八幡 剛喜 院長、東條 義弥 先生の独自取材記事
やはたウィメンズクリニック
(伊勢原市/伊勢原駅)
最終更新日:2024/06/03
伊勢原市の「やはたウィメンズクリニック」は、19床の入院施設を持つ産婦人科医院。院長の八幡剛喜(やはた・ごうき)先生は長年産婦人科の医師として、研究・臨床経験を積んできたベテランドクターだ。大規模病院で培った経験と知識を生かし、安心・安全な産婦人科医療を提供したいと、2002年に開院した。2014年からは女性医学に詳しい東條義弥(とうじょう・よしや)先生を迎え、思春期から老年期まで、各ライフステージの女性のヘルスケアに特化した外来を2018年に開設。患者本位のきめ細かな診療を行っている。地域医療を担うクリニックのドクターとしての思いや将来の展望について、八幡院長と東條先生にたっぷりと話を聞いた。
(取材日2023年4月2日/情報更新日2024年5月15日)
妊娠・出産を軸に、女性の一生を通してサポート
この場所にクリニックを開院された理由をお教えください。
【八幡院長】できるだけ良い環境で、安心してお産をしていただきたいと思ったからです。ゆったりとしたお産ができる静かな郊外で、車でのアクセスが良く、広い駐車スペースが取れる場所を探しました。当院の屋上からは富士山も望めるんですよ。以前勤務していた病院では産科部長でしたが、大学で腫瘍関係の研究をしたり論文を発表したりした経験から、婦人科の治療や手術なども担当していました。大げさでなく、食事を取る時間もないような多忙な日々を送るうち、「余裕がない中で患者さんを診ていて、本当に患者さんの求めるお産が提供できているのか」と、疑問を抱くようになったのです。分娩をメインにしたクリニックで、患者さんにきめ細かい配慮をしたい。そう考え、開院を決意したのです。
診療方針を教えてください。
【八幡院長】小さな診療所ならではのこまやかな対応で、患者さん本位の診療を提供することです。お母さんと赤ちゃんに優しく、安心してお産ができることはもちろん、幅広い年代の女性に寄り添えるクリニックでありたいと思っています。ですから妊娠・出産以外でも、外来では不妊検査・治療、がん検診、婦人科一般検査・更年期など幅広く対応して、地域に根づいた医療を提供できるクリニックをめざしています。2018年からは新たなアプローチで患者さんをサポートするため、東條先生を中心に女性のヘルスケアを専門に行う外来を立ち上げました。
女性のヘルスケアを専門に行う外来とは具体的にどのようなものですか?
【東條先生】すべての女性を対象に、例えばホットフラッシュや急なのぼせといったホルモン分泌の変化に起因する症状や、閉経後の女性で増加する高血圧症、脂質異常症、骨粗しょう症などのご相談を受けています。治療はホルモン補充療法や漢方薬によるものが中心です。男性では30代から増える生活習慣病ですが、女性はホルモンの働きで守られているため30代では増えず、閉経後にグッと増えるのです。これまでも更年期を専門に診るところはありましたが、当院では更年期だけではなく更年期後や予防も視野に入れた診療で一生を通して女性をサポートしたいと考えました。週に1度、初診の方は30分ほどの時間を取って対応していますが、週ごとに初診の方が数人いらっしゃることから、ニーズは高いと感じています。
【八幡院長】同じ時期から非常勤ですが、女性医師の大鹿先生にも、女性ならではの細やかで親切・丁寧な診療をしていただいています。
新鋭機器と経験に基づく超音波検査で異常を早期発見
胎児の超音波検査にも力を入れていらっしゃるとか。
【八幡院長】当院では先進の4D超音波検査機器を2台導入し、超音波検査専門の技師が精度にこだわった超音波検査を行っています。おなかの中の赤ちゃんの様子を正しく伝え、妊娠中のお母さんたちが抱く目に見えない不安を払拭するお手伝いができればいいなと思っているんです。例えば、心臓は奇形率が高いにもかかわらず出生前に診断することが難しいのですが、超音波検査では血流までも立体的に見ることができます。早期に異常を見つけられれば、必要に応じて適切な機関へとご紹介するなど、生まれる前から生後の対策を練ることができます。そのためにも、細心の注意を払って見落としのない検査に努めています。当院での出産予定がない方でも超音波検査は受けていただけるので、ぜひご活用ください。
スタッフさんの笑顔も印象的ですね。
【八幡院長】患者さんはもちろんですが、医師もスタッフも笑顔の絶えない、明るい空間にするように、そのためにチームワークを大事にするようにと、スタッフには開院当初から伝えています。チームワークが悪いと雰囲気も悪くなりますし、事故を誘発する原因にもなりかねません。多くのスタッフが在籍する大所帯ですが、おかげさまで離退職も少なく、各所属長を中心にスムーズに機能しています。ここ数年は会食などでチーム力を高める機会を持つことが難しい状況でしたが、月に1度のカンファレンスなどを通して情報共有に努め、患者さんに信頼されるチームを維持できていると感じています。
【東條先生】当院には女性医師も在籍しており、丁寧な対話で患者さんの情報を拾い上げてくれています。男性では話しづらいことや気づけないこともあるでしょうから、ご要望に合わせて男性医師と女性医師のいずれかをお選びいただけます。
診療の際に心がけていることは?
