野本 茂 院長の独自取材記事
のもと内科・小児科
(安城市/三河安城駅)
最終更新日:2026/10/30
三河安城駅から徒歩約10分。駅周辺の喧騒から少し離れた住宅街に「のもと内科・小児科」はある。院長の野本茂先生は名古屋大学医学部を卒業後、日本循環器学会循環器専門医として研鑽を積み、2004年に開業。以来22年にわたり地域のかかりつけ医として子どもから高齢者まで幅広い世代の診療を続けてきた。自然光が差し込む院内はバリアフリー設計で、キッズルーム、授乳室を備え、子育て世代への配慮が感じられる。穏やかな笑顔が印象的な野本院長は「昔の町医者みたいな感じで、『よく来たね、どうしたのかな』という感じのスタイルを大事にしています」と語り、患者との対話を心から楽しんでいるという。野本院長に、地域医療にかける思いを聞いた。
(取材日2026年7月29日)
地域に根差して22年、世代を超えて通えるクリニック
まずは、先生がこちらで開業された経緯をお聞かせください。

子どもの頃に風邪で寝込んだ経験から、治療してもらえることのありがたさを実感し、人の役に立てる医師という仕事に憧れを抱くようになりました。名古屋大学医学部を卒業後、西尾市民病院で7年ほど、安城更生病院で2年ほど勤務し、内科医としての研鑽を積みました。もともと地域に根差した医療がしたいという思いが強かったので、開業はずっと頭にありました。岡崎出身ということもあり、西尾・安城・岡崎のあたりで土地を探していたところ、良いご縁に恵まれ、2004年9月に安城で開業することになりました。病気は誰にでも起こり得るものですから、困ったときに気軽に頼れる場所をつくりたいという気持ちが、開業の一番の原動力になっています。
開業から22年、地域とのつながりで感じる変化はありますか。
開業した頃はちょうどこの地域に若い世代が多く住み始めた時期で、お子さんの患者さんもたくさんいらっしゃいました。それが22年経つと、当時来ていた子どもたちが大人になって、今度は自分のお子さんを連れて来てくれるようになったんです。世代が一巡しても変わらず通い続けてもらえるのは、本当にありがたいことですね。地域との関わりとしては、小学校の学校医や園医、3歳児健診なども約20年間にわたって担当させてもらっています。学校医として小学校を訪れると以前からかかりつけ医として通っている子もいますし、そうした積み重ねの一つ一つが信頼関係の構築につながっているのだと思います。当初から掲げていた「地域密着」というコンセプトが、気づけば自然と形になっていると実感しています。
やわらかな光が差し込む、とても明るい院内が印象的です。

子どもも大人も来やすいように、明るくて怖くない雰囲気にしたいというのが最初からのこだわりです。待合室の壁面はすりガラスにして柔らかな自然光が入るようお願いしましたし、ソファーもグリーンやオレンジといったパステルカラーでそろえました。お子さん連れのお母さんのために、キッズルームや授乳室、おむつ交換台なども開業当初から用意しています。院内はバリアフリーで靴のまま入れますし、この地域は車社会ですので駐車場は55台分確保しており、車寄せもあります。予約はウェブで順番を取れるようにしていて、発熱の方には隔離室で対応しています。院内の装飾はスタッフたちが率先して工夫してくれていて、温かい雰囲気づくりに一役買ってくれています。
些細な声にも耳を傾ける、循環器専門医の丁寧な診療
こちらではどのような診療に力を入れていらっしゃいますか。

