女性に多い骨粗しょう症
DEXA法による検査で早期発見を
北千葉整形外科稲毛クリニック
(千葉市稲毛区/稲毛駅)
最終更新日:2022/05/25


- 保険診療
年齢を重ねると腰や膝が痛くなるなどさまざまな部