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上野 正剛 院長の独自取材記事

八幡山ハートクリニック

(世田谷区/八幡山駅)

最終更新日:2019/11/19

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京王線・八幡山駅から徒歩17分ほどのところにある「八幡山ハートクリニック」は、院長の上野正剛(うえの・まさたけ)先生が閉院する医院を引き継ぐかたちで2006年に開業した。上野院長は開業前は大学病院の集中治療室で心臓管理に携わった循環器内科のスペシャリストだが、開業以来、外来と訪問診療の両輪で地域の医療に貢献してきた。「足を踏み入れたことがなかった」という地に開業してから13年が過ぎ、近隣の診療所から紹介されて来院する患者が増加する一方、高齢者やその家族が困った際の「駆け込み寺」の役割を担う。やわらかな笑顔と穏やかな語り口が印象的で、「街と一緒に年を重ねる『街のパン屋さん』のような病院をめざす」と話す上野院長に話を聞いた。
(取材日2019年9月12日)

もっと身近な存在として、地域の人々の健康を守りたい

開業されたいきさつを教えてください。

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以前はここに別の循環器内科の医院がありました。僕の先輩の知り合いが開業されていたのですが、閉院することになり、代わりの人を探しているという話が舞い込んできました。その先生も循環器内科が専門だったことから、心臓に詳しく、往診もできる元気な人間が良いということで、僕の名前が挙がりました。ちょうど自分で開業したいと思っていたのですが、当時33歳で心臓の専門家として独り立ちしたばかりで、大学病院の教授、先輩、家族からは「早過ぎる」と反対されました。でも、開業医としてスタートするチャンスは今という思いが強く、何もせずに後悔をするのは嫌だったので、この地に骨をうずめる覚悟で開業を決心しました。世田谷区はそれまで足を踏み入れたことのない地域で、どんな町なのだろうと戸惑いもありましたが、地域の方々に支えられ今日に至っています。

開業を意識したきっかけは何だったのですか?

医師になった当初はまさか自分が開業をするとは思ってもいませんでした。そもそも個人病院は先代から続いていることが多いので、親族に医師のいない僕には他人事でした。それがなぜ開業することになったかというと、大学病院の集中治療室では、心臓が止まった状態で運び込まれた患者さんのために連日病院に泊まり込み、0.1mg刻みで薬を管理していました。しかし、元気になって退院されても一週間もたたないうちに救急車で運ばれて戻ってくる人がいるんです。つまり、一歩大学病院の外に出たら管理できる医師が少ないということ。こんな状態に疑問を感じ始めたことがきっかけでした。僕はもともと地域医療に貢献する医師の姿に憧れてこの道を選んだので、自分の理想の医療を実現したいと思い開業を考えるようになりました。

具体的にはどんな思いがあり医師の道を選んだのですか?

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親や親戚など周りに医師がいなかったこともあり、自分自身が病院というものに敷居の高さを感じていました。自分が医師になりその垣根を取り払いたいという思いがありましたね。小学校の文集にはすでに「医者になりたい」と書いていたのですが、どうすれば医師になれるのかよくわからなくて。とりあえず医学部に入るため、必死で数学と理科の勉強をしました(笑)。循環器内科を選んだのは、学生時代を秋田で過ごした時に心臓の悪い人が多かったことと、カテーテルの処置を見て単純に「すごい」と思ったからです。卒業後はそのまま秋田に残ることも考えましたが、当時、心臓移植に力を入れて取り組んでいた東京女子医科大学附属日本心臓血圧研究所などで勤務をしました。そこでは眠る時間もないほどの忙しさでしたが、その分、普通の病院の何倍もの経験を積ませていただけたと思っています。

患者と一緒に頸動脈エコーを確認し、モチベーションに

診療の際大切にしていることは?

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患者さんに壁をつくられないようにすることですね。病院に来て聞きたいことが聞けないまま帰ってしまうのでは意味がないので、まずは、なんでも気兼ねなく聞いてみようと思ってもらえることが大切です。また、病院を転々とした揚げ句当院にたどり着いた方もいるので、そういう方には病院探しに終止符を打ってもらえるように、患者さんが納得できるわかりやすい説明を心がけています。検査にも力を入れています。特に、患者さんが画像を見ることのできる頸動脈エコーは、自分の血管の画像を見ることで治療へのモチベーションにつながる方が多いのです。

循環器内科はどんな時に利用すればいいのでしょう?

最近は動悸や息切れ、胸の痛みを訴える30~50歳代の女性が増えています。以前は更年期障害で片づけられていた症状が、実は特殊なタイプの狭心症だったということもあるので、「心臓かな?」と思ったら循環器内科の受診をお勧めします。病気を疑うのは簡単ですが否定するのは難しいです。勝手に想像していると怖いことばかり考えてしまい気分も沈んでいきますから、疑問や不安を解消するために受診すればいいと思います。僕は少なくとも胸に関することであれば緊急事態は見落とさないようにと思っていますし、初診でも急を要する病気が見つかった場合は、即救急車で大きな病院に搬送できるように日頃から連携を取っています。

在宅診療にも力を入れていますね。

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自宅での看取りなど、在宅診療のニーズは高まっていると感じています。世田谷区は、一人暮らしのお年寄りも多い地域ですし、家族がいても介護する方が高齢になっている家庭もあり、困ったときに手を差し伸べる人が足りないんです。そういう意味では、僕たちのような町の開業医が困ったときの駆け込み寺になっているようです。頼っていただければできる限りお応えしますが、高齢の患者さんでもご自身が自立して前向きに生きることが大切だとお伝えしています。また、在宅介護をする家族が頑張りすぎず、患者さんとともに家族であり続けること。それもとても大切です。そのために僕たちができることは何かをいつも考えます。外来と在宅診療の両立は大変ですが、長く続けていきたいですね。

近隣の診療所や総合病院との連携を強化

医師の仕事のやりがい、難しさはどういったところにあると思いますか?

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医師の仕事はつらいことやきついことも多いのですが、それでも「嫌だ」とは思わずに続けていられるのはありがたいことですし、この仕事を選んで良かったと思いますね。勤務医時代に、残念ながら命を落とされた患者さんに対して「すみませんでした」という気持ちでいると、ご家族の方が泣きながら「ありがとう。最後にこの病院に来て、先生に会えて良かった」と言ってくださったことがありました。今も在宅診療をしていると看取る機会が多いのですが、「先生がいてくれて良かった」と言ってもらえると、助けることができなかったという無念さが少し報われる気がします。救えなかったことに対して悲観的になっていた時期もありましたが、最近は笑って最期を迎えていただきたいと考えるようになりました。最期に「行ってきます」「行ってらっしゃい」とお別れができるような、患者さんとの信頼関係や環境づくりをしていきたいですね。

今後の展望を教えてください。

開業医は医療技術も大切ですが、それ以上に患者さんと向き合うことが重要ですので、患者さんの話にじっくり耳を傾ける「プロの町医者」をめざしたいですね。規模拡大は考えていませんので、今できることに取り組み、地域とともに年を重ねる「町のパン屋さん」のような存在が目標です。見知らぬ土地での開業でしたが、最近は近隣の診療所から紹介されて来院される患者さんが増えました。僕も専門外の分野は近隣の診療所に紹介する、そんな関係を築いていきたいです。そして、大きな病院は日々医療が進歩していますので、先進の治療が必要な場合は迅速に橋渡しができるように体制を整えたいですね。

最後に、読者にメッセージをお願いします。

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患者さんの体を一番わかっているのは患者さん自身です。「自分の主治医に自分がなる」という気持ちで、体の不調を感じたり、困ったことがあったりしたら、受診するようにしてほしいですね。複数の病院にかかった結果、当クリニックにたどり着く方もいらっしゃいますが、ご自身に合う病院を見つけるためにも、ご自身が聞きたいことや疑問に思っていることを投げかけてみて、相手がどんな姿勢でどんな球を投げてくるか、キャッチボールがうまく成立するかどうかで見極めることが必要です。僕は患者さんとの間に壁をつくらないことをモットーにしていますので、診察室では気になることを遠慮なくお話しいただきたいですね。

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