多様化する出産方法の選択肢
無痛分娩のメリットとデメリット
そらレディースクリニック
(福岡市東区/和白駅)
最終更新日:2023/02/14
- 保険診療
新しい小さな命の芽生え。大きな喜びと同時に、さまざまな不安を抱える人も多いのではないだろうか。つわり(妊娠悪阻)などのマイナートラブル、体の変化、出産・育児のことについて、少なからず悩みはあるだろう。とりわけ陣痛に対して恐怖を感じる妊婦は少なくない。一口に出産といってもさまざまなスタイルがあるが、その中でも最近注目されているのが無痛分娩だ。無痛分娩とは、麻酔で出産時の痛みの緩和をめざす出産法で、世界的に普及している方法だが日本ではまだ一般的とはいえない。今回の取材では、無痛分娩を数多く手がけてきた「そらレディースクリニック」の林広典院長に、無痛分娩についてメリット、デメリットも含めた概要を聞くとともに出産の不安を解消するための同院の取り組みについて語ってもらった。
(更新日2023年1月19日)
目次
出産の形は人それぞれ。一人ひとりの希望や価値観をくみ取り、満足度の高いオーダーメイドの出産をめざす
- Q無痛分娩とはどういったものなのでしょうか?
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A
硬膜外麻酔を用いた出産法です。出産時の痛みを和らげるため、背中に細いチューブを挿入し、そこから麻酔薬を投与します。「無痛」という言葉から「まったく痛みがない」「自分で産んでいる実感がない」と思われがちですが、実際はゼロになるわけではありません。痛みは主観的なものなので、お一人お一人のご要望や状況に合わせて薬の量を調整します。ですから、産んでいるという感覚も味わえます。母子ともに健康であることがお産のゴール。最終的にそれさえ達成できれば、どんな形でもご本人が満足するお産にしていきたいと思っています。当院では、安心・安全な出産をめざすための、あくまでも選択肢の一つとして、無痛分娩を行っています。
- Q無痛分娩のメリットとデメリットは?
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A
メリットとしては、陣痛の緩和と、心と体の負担の軽減をめざせるのが大きいですね。リラックスしてお産に臨めれば、産後の疲労感が少なく、元気な気持ちで赤ちゃんを迎えられるはずです。分娩時に会陰に亀裂が生じて縫合する際にも、無痛分娩だと処置の痛みが少なくて済みます。デメリットは、麻酔による副反応が起こる可能性がゼロではない点です。ただ、硬膜外麻酔は帝王切開でも使用するもので、特別な麻酔ではありません。また、神経があまり通っていない場所に針を刺すため、皆さんが心配されているような大きな事故につながることは少ないでしょう。万が一の場合も、隣の総合病院と連携をとり、迅速に対応できる体制を整えています。
- Q立ち会い分娩を希望していますが、計画分娩は可能でしょうか。
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A
クリニックによっては、時間帯が指定されているところも多いようですが、当院ではそういった制限を設けていません。例えば、遠方の方でご家族が来られる日にお産をしたいというケースもあります。また、無痛分娩を行うかはいつ頃までに決めれば良いのでしょうか、という質問も多く受けますが、基本的にいつでも大丈夫です。お産の途中でも、痛みに耐えかねて無痛分娩にしてほしいとお願いされたら、できるだけご要望に応じるようにしています。出産の主人公はお母さん。ご本人の希望をかなえるべく、考え得る限りの備えをしていこうというのが当院のスタンスです。さまざまなニーズに柔軟に対応する、自由度の高いクリニックをめざしています。
- Q24時間365日体制がその対応を可能にしているのでしょうか。
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A
そのとおりです。基本的にクリニックには医師が控えているので、深夜を問わずいつでも対応します。皆さんが心配されるのは、分娩に際しての急なトラブルだと思いますが、実際に大量出血をして1分1秒を争うような状況に陥るケースも残念ながらあります。しかし、当院では隣接する総合病院と強く連携しており、大量出血や妊娠高血圧症候群など、生命に危機が及ぶ重篤な症状がある場合はすぐに搬送して適切な治療を受けていただけます。また、赤ちゃんが生まれた後も必要に応じて、近隣にある総合病院の新生児専門の先生に相談できます。このように当院では分娩のさまざまなシーンで起き得るリスクに対応できる体制を整えています。
- Q出産の不安を解消するため、どのような取り組みをしていますか?
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A
非日常を味わっていただける空間づくりに力を入れています。当院は「陽気で明るく海を感じるイタリア」をモチーフに設計しており、1階がイタリアの街の入り口、2階は丘陵地に立つイタリアの街並み、3階が古城ホテルをイメージしております。また、初めての妊娠の方でもお産がどのように進むのかをイメージしてもらうために、助産師とマンツーマンで話をできる助産師専門の外来を設けています。さらに、手術の際は少しでもリラックスしていただくため、ご自身のお気に入りの音楽を事前にお聞きしてオペ室内で流す試みも行っています。ご家族の方も宿泊可能なので、入院中もご一緒に内装やインテリアなどを見て楽しんでいただければと思います。