっしゃるのですが、鼻から入れるタイプは、患者さんのそういった負担の軽減につながるというのが大きなメリットだと考えています。経鼻内視鏡は丁寧に実施すれば、局所麻酔だけでもつらい思いをせずに検査を受けていただけるのではないかなと思っています。胃カメラは1年に1回受けてもらうのが良いため、検査中のお声かけなどにより、少しでも患者さんがリラックスして受けられるように心がけています。また来年もここで受けようかな、と思っていただけたらうれしいですね。
開業医として院長に就任なさって、やりがいを感じるのはどのようなときでしょうか?
院長に就任する前に勤めていたのは大学病院だったので、診る病気がかなり限られていて、自分の専門のもの以外はあまり関わる機会がなかったんです。その点、クリニックで診療すると、いろいろな観点から1人の患者さんについて幅広く診ることができます。開業医で良かったなと思う点の1つですね。私の専門は肝臓ですが、肝臓に病気がある場合は、ほかにも何か影響が出てくるケースが多くあります。それに、肝臓だけが良くても、ほかに悪いところがあれば、患者さん自身は健康な生活を送ることができないですよね。患者さんの全体を診て、生活面を含めた幅広い関わりを持てるというのは、開業医のいいところだなと思います。
最後に、地元の方々、患者さんに向けたメッセージをお願いいたします。
地域に根差したクリニックとして、何でも相談できる、患者さんが来やすい場所にしていきたいなと思っています。当院では生活習慣病を抱えられた患者さんが多いため、生活習慣の指導を含めた全身的な治療を行っていきたいと考えています。また、私が女性ということもあり、痔など、女性の患者さんで男性医師には相談しづらい病気で悩んでいる方にも、気軽に来ていただけるとうれしいですね。父の代から築いた地域の方からの信頼を守りつつ、自分がこれまでに培ってきた消化器内科医としての経験を強みに、全身を診ることができる地域のクリニックになりたいと思っています。女性に限らず、医療機関に行こうかどうしようか迷っている症状がある方は、気軽に来ていただければと思います。