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大石 まり子 院長の独自取材記事

大石内科クリニック

(京都市伏見区/藤森駅)

最終更新日:2025/06/06

大石まり子院長 大石内科クリニック main

京阪本線の藤森駅から徒歩約6分。昔ながらの商店街に開院する「大石内科クリニック」は、患者の約9割が糖尿病治療を目的に来院するという、糖尿病に特化したクリニックだ。院長の大石まり子先生は、京都大学卒業後、その関連病院で糖尿病を専門とする医師として長年たくさんの患者をサポートし、開業後も引き続き診ている患者も多いそう。にこやかな笑顔で迎えてくれた大石院長は「こうしなさい、ああしなさいではなく、患者さんと一緒に、できる治療を探しましょう」というスタンスで診療を続けている。そんな大石院長に患者と信頼関係を築くことの大切さから糖尿病治療におけるポイントまで、じっくりと話を聞いた。

(取材日2020年1月10日)

指示や指導ではなく、できることを患者と一緒に探す

広々としてとても居心地の良いクリニックですね。主にどんな患者さんが来られますか?

大石まり子院長 大石内科クリニック1

当院の患者さんの約9割の方が糖尿病の治療を目的とした方です。開院するまで、私はこの近くの独立行政法人国立病院機構京都医療センターで、糖尿病の診療を20年担当しておりました。開業を決めるとありがたいことに「継続して診てほしい」という患者さんが多く、それなら通っていただきやすい場所で、ということでこの場所に決めました。もう30年近く診させていただいている方もいらっしゃいますし、親子3世代にわたって通ってくださる患者さんもおられます。皆さんと長くお付き合いさせていただけているのは、信頼関係が築けたからこそだと思っています。

待合室の向かいは面談室ですね。こちらも窓からの光が明るくて、気持ちが良さそうです。

この第1面談室は、主に管理栄養士が患者さんとの面談に使っています。奥の第2面談室では看護師がお話を伺うことが多いですね。糖尿病を治療していくためには、患者さんご自身にお話ししていただかないといけないことが多いのですが、診察室での短い時間だけでは、なかなか具体的に聞けませんから。初診の患者さんですと最初の3回ぐらいは、最低30分は時間をかけます。なぜこの薬を飲まないといけないのか、運動と食事の調整の大切さなどもご説明します。糖尿病は自覚症状があまりないので深刻な病気ではないだろうと思っていた方でも、私たちとの話の中で理解が深まり、そこから治療に対する行動が変わられる方もいらっしゃいますよ。

先生の診療スタンスを教えてください。

大石まり子院長 大石内科クリニック2

その人の生活スタイルに合わせて、できることを一緒に探していきましょう、というのが私のスタンスです。最初はどうしても医者と患者という立場に緊張される方もいらっしゃいますが、できるだけフラットに、対等な関係で話しやすい雰囲気を心がけています。何でも思ったことをお話ししてもらえる環境をつくる、ということがまず第一です。格好をつけず、ありのままで。「ここでは、自分が普段思っていることを話しても否定されないし、ちゃんと聞いてもらえる」と患者さんに伝わるような話し方や態度でいることを、私自身も意識しています。患者さんはそれぞれ生活習慣も生活のリズムも違います。お仕事が忙しくて朝昼晩と決まった時間に食事を取れない方、一人暮らしで自炊があまりできない方もいらっしゃいますので、会話をしながらその人の生活に合わせたやり方を一緒に見つけていくという感じですね。

何でも話せる信頼関係が治療を前進させる

患者さんとのコミュニケーションを第一に考えるようになったきっかけは何でしたか?

大石まり子院長 大石内科クリニック3

開業して10年ほどたった頃、はたと気づいたのです。患者さんは私を信頼して来てくださり、いろいろとお話もしてくださるのですが、言い訳をされる方も多かった。それは、何か私に責められるかもしれない、怒られるかもしれない……という心理からでは?と思ったのです。日々のコントロールを「つらいな」と思いながらするのと、負担感なくするのとでは、精神的なストレスも違うでしょう。患者さんがもっと楽に糖尿病と向き合えるようにするにはどうすればいいんだろうと考えた結果、たどりついたのが患者さんと対等な関係性。何でも思っていることを話してもらえる、信頼関係を築いていくことでした。そこからコミュニケーションについて私なりに勉強をして、今に至ります。コミュニケーションにゴールはありません。まだまだずっと日々勉強ですね。

糖尿病の診療では、具体的にどのようなことをするのでしょうか?

基本的には食事と運動内容の改善を図ります。これがうまくできていないと、いくら薬の量を増やしても、注射をしても、薬の効果が十分出ないということにもなりかねません。当院では、採血の結果が受診当日にわかります。数値が良ければ何をしてそうなったのかを振り返り、患者さんのモチベーションアップに努めます。糖尿病の難しいところは、この薬を飲めば必ずこうなる、とはならないことです。同じ処方でも、食事の取り方や運動で結果が変化しますし、人によって効果の出方も違います。食事や運動は習慣的行動なので、知っているだけでは行動は変わりません。「こうしたほうがいいですよ」と一方的に言うのではなく、患者さんにやる気になってもらい、いかに実践してもらうかが大事です。

心に残る患者さんはいらっしゃいますか?

大石まり子院長 大石内科クリニック4

以前私が担当していた方で、何を言っても受け流すような感じで、血糖コントロールにも改善が見られなかった1型糖尿病の患者さんです。ある日、看護師とこれまでの治療経過の話になり、思い出したように話してくれたことがありました。発病して初めて入院していた時、血糖値が上がったのを見た担当者に「何か食べたでしょう」と言われたそうです。1型糖尿病の場合、何も食べなくても血糖値が上がることもあり、それは誤解でした。以来、「医療従事者には何を言っても、聞いてもらえないと思っていました」と。そんな過去の経験を突然思い出して、話されたことで気持ちのわだかまりがとれたのでしょう。一気に治療に対してのスイッチが入り、血糖値を測ってインスリンの量を調節するなど、自分でいろいろとやり始めてくださったのです。患者さんと何でも話ができる関係であることの大切さを、あらためて実感した出来事でした。

医師だけではなくスタッフ全員のチーム医療でサポート

先生のご経歴を教えてください。

大石まり子院長 大石内科クリニック5

父と祖父も京都市内の開業医でした。小さい頃往診に出かける父について行った先で、患者さんが父に感謝の言葉をかけているのを見て、人の役に立つことがしたいと思ったことがきっかけです。京都大学医学部を卒業後、内分泌・代謝内科に興味を持ち、糖尿病を専門にしました。糖尿病は年々増加しており、大きな病院の糖尿病専門の外来は患者さんであふれかえっているのが実情です。さらに慢性疾患ですから患者さんは増えていく一方。以前は9時に外来が始まり午後2時頃に終わっていたのが、気づくと夜の7時までに。さすがに私も精神的にも肉体的にも余裕がなくなってきまして、もっとじっくり患者さんと腰を据えて向き合いたいと開業を決めました。

開業後はいかがですか?

自分のペースで診療ができるようになりましたね。さらにチーム医療を実践しやすくなりました。当院には看護師が4人、非常勤の管理栄養士が2人、医療事務担当が4人、医療秘書が1人おります。皆、私と同じ考え方で患者さんに接してくれることが、とてもありがたいです。自分ではわかりやすくお伝えしたつもりでも、時には患者さんが間違って理解していたり、理解できていなかったり、さらにはショックを受けたりすることもあります。するとスタッフがフォローに回ってくれるのです。患者さんを私一人で診ているのではなく、チームで診ているという安心感がありますね。患者さんが厚い信頼を寄せてくださるのも、スタッフのおかげだと思っています。

読者にメッセージをお願いします。

大石まり子院長 大石内科クリニック6

当院の患者さんの最高齢は96歳。糖尿病があっても長生きできる時代になってきました。食べ物が豊かになり暮らしも便利になった今、糖尿病は誰でもかかる可能性があります。巷にはさまざまな健康情報があふれていますが、患者さんには、そういったことに惑わされず、しっかりと自分で考えて判断できるようになっていただきたいです。そのために私たちは専門家として、健康を守るパートナーとして、どのようにしたらその人に合った治療ができるかということを一緒に考えていきます。お一人お一人に合った健康管理をお手伝いできるクリニックであり続けたいですね。

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