桃嵜 正啓 院長の独自取材記事
桃崎レディースクリニック
(福岡市南区/大橋駅)
最終更新日:2026/03/16
西鉄天神大牟田線の大橋駅東口から徒歩4分、ビル2階にある「桃崎レディースクリニック」。温かみのあるピンクの看板が目印だ。2003年に先代が開業し、2021年に桃嵜正啓院長が継承した。久留米大学卒業後、大学病院や中核病院で産科・婦人科を幅広く経験してきた桃嵜院長は、女性のヘルスケアを得意とし「しっかり話を聞いて、患者さんに納得してもらう」診療を大切にしている。「これまで十分な説明を受けられなかったと感じた患者の受け皿になりたい」という思いから、土日も診療を行い、あえて予約制を取らない体制を続けている。穏やかでやわらかい雰囲気をまとう桃嵜院長に、思春期から老年期まで女性に寄り添う包括的な診療への思いを聞いた。
(取材日2025年12月23日)
父の背中を追い、患者に寄り添うヘルスケアの道へ
こちらはお父さまが開業されたクリニックだと伺いました。継承の経緯を教えてください。

当院は2003年に父が開業したクリニックで、私は2021年の4月にこちらに戻ってきました。1年ほど父と一緒に診療を行った後、父が引退したため、現在は私一人で診療にあたっています。もともと父からは早く帰ってきてほしいと言われていたのですが、大学病院での勤務の関係でなかなか戻れず、ようやく継承できた形ですね。幼少期から入院施設を併設したこの病院で、お産に携わる父の姿をしょっちゅう見ていましたので、「いい仕事だな」と尊敬の念を抱いていました。いずれは自分も医師になって同じような道を歩みたい、そう子どもの頃から思っていたんです。地域の方々と長く関わりながら診療する父の背中を見て育ったからこそ、この場所でクリニックを継ぐことは自然な選択でした。
先生が産婦人科を専門に選ばれた理由を教えてください。
研修医時代はスーパーローテーションで2年間かけてさまざまな科を回りましたので、産婦人科以外にもいくつか候補がありました。実は父からは反対されていたんです。自分と同じような苦労をしてほしくないという思いからだったのですが、それでも、私は幼い頃から父の姿に憧れて産婦人科医になろうと強く決めていたので、最終的には反対を押し切ってこの道を選びました。久留米大学を卒業後は大学病院や地域の中核病院で研鑽を積み、出産や妊婦健診はもちろん、がん患者さんのターミナルケアや一般外来の婦人科疾患まで、幅広い診療を経験してきました。2年ごとに4ヵ所ほどの病院をローテーションしながら、産科・婦人科領域を広く全般的に学べたことは、今の診療に大いに役立っています。
さまざまなご経験を積まれた中で、現在はどのような分野を得意とされていますか。

昔からゆったりとしたところがあって、しっかり話を聞いて患者さんに納得してもらうという診療スタイルが好きなんです。「この方に何が求められているのか」を丁寧に見つけていく女性のヘルスケアが、一番自分に合っていると感じています。大学病院時代は2年ごとに異動があり、担当していた患者さんと会えなくなることが多かったのですが、この地域に根づいたクリニックに戻ってきたことで、患者さんと長いお付き合いができるようになりました。一生の付き合いと言いますけれども、ずっと顔を合わせて診させていただけることは本当にありがたいことですね。また、さまざまな病院で学んできた幅広い知識があるからこそ、一人で幅広く診療を行う今のスタイルに対応できていると実感しています。
思春期から老年期まで、患者と一緒に治療を選ぶ
現在はどのような患者さんが来院されていますか。

