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並河 整 院長の独自取材記事

並河内科クリニック

(松江市/松江駅)

最終更新日:2024/11/19

並河整院長 並河内科クリニック main

松江市内のくにびき通りからすぐ、大国橋交差点から一本入った静かな住宅街に位置する「並河内科クリニック」。糖尿病に特化し専門性に基づいたクリニックとして、地域から厚い信頼を得ている。アクセスと環境の良さを兼ね備え、長期的に通院が必要な慢性疾患患者にとって通いやすいクリニックだ。並河整院長は松江赤十字病院で豊富な経験を積んだ日本糖尿病学会糖尿病専門医で、島根県や松江市などの行政団体やNPO法人の要職も務めている。その一方、気さくで親しみやすく、患者を常に尊重し寄り添う姿勢が印象的。「クリニックで一番にめざしているのはチーム医療で患者さんを支えること」と話す並河院長。そんな並河院長に、患者、そしてスタッフへの思いを聞いた。

(取材日2024年10月7日)

糖尿病療養の専門知識を持つスタッフによるチーム医療

こちらのクリニックの特徴を教えていただけますか?

並河整院長 並河内科クリニック1

私は長年松江赤十字病院の糖尿病・内分泌科に勤務し、最終的には内科副部長として部門全体の診療のサポートにも従事しました。時代は専門クリニックによる病診連携が推奨され始めた頃で、私も「専門性に基づく糖尿病特化型のクリニックをつくることで地域医療に貢献したい」という思いを持ち、2002年に当院を開院しました。クリニックでは、看護師や管理栄養士、臨床検査技師は、糖尿病療養の専門知識を持ち、患者さんの食事や運動から、生活のアドバイス、糖尿病の薬の管理、インスリン注射の打ち方までさまざまな指導を行い、丁寧にフォローしています。チーム医療を推進すべく、スタッフ一同協力して糖尿病の患者さんを支えていく体制を組んでいます。

医師をめざしたきっかけを教えていただけますか?

私は鳥取県生まれですが、小中学校を過ごした広島市で受けた平和学習を通して原爆や戦争について考える機会が度々あって。「ここで今、戦争や災害などの非常事態が起こったら、自分には何ができるだろう」と思案したのが最初でした。糖尿病を専門に選んだのは、医学生時代に小児糖尿病大山サマーキャンプのボランティアに参加したのがきっかけ。これは小中学生の1型糖尿病の子どもたちが集団生活を楽しみながら、インスリン注射の打ち方や血糖測定法などを身につけようという取り組みです。子どもたちもすぐに打ち解けてくれて、彼らと親しくなるうちに自然と糖尿病にも興味を持つように。「幼い子どもでも、治療の必要性を同じ目線で説明すれば、自分自身で注射や血液測定ができるようになる」と知ったことも大きかったです。看護師や栄養士などの多職種のボランティアスタッフが一丸となって医療を提供する姿にも心を打たれましたね。

スタッフの皆さんのお人柄も良くて、チームワークの良さが伝わります。

並河整院長 並河内科クリニック2

私たちがめざしているのは「チーム医療」。医師や看護師、臨床検査技師、受付スタッフ、みんなが一緒に患者さんの生涯を伴走できるような温かい雰囲気のクリニックにしたいと思っています。医療を届けるのは人ですから、スタッフあっての当院だと思います。新たに入職された方も糖尿病の専門的知識のほか、患者さんのお顔もしっかり覚えてくれて。一つの家族のような医院にしたいと思っているので、スタッフが患者さんと信頼関係を築き、成長していく姿を見られることは、私の何よりの喜びですね。当院では、同じ悩みを抱える患者さん同士の交流の場になればと、「わかくさの会」という患者会を組織しています。先日もバスを借りてみんなで蒜山に行ってきたんですよ。講師として理学療法士にも参加してもらい、患者さんたちとそれぞれの体力に応じてウォーキングや体操をしたり、みんなでお弁当を食べたりして楽しんでいます。

院内外で切磋琢磨しより良い診療をめざす

スタッフの成長も楽しみの一つなんですね。

並河整院長 並河内科クリニック3

そうなんです。当院は糖尿病に特化したクリニックですので、幅広い症例の糖尿病患者さんの診療や、さまざまな糖尿病の専門的な治療を経験できる環境になっています。糖尿病に対する専門的な経験のない方でも、入職後に働きながら学んでいただくことも可能です。研究会や各種の勉強会への参加も推奨していて、スタッフには診療をお休みしてもらって参加してもらうこともあるんですよ。勉強すると自信がつくし、いろいろなネットワークもできます。島根県には、糖尿病療養指導についての研修制度があり、院外でも切磋琢磨できることが数多くあります。

患者層を教えていただけますか?

