根来 良材 院長の独自取材記事
ルナレディースクリニック
(堺市堺区/堺駅)
最終更新日:2023/05/29
南海本線・堺駅、東出口から吾妻橋交差点を越え徒歩3分の場所にある「ルナレディースクリニック」は、駅近の好立地ながら専用駐車場を4台完備し、近隣はもちろん奈良や和歌山からも多くの患者が訪れている。治療のタイムロスをなくすため、タイミング法から体外受精・顕微授精まで一貫した不妊治療の提供をめざし、2003年に開業した根来良材(ねごろ・よしき)院長は、「患者の思いを遮ることなくしっかり聞く」を診療ポリシーに掲げ、完全予約制での診療を実施。待ち時間も退屈しないたくさんの書籍の設置や、心地良いBGMのセレクトなど、誰もが過ごしやすい院内環境づくりに力を入れている。同クリニックの治療方針や強み、不妊治療に関する疑問など、根来院長に話を聞いた。
(取材日2020年8月5日)
とことん話を聞き、気持ちに寄り添う不妊治療を
不妊治療専門クリニックを開業した経緯を教えてください。
今から20年ほど前の勤務医時代、赴任先だった岐阜の病院で、不妊に悩んでいる方が非常に多いことを知りました。以来、不妊症の分野を中心に診療を行ってきたわけですが、当時在籍していた病院では、体外受精や顕微授精には対応していなかったんです。その頃は年齢と妊娠率に関する知識が乏しく「40代でも遅くない」という認識の方も多かったのですが、不妊治療にとって年齢はたいへん大きな要素。タイミング法や人工授精では妊娠が望めないにもかかわらず、施設が高度な治療に対応していないことで時間を費やしてしまうのは患者さんにとって非常に不利なことです。転院しなくても顕微授精までできる施設を、との思いから開業に至りました。
診療のポリシーを教えてください。
診療の時間に制限はあるものの、その中でも最大限、患者さんの思いをお聞きするということです。言葉を遮ったり途切れさせたりしないよう、できる限りお話を伺うよう心がけています。また診療は、当クリニックから基本の診療方針を提示した上で、患者さんの希望と擦り合わせていきます。「しばらくはタイミング法を行いたい」「早めに体外受精にステップアップしたい」など、ご夫婦の希望に沿いながら、タイムロスのない治療をめざします。中には転院されてくる方もいらっしゃいますが、過去の治療を否定せず、その治療経験を尊重するのも私の診療ポリシーの一つです。
診療でこだわっている部分はありますか。
可能であれば自然妊娠で授かっていただきたいと考え、当クリニックでは体質改善を目的とした漢方の処方に力を入れています。最近では不妊の原因は男性にもあることが広く知られるようになり、ご夫婦で来院される方も増加傾向です。男性不妊の治療を専門的に行っているわけではありませんが、なるべく自然な形で妊娠できるよう、女性だけでなく男性にも漢方での体質改善に取り組んでいただいています。しかし先ほども申し上げたとおり、不妊治療にとって年齢は大きな要素となり得ます。時間を無駄に費やさないためにも、自然妊娠が難しいと判断した場合はすぐにステップアップし、体外受精・顕微授精まで行える選択肢を用意しています。
「仕事も続けて」通いやすい夜間・土日診療も実施
同クリニックの強みを教えてください。
体外受精・顕微授精にも対応し、少人数でも大規模なクリニックと同等の治療をご提供できていると自負しています。医師は私一人ですので、一貫した対応が可能なのも当クリニックの強みだと考えます。なお漢方を中心に体質改善を図るものの、流産を繰り返したり、あるいは不育症であったりする患者さんには、速やかに大阪母子医療センターをご紹介します。
不妊治療は心身ともに負担のかかる治療だと思います。
当クリニックでは「仕事を諦めずに不妊治療をする」というのも一つの大きな目標です。不妊治療をするにあたって多忙の中、仕事を休んだりそのことで「同僚に申し訳ない」と負い目を抱いていたり、あるいは仕事を辞めて治療に臨んだりと、心身ともに負担を感じている患者さんは多くいらっしゃいます。職場で肩身の狭い思いをしてほしくないですし、今までどおり大切なお仕事を続けていただきたい。女性の負担を軽減できるよう、会社帰りや休日に診療が受けられる環境を整えるなど、診療時間にも配慮しています。また、パートナーの男性の負担も緩和できるよう、土日診療でも精液検査を実施しています。
妊娠を希望する場合、どのタイミングで受診すればいいでしょうか?
30代を過ぎれば妊娠率も下がり、年齢とともに流産率も高くなる傾向にあります。子どもを授かりたいと考えている方は、少しでも早い受診を検討してください。また10代・20代など結婚前の若いうちから検査を受けたり、体質改善に取り組んだりすることも重要です。例えば当クリニックでは、月経不順などの症状で受診された場合、「ピルを処方して終わり」ということはありません。ピルの力で排卵を止めて安定させるのではなく、自力で排卵の周期をつかめるように、漢方などを活用して根本からその不調の原因を改善していきます。そうした取り組みが、将来の自然妊娠につながると考えます。
今後、考えている取り組みなどがあれば教えてください。
不妊治療の分野は日々進化しており、最新の知見や治療技術などを学ぶためにセミナーや勉強会などに参加しています。その中で、最終的に妊娠できない患者さんが多い傾向にある着床障害について改めて知る機会がありました。これを契機に今後は着床障害に関する新たな治療法や機器についてアンテナを張り、重点的に検討していきたいと思っています。
飲料、書籍、音楽……。すべての人に配慮した心地良さ
どのようなとき、仕事にやりがいを感じますか?
父が産婦人科医師でしたから、その働く姿に影響を受けて自然と医師の道を志しました。私にとって一番身近な職業を選んだわけですが、無事妊娠した患者さんの笑顔を見ると、医師という道を選択して本当に良かったと実感します。出産後に赤ちゃんを連れて来院してくれる患者さんも多く、この時ほどうれしいことはないですね。また、かつて長い不妊治療の末ようやく第一子を妊娠・出産された方が、2人目を迎えるにあたり当院に不妊治療を受けに来てくださったこともありました。その際に、これまでの背景に寄り添って丁寧に対応したら、患者さんにとても喜んでもらえたんです。患者さんの明るい表情を見ることが、私のやりがいにつながっています。
院内はとても温かな雰囲気で、患者さんが快適に過ごせそうですね。
当クリニックは患者さん一人ひとりとしっかり向き合うため、完全予約制としています。しかしお話をきちんと聞こうとするあまり、ついつい診察時間が長くなり次の患者さんをお待たせしてしまうこともあります。その際もなるべく快適にお過ごしいただけるように待合室には飲み物とお菓子をご用意し、妊娠・出産に関する本のほか、私がコレクションしている漫画なども置いています。男性も楽しめると思いますよ(笑)。また、私は美術や音楽が特に好きなものですから、大好きな画家の作品を飾ったり、院内BGMにもこだわったりと心地良い空間をめざしています。このほか2人目不妊の治療などで来られるお子さん連れの方のために、キッズルームを設けています。すべての患者さんに配慮するため、お子さんが待合室を通らずに入室できる造りとなっていますのでご安心ください。
読者へのメッセージをお願いします。
お子さんを授かりたいと考えておられるなら、時期やタイミングなどを待たず、まずは早めに近くの婦人科に行くことが大切です。妊娠は年齢に大きく関係しますから、遅くなればなるほど妊娠率は下がります。もし何か問題があっても早いうちに治療することができれば、将来的な妊娠につながりやすいでしょう。当クリニックでは不妊治療を検討している方のための説明会を、火曜と日曜の午後に実施しています。2020年現在は感染症対策のため1回2組程度と規模を縮小していますが、ご希望に応じ予約制で開催しています。治療の流れや費用など不妊治療の基本はもちろん、どんなご質問でも受けつけています。気軽にご相談ください。