年齢層は本当に幅広いですね。10代前半のお子さんが親御さんと一緒に来られることもあれば、80代・90代で施設に入所されている方を紹介で受け入れることも。また、周辺に外国語学校があることから、ベトナムなど海外の方も多く来院されるのが地域的な特徴です。お悩みとして一番多いのは月経にまつわる症状で、月経痛や不正出血、PMSと呼ばれる生理前の体調不良やメンタルの不調で相談される方が非常に多いですね。当院では現在、お産には対応していませんが、妊娠初期から34週頃までの妊婦健診に対応しています。特に妊娠初期は出血などのトラブルも多い時期ですので、そうした不安を抱える方にとって通いやすいクリニックでありたいと考えています。
女性ならではのそうした症状に対し、どのような治療を行っていますか。
月経にまつわる症状であれば、代表的なのは低用量ピルですね。年齢や体質によってピルが使いにくいケースには、その他のホルモン剤や漢方療法といった選択肢をご提案しています。また、お話を聞いて「病気ではないですよ」と安心してもらうこと自体も、一つの大切な治療だと考えています。治療方針を決める際には、いくつか選択肢を挙げた上で、患者さんと話し合いながら「この方にとってどれがいいか」を一緒に選んでいくスタイルを大切にしています。実は、これまでに十分な説明を受けられなかったり、流されるような対応をされたりして困った経験があるという方が来られることも少なくありません。そうした方には特に細かいところまで丁寧にご説明し、納得していただいてから治療を進めるようにしています。
働く方にとって通いやすい体制を整えていらっしゃるとお聞きしました。

土曜日の午後や日曜日の午前中など、他のクリニックがあまり開いていない時間帯にこそニーズがあると感じていますので、働く世代の方が通いやすいよう診療日を設けています。また、当院では予約制を取っていません。予約制にすると診られる人数が限られてしまい、当日どうしても診てほしいという方に対応できなくなるからです。困っている方に可能な限りお応えしたいという思いから、あえてこの体制を続けています。急に体調が悪くなった時や、すぐに相談したいことがある時に、気軽に足を運んでいただけるクリニックでありたい。そうした思いが根底にあるからこそ、土日診療と予約不要の体制にこだわっているのです。
地域に根差し、気軽に相談できる存在でありたい
診療において大切にされていることをお聞かせください。

一番大切にしているのはコミュニケーションです。患者さんが何を話したいのかを軽く流すのではなく、真摯に受け止めること。そして、こちらがお伝えしたいことも十分にわかっていただき、双方が納得した形で診療を終えることを心がけています。女性を診る仕事ですので、清潔感には特に気を配っていますし、言葉遣いや診察時の動作なども十分に注意しています。不快な思いをさせてはいけないという意識は常に持っていますね。スタッフについても、本当に良い方々ばかりがそろってくれていて、患者さんからの評判も良いと感じています。院長である私一人ではなく、スタッフ全員で患者さんをお迎えする体制が整えられていることに、感謝の気持ちでいっぱいです。
産婦人科を初めて受診される方も多いのではないでしょうか。
そうですね、産婦人科に行くこと自体にハードルの高さを感じている方は多いと思います。実際に「産婦人科は初めて」という方も意外と多くいらっしゃいますし、なかなか第一歩が難しいのはよくわかります。ただ、一度来ていただければ、そこからは通いやすくなるもの。当院は地域密着型のクリニックをめざしていますので、この周辺にお住まいの方々に「ここにあって良かった」「通いやすいね」と思っていただけるような存在でありたいと考えています。何かあった時にすぐ相談できる、そんな立ち位置でいられたらうれしいですね。建物自体は30年以上立っていますが、できる限りこの場所で長く診療を続け、地域の皆さまのお役に立っていきたいと思っています。
最後に、読者へのメッセージをお願いいたします。

些細なことでも構いませんので、女性のお悩みに少しでもお役に立てたらと思っています。いつでも気軽に相談に来てください。診療の中では、定期的に通ってくださっている方を見ると安心しますし、こちらからも「また何かあったら来てくださいね」とお声がけするようにしています。やはり定期的に受診していただくことで、私たちも患者さんの状態をしっかり把握でき、適切なケアにつなげられるのです。当院では思春期から老年期まで、生理不順や生理痛、PMS、更年期障害といった女性特有の不調から、妊婦健診、がん検診、ワクチン接種まで幅広く対応しています。どんな小さな悩みでも、まずはお話を聞かせてください。皆さまが安心して日々を過ごせるよう、これからも丁寧な診療を続けてまいります。