何か困ったことがあれば、まず気軽に相談してもらえる場でありたいと考えています。いわば「最初の入り口」ですね。お子さんの風邪や手足口病などの感染症から、大人の方が健診で引っかかった項目の精査まで、幅広く対応しています。最近は地域の高齢化もあって、高血圧症や糖尿病、脂質異常症といった生活習慣病の管理には特に力を入れるようになりました。お子さんのワクチンはさまざまな種類を扱っていますし、最近増えている帯状疱疹の予防接種も受けられます。質問をいただいたら一つもないがしろにせず、すべてお答えするのが私のスタンスです。自分で対応できるものはしっかり診て、専門的な検査が必要であれば適切な医療機関を紹介するようにしています。
先生のご専門や得意とされている分野についても教えてください。
専門は循環器で、循環器専門医の資格を持っています。心臓の病気は一刻を争うケースがありますから、開業して一人で判断する場面を見据えたときに、最も自信を持てる分野を専門にしたいと考えました。一番の強みは、心電図の波形を自分の目で読み解けることですね。検査機器が自動で出す判定をそのまま受け取るのではなく、本当に危険な所見なのかどうかを自分で見極められるので、紹介が必要かどうかを判断できます。一方で、最初から開業するつもりでしたので、研修医時代から内科全般を幅広く学び、小児科の外来も経験させてもらいました。検査設備としてはエックス線、心電図、心エコー、腹部エコーなどを備えていますので、幅広い症状の初期評価に対応しています。
患者さんと向き合う上で大切にされていることは何でしょうか。

大事にしているのは、昔の町医者みたいなスタイルです。「よく来たね。どうしたのかな」という感覚で、どんな相談にもまずしっかり耳を傾ける。私はほったらかしにしないタイプなので、様子を見てほしいとお伝えした場合でも、改善しなければ次の手を考えますから、遠慮なく戻ってきてほしいんです。それと、患者さんには些細なことでも伝えてもらいたいですね。ご本人は関係ないと思っていても、こちらから見ると大事なヒントになることがあるんです。例えば心筋梗塞でも、歯が痛い、親指が痛いといった一見無関係な症状が危険信号であることがあります。お仕事の内容や生活の様子なども含めて総合的にお話を聞くことで、見えてくるものがありますので、気になることは何でも話してもらえるとありがたいです。
親身に話を聞き、困った時に頼れる存在でありたい
スタッフの皆さんの雰囲気や、お子さんへの対応について教えてください。

スタッフは全員女性で、看護師はベテランが多く、受付は若い方が中心です。「優しい雰囲気でかかりやすい感じ」を方針として共有し、受付での第一印象から安心してもらえるよう心がけています。看護師との連携も大切にしていて、例えば採血のときにリラックスした患者さんがふと日常の話をしてくれることがあるんです。そうした何げない会話の中に診療の手がかりが見つかることもあるので、スタッフからの情報はとてもありがたいですね。お子さんに対しては、怖がらせないことを一番に考えています。
お仕事のやりがいや、今後の展望についてお聞かせください。
この仕事はいってみれば接客業のようなもので、毎日いろいろな方と一対一でお話しできるのが楽しいんです。一日に何十人もの方とそれぞれ違う話をする仕事って、なかなかないですよね。お子さんたちもいろいろ話してくれますし、日々の会話が私にとっての活力になっています。少しでもお力になれて「ありがとう」と言ってもらえると、やっぱりうれしいですね。今後の展望としては、「困ったらまずあそこへ行けば大丈夫」「ちゃんと説明してくれるから安心だよ」と思ってもらえるクリニックであり続けたいと思っています。子どもから大人まで幅広く診るという方針は開業当初からずっと変わっていませんし、これからもしっかり話を聞いて、患者さんが納得できるよう丁寧に対応していくつもりです。
最後に、読者へメッセージをお願いいたします。

体のことで何か気になることがあれば、遠慮せずに気軽に相談してください。こんなことで受診していいのかなと迷われる方もいらっしゃいますが、どんな小さなことでも構いません。ご自分では関係ないと思っている症状が、思いがけず大事な手がかりになることもありますから、気づいたことはぜひ教えてほしいんです。その場で結論が出ないこともありますが、方針や筋道はきちんと立てて、次にどうするかをお伝えするようにしています。困ったまま帰すことはしたくないので、一緒に考えていく姿勢は大切にしています。私は親身にお話を聞くことが何よりも大事だと思っていますし、それが自分にとってのやりがいでもあります。何かあったときに「まずあそこに行こう」と思い出してもらえたら、それが一番ありがたいですね。