開業時は50代の患者さんが多かったのですが、今は70歳程度が患者さんの平均年齢です。90歳以上の方も珍しくありませんね。若い世代の患者さんは、子どもの頃からの1型糖尿病の方や妊娠糖尿病の方、2型糖尿病を発症して間もない方が中心です。他にも健康診断で血糖値の異常を指摘された方の診療も行っています。2型糖尿病の発症は若い場合は30~40代が多いので、気になる方はお早めにご来院ください。

治療の手順について教えてください。

並河整院長 並河内科クリニック4

診察は私が対応し、それ以外は糖尿病療養の専門知識を持つ看護師が中心となってマネジメントします。初診の場合、看護師が病歴や普段の食事、生活全般のことなどについてお伺いし、血液検査をして診察を行います。その後は定期的に看護師や管理栄養士、臨床検査技師が食事や運動、生活のアドバイスを行い、その上で医師による診察を行います。当院では、糖尿病だけではなく、肝・腎・脂質の血液検査が院内で可能なので、すぐに患者さんへ数値のフィードバックができます。その場で何が良かったのか悪かったのか、問題点を話し合える環境にしています。なかなか改善しない場合は薬物療法のステージへと進み、病態によってはインスリン注射や体重を減らす作用の見込めるGLP-1受容体作動薬の注射などを行います。服薬指導や注射については、私と看護師が指導しています。

ネガティブになりがちな患者を笑顔にする診察を

患者さんとのコミュニケーションで大切にされていることはありますか?

並河整院長 並河内科クリニック5

患者さんは、血糖値を下げるための努力をして良い状態に導けたから「いい人」、血糖値が悪い状態のままだから「悪い人」というわけではありません。でも、患者さんたちは血糖値が悪いと「自分が悪いから血糖値が悪い」「我慢できなくてごめんなさい」と、自己否定しがちなんです。私は、患者さんにそういうネガティブな気持ちになってほしくないんです。努力したことや良かった点を積極的に伝えたり、患者さんに笑顔で帰ってもらえるような診療にしたい。ご高齢の患者さんの診療においても同様で、数値やご年齢を見ながら「この患者さんは合併症になるリスクは低いから、厳格な指導より、生活を楽しんでもらいたい」「この人は女性で痩せ型なので、骨折させないようにするほうが重要。厳格なカロリー計算よりも栄養をしっかり取ってもらおう」といったふうに、人生の幸福を見据えた柔軟な指導を行っています。

糖尿病は他の病気にも関わる恐れがあると聞きました。

糖尿病は合併症の多い病気です。神経や目の病気のほか、腎機能にも影響し、進行すると透析や腎移植が必要となることも。ですので、当院では血液検査のデータをもとに、透析導入までのシミュレーションを作成しています。「この調子で推移すると80歳に透析導入になる可能性があります」「生活改善から進行を緩やかにしましょう」と、治療計画や評価の一つの指標にしています。また、最近では膵臓がんの発症リスクについても研究が進められていて、糖尿病治療において「膵臓がんの早期発見」も新たな命題になってきました。地域全体で病診・診診で密接な連携を進めるほか、当院でも症状や血液検査、超音波検査で少しでも疑いのある場合は病院へ紹介するようにしています。

今後の展望を教えていただけますか?

並河整院長 並河内科クリニック6

行政団体やNPO法人などと連携した啓発活動を積極的に行っているので、今後も院外活動でも地域医療に貢献していきたいと思っています。糖尿病予備軍はもとより、健常な段階からの食事や生活へのアドバイスを行えるように、早い段階で関与することが大切です。そのためには地域におけるチーム医療が大きな役割を担っています。地域には熱意に満ちた医師やコメディカルの方がたくさんいらっしゃるので、そうした方々と強固なネットワークを築き、必要に応じて連携できる体制を整えたいと思っています。クリニックとしては、やはり「スタッフと一丸となって、患者さんとともに歩んでいきたい」というのが一番ですね。糖尿病や生活習慣病について何か気になることがあれば、どんな些細なことでも構いませんので、お気軽にご相談ください。

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