【東條先生】外来患者さんが増えているので、忙しくなるとどうしてもお一人お一人に対応する時間は短くなってしまいがちです。しかし、そんな中でもできる限りしっかりお話を聞き、できるだけわかりやすくご説明するよう心がけています。疑問は解消し、安心して笑顔で帰っていただきたいですからね。
【八幡院長】予約や待ち時間など患者さんへの対応は常に課題で、今年度は新予約システムや電子カルテを導入しました。今後はクレジット決済・自動精算機の導入なども検討中です。新しいシステムを活用して診療を効率化することで、その分の時間を患者さんのために使いたいと思っています。
子育て支援にも注力、一次医療機関として地域に貢献を
産婦人科の医師としてやりがいを感じる瞬間は?
【八幡院長】長く産婦人科医をしていると、勤務医時代に取り上げたお子さんが妊婦さんで来ていたり、思春期になり女性特有の悩みを相談に来られたりします。信頼の証をいただいたようでやりがいを感じますし、感動的でもあります。すぐにいただける「ありがとう」もうれしいですが、何年も切れないつながりをいただけると、この仕事を続けていて良かったと思います。
【東條先生】自分が出産時に危険な状態だったことを聞いたのが、医師を志したきっかけです。ですから出産の緊急時に対応できると高揚感があり、やりがいを感じています。今こうして町の産婦人科クリニックという、患者さんのより近くで診療に集中できる環境にいられることにも満足しています。
将来の展望をお聞かせください。
【八幡院長】開院して早20年以上がたち、医師やスタッフの高齢化、施設・設備の老朽化なども感じる状況になりました。これからは、すべての領域で若返りを考えつつ、医療の質を低下させないよう常に新しい医療情報を注視しながら診療を続けたいと思っています。少子化の歯止めがかからない日本で、国を挙げて取り組んでいる子育て支援のお手伝いに、少しでもお役に立てればと考えています。今後は産後ケアなども検討し、この地域で安心して妊娠・出産できる環境づくりに取り組んでいきたいです。また、分娩だけでなくその後のパパママの出会いのチャンスもつくっていければと思います。子育て中の親御さん同士がお友だちになれば、育児の相談もできるのではないでしょうか。また、ヘルスケアの観点から中高年の方が参加できる教室も開催したいですね。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
【東條先生】更年期障害のような症状があって更年期の外来や婦人科を受診したのに「あなたは更年期の年齢ではないから」と言われて行き場がない、あるいは何科に行っても「特に異常はない」と言われた、そんな方も諦めないでください。つらい症状を改善するために、できる限りお力になりますので、ぜひ一度ご相談ください。
【八幡院長】お産はもちろん、婦人科のちょっとした不安や疑問、あるいは育児についてもご相談いただければ可能な範囲でお答えします。また、必要に応じて他の医療機関をご紹介することもできます。これからも一次医療を担うクリニックとして、そしてお母さんやお子さんの身近な存在として、頼りにしていただける存在でありたいと思っています。
自由診療費用の目安
自由診療とは4D超音波検査/3300円