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田草 雄一 院長の独自取材記事

ぽよぽよクリニック

(松江市/松江駅)

最終更新日:2022/07/11

田草雄一院長 ぽよぽよクリニック main

松江市東津田町の住宅街の中、積み木がモチーフのかわいらしい看板が印象的な「ぽよぽよクリニック」は、小児科医として30年以上のキャリアを持つ田草雄一(たくさ・ゆういち)院長が2002年に開業した小児科クリニックだ。スタッフたちと笑顔で親子を迎える田草院長は、島根大学医学部附属病院や国立精神・神経センターでの小児神経医療の診療や臨床研究のほか、県内外の病院の小児科で豊富な診療経験を積んできた人物。田草院長とスタッフたちがめざすのは、医療者と患者がお互いを尊重しながらなんでも打ち明けることができるような「友達のような医療」の提供だ。“思いやる心”があってこその医療と話し、親子の体と心がほっと癒やされる居場所づくりに日々まい進する田草院長に、クリニックのことや、診療への想いなどを詳しく聞いた。

(取材日2022年6月8日)

友達のように寄り添う医療をめざして

まず、田草院長が医師をめざした理由から教えてください。

田草雄一院長 ぽよぽよクリニック1

きっかけは臨床検査技師をしていた父の影響ですね。父の職場である病院にも、幼い頃からよく連れていってもらってました。なので、私にとって病院は遊び場じゃないけれど、皆さんからかわいがっていただいた楽しい思い出のある場所でした。同時に父からは「お前は将来医師になれ」と言われながら育ったそうで、そんな洗脳が効いたのか、3歳になる頃には「僕はお医者さんになる」と断言していたそうです(笑)。そしてこの道へと進んだわけですが、小児科を選んだのは、子ども好きが高じてのこと。子どもたちになら命を懸けられると思ったからです。子どもの笑顔は私たちに元気をくれますし、小児科医は診療や治療を通してその笑顔を守っていく仕事。私にとってこの仕事は、神様から与えられた「天職」であると感じています。

田草院長にとって子どもたちは元気をくれる存在なのですね。

はい。なので、進路を決める際に「医師になろうか、保育士になろうか」と悩んだほどでした(笑)。しかし、私の小児科医としての歩みは決して順風満帆というわけではありませんでした。小児医療に携わるようになった大学病院時代には、重篤な患者さんが多かったこともあり、患者さんやご家族との距離感がつかめずに非常に悩んだこともありました。あるお子さんの脳死判定をご両親にお伝えした時のことは、今でもよく覚えています。先輩医師と私は、迷いながらも脳波をお見せして説明をしたのですが、お父さまから強いお叱りを受けてしまったのです。「そんなデータより、この子はこの先どうなるんだ!」と。あの時の衝撃は一生忘れられません。「自分たちはどうすべきだったのか」「ご家族は何を求められていたのか」と何度も問いましたね。その時の経験が「医療に大切なのは寄り添う心だ」という自分の医師としてあるべき姿に気づくきっかけになりました。

大切なのは、患者に寄り添う姿勢ということですね。

田草雄一院長 ぽよぽよクリニック2

それを体現するのが「患者さんと友達になる医療」だと思っています。それを気づかせてくれたのは、映画にもなったアメリカの医師、パッチ・アダムス氏の存在です。彼は、病気への対応はもちろんですが、患者さんに対して最も大切なのは「人間的な対応である」と訴えています。彼の言葉を通して、患者さんやその家族が求めているのは、科学的データや医師としての見解もさることながら、やはり私たち医療従事者の寄り添う気持ちなんだと知ることができました。心ある対応があってこそ、初めて診断を受け入れてもらえるのです。その想いは当院を開業した今でも変わりません。私を含めたスタッフ全員で相手への思いを重視した医療を心がけています。

何でも相談できる親子の居場所になりたい

ぽよぽよクリニックとはどんな場所なのでしょうか?

