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上野 正剛 院長の独自取材記事

八幡山ハートクリニック

(世田谷区/八幡山駅)

最終更新日:2026/05/26

上野正剛院長 八幡山ハートクリニック main

「八幡山ハートクリニック」は京王線・八幡山駅から徒歩約17分の住宅街にたたずむ。院長を務めるのは、やわらかな笑顔と穏やかな語り口が印象的な上野正剛(まさたけ)先生。開業前は大学病院の集中治療室で心臓管理に携わった循環器内科のスペシャリストだ。専門性を生かしながら、外来から在宅診療まで切れ目なく支える体制を築いてきた。心臓の病気はもちろん、生活習慣病や日々の不安にも丁寧に向き合う上野院長に、診療にかける思いを詳しく聞いた。

(取材日2026年4月9日)

もっと身近な存在として、地域の人々の健康を守りたい

開業されたいきさつを教えてください。

上野正剛院長 八幡山ハートクリニック1

以前はここに別の循環器内科の医院がありました。僕の先輩の知り合いが開業されていたのですが、閉院することになり、代わりの人を探しているという話が舞い込んできました。その先生も循環器内科が専門だったことから、心臓に詳しく、往診もできる元気な人間が良いということで、僕の名前が挙がりました。ちょうど自分で開業したいと思っていたのですが、当時33歳で心臓専門の医師として独り立ちしたばかりで、大学病院の教授、先輩、家族からは「早過ぎる」と反対されました。でも、開業医としてスタートするチャンスは今という思いが強く、何もせずに後悔をするのは嫌だったので、この地に骨をうずめる覚悟で開業を決心しました。世田谷区はそれまで足を踏み入れたことのない地域で、どのような街なのだろうと戸惑いもありましたが、地域の方々に支えられ今日に至っています。

開業を意識したきっかけは何だったのですか?

医師になった当初はまさか自分が開業をするとは思ってもいませんでした。そもそも個人病院は先代から続いていることが多いので、親族に医師のいない僕には他人事でした。そこから開業することになったきっかけは、集中治療室の経験です。集中治療室では、心臓が止まった状態で運び込まれた患者さんのために連日病院に泊まり込み、極めて厳密に薬を管理していました。しかし、退院されて1週間もたたないうちに、救急車で運ばれて戻ってくる人がいるのです。つまり、一歩病院の外に出たら管理できる医師が少ないということ。このような状態に疑問を感じ始めたことがきっかけでした。僕はもともと地域医療に貢献する医師の姿に憧れてこの道を選んだので、自分の理想の医療を実現したいと思い、開業を考えるようになりました。

具体的にはどのような思いがあり医師の道を選んだのですか?

上野正剛院長 八幡山ハートクリニック2

親や親戚など周りに医師がいなかったこともあり、自分自身が病院というものにハードルの高さを感じていました。自分が医師になり、その垣根を取り払いたいという思いがありましたね。小学校の文集にはすでに「医者になりたい」と書いていたのですが、どうすれば医師になれるのかよくわからなくて。とりあえず医学部に入るため、必死で数学と理科の勉強をしました(笑)。循環器内科を選んだのは、学生時代を秋田で過ごした時に心臓の悪い人が多かったことと、カテーテルの処置を見て単純に「すごい」と思ったからです。卒業後はそのまま秋田に残ることも考えましたが、当時、心臓移植に力を入れて取り組んでいた東京女子医科大学循環器内科などで勤務をしました。そこでは眠る時間もないほどの忙しさでしたが、その分、普通の病院の何倍もの経験を積ませていただけたと思っています。

開院20年、地域に寄り添い続ける循環器診療

開院20周年を迎えられたことについて、どのように感じられますか?

上野正剛院長 八幡山ハートクリニック3

正直なところ、気がついたら20年がたっていたというのが実感です。この20年の間に、医療を取り巻く環境や社会のあり方は大きく変わり、診療所の役割も診察や治療だけにとどまらず、地域の中で患者さんを継続的に支えていくことがますます求められるようになってきました。多職種の方々と連携しながら、より良い医療をめざして診療を続けていくことの大切さを、これまで以上に感じています。そうした中で、最初に会ったとき70歳だった方が90歳になって、入院も繰り返さず元気に通ってきてくださる姿を見ると、こちらが励まされることも多いです。地域の医療を続けてきた意味をあらためて感じますし、患者さんの存在に、僕は支えられてここまで来たのだと思います。

長く患者さんとの関係を築いてこられた背景には、どのようなお考えがありますか?