田草雄一院長 ぽよぽよクリニック3

お子さんの総合的な診療を担う存在として、患者さんやご家族にとってなんでも相談できる場となるよう願っています。そのために、スタッフたちみんなと理想とする姿を共有し、同じ方向に向かって診療にあたっています。めざすのはやはり「患者さんと友達になる医療」。友達が悩んでいたら「寄り添いたい」と思いますよね。私たちも、皆さんも何か不安に感じた時に気軽に来られて相談できる相手になりたいと思っています。スタッフたちとは「患者さんやご家族を年上の友人のように接して、私たち一人ひとりがプロとしての品格をきちんと持った上で患者さんに接するようにしたいね」と話しています。気軽にお話しできるくらい親密だけどきちんと互いの存在に敬意を払い合っている、そんな気持ちの良いお付き合いのできる関係性を築いていきたいです。

テーマパークのようなワクワクする建物ですが、そこにも田草院長のこだわりがあるのですか?

ありがとうございます。「病院らしくない病院」をめざし、子どもたちが楽しんで通えるように工夫を凝らしました。先日も、お母さんから「この前、うちの子が『最近、ぽよぽよに行ってないね。また遊びに行きたいな!』って言ってたんですよ」と笑いながら話していただいて、めざしている存在になれているのかなとうれしく思っています。また、開業当時からのこだわりとしてはもう一点、「感染症対策」がありますね。発熱など感染症状のある方と、そうではない方で玄関を分けて、導線がかぶらないようにしています。さらに、この度改修を行い、感染症状の見られる患者さんのエリアに通路を設けて完全な個室対応としました。乳幼児健診や予防接種に来られる方はもちろん、感染症状のある方を含めた皆さんが安心して受診できるように環境を整えています。

設備面でのこだわりについても教えてください。

田草雄一院長 ぽよぽよクリニック4

当クリニックでは、超音波やエックス線の検査機器をあえて置いていません。検査が必要だと判断すれば、然るべき医療機関をご紹介するという体制ができているからです。当院の役割は「まずは悩みを聞き出し、その症状を見極めること」。正しい医療提供のためのゲートキーパー的な存在だと思っています。そのために、診療中のコミュニケーションを大切にしていますね。患者さんの目を見てお話ができるように、カルテ入力も担当スタッフを設けて任せています。

子どもとしっかり向き合い、その価値観を尊重する

離乳食体験の「もぐもぐ広場」をはじめとしたイベントも催されていて、楽しみながら育児ができそうですね。

田草雄一院長 ぽよぽよクリニック5

これはスタッフたちのアイデアで始めたんですよ。目的は「お母さんたちの居場所づくり」でした。子育てには不安がつきものですが、その中でお母さんが悩んだり孤立したりすることがないように、できる範囲内ではありますが、お手伝いができればという思いから生まれました。もぐもぐ広場では、離乳食のお話だけでなく、母乳にいい食事など、赤ちゃんとお母さんに役立つ情報が満載です。特に初めて子育てをされているお母さん方にお聞きいただきたい内容ですね。また、当院ではもぐもぐ広場以外にも、定期的に栄養相談を行っています。食物アレルギーや偏食など、食にまつわる困り事について、ベテランの管理栄養士さんがお答えしてくれますので、ぜひご利用くださいね。

日々の診療の中で、田草院長が大切にされていることは何ですか?

やはり患者さんとの向き合い方ですね。医師として使命は担っていますが、それはあくまでも役割でしかありません。結局、医療も同じ人間と人間が向き合うことなんですよね。私たちは、どうしても先入観で物事を見てしまう傾向があります。例えば、相手が子どもだというだけで、小さいからあるいは幼いからと決めつけてしまうきらいがあります。しかし子どもというのは、私たちが思う以上に賢いし、パワーがあっていろいろなことをよく知っています。だから私は、子どもたち一人ひとりの価値観を尊重するようにしています。

読者へメッセージをお願いします。

田草雄一院長 ぽよぽよクリニック6

患者とは、字のとおりで「心が串刺しになり痛みを抱えた人」です。医療が発展し専門が細分化している中で、私たち医師はつい病気や治療に目を奪われがちで、目の前の患者さんとの向き合いをおろそかにしてしまいがちになっています。だからこそ、私は目の前の患者さんとそのご家族の痛みや苦しみにしっかりと向き合いたい。心の奥にしまいこんでしまいがちな不安も打ち明けてほしいですし、つらいことがあれば泣いてもいいんです。体だけではなく、心も癒やせる場所でありたいと思っています。ぽよぽよの全員が「来られた皆さんが笑顔になって帰ってもらいたい」と思ってお迎えしているので、何かございましたら気軽にお越しいただきたいです。

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