循環器の診療は1つの治療で完結するというより、患者さんと長く付き合っていく必要のある病気が多い領域です。だからこそ一方的に診るのではなく、患者さんにきちんと納得していただきながら、一緒に治療を進めることを意識しています。例えば薬一つをとっても、なぜ必要なのかをご本人が理解しているのと、そうでないのとでは、治療への向き合い方は変わってきます。ですので診察では、不安に思っていることを率直に話していただける雰囲気づくりを心がけています。また、患者さんに信頼していただくのはもちろんですが、僕自身も患者さんを信じて向き合うことが必要です。そうした日々の積み重ねが、長く通っていただける関係につながっているのかもしれません。よく「お医者さんらしくないですね」と言われることもあり、そうした距離の近さや話しやすさも、当院の特徴なのかもしれません。

現在、どのような患者さんが多く来院されていますか?

上野正剛院長 八幡山ハートクリニック4

当院は幅広い年齢層の方が来院されています。慢性の心臓病など基礎疾患を抱える高齢の方は多く、一方で若い世代の受診も少なくありません。例えば、若い方では不整脈や、健康診断・学校健診で循環器系の異常を指摘されて相談に来られるケースが多いですね。年齢でいうと10代後半から20代、30代くらいまでで、大学受験前のストレスをきっかけに不調を感じる方や、社会人になってから責任やストレスが増す中で、胸の苦しさなどを自覚して受診される方もいらっしゃいます。男女問わず、そうした若い世代の受診は最近少しずつ増えてきている印象です。

近隣の診療所や総合病院との連携を強化

在宅診療にも力を入れているそうですね。

上野正剛院長 八幡山ハートクリニック5

そうですね、世田谷区は一人暮らしの高齢者も多く、在宅診療の現場では孤立を感じる場面が以前より増えている印象があります。だからこそ、地域の診療所が困ったときに相談できる存在でありたいと思っています。在宅医療はまさにチーム戦だと思っています。医師だけでなく、ご家族、看護師さん、薬剤師さん、ヘルパーさんなど、さまざまな方が関わりながら、ご自宅での療養から最期の時間まで支えていく医療です。終末期に関わることも多いですが、その時間ができるだけ穏やかで、「いい人生だった」と思えるものであってほしい。また、在宅介護をする家族が頑張りすぎず、患者さんとともに家族であり続けること。それもとても大切です。そのために僕たちができることは何かをいつも考えます。外来と在宅診療の両立は大変ですが、長く続けていきたいですね。

今後、地域にとってどのような存在であり続けたいですか?

地域にとっては、困ったときにまず相談できる、身近で頼れる存在であり続けたいと思っています。循環器領域では医療技術の進歩が非常に早く、この数年でも虚血性心疾患や心不全、不整脈に対するカテーテル治療やデバイスを用いた治療が大きく発展しています。これまで長期入院が必要だった外科的治療でも、低侵襲かつ短期間の入院で受けられる方法が増えてきました。そういった治療にアクセスできる橋渡し的な役割もできるよう力を入れています。また、20年間の積み重ねの中で、近隣の中核病院との連携も以前より取りやすくなり、クリニック同士でも得意な部分を生かして協力し合える関係が少しずつできました。当院のかかりつけの患者さんだけでなく、地域の方々に対して八幡山ハートクリニックが果たしていける役割が何かを模索していきたいと思っています。

読者へのメッセージをお願いします。

上野正剛院長 八幡山ハートクリニック6

あまり構えずに受診していただきたいですね。心臓のことが少しでも気になったときには、一人で悩み続けるよりも、まずはご相談いただくのが一番の近道です。不安に思っていることをそのまま伝えていただければ、必要な検査や治療をともに考えていくことができます。そうした対話を重ねる中で、少しずつ安心していただける関係を築いていければ幸いです。小さな違和感でも構いませんので、どうぞ気軽にご相談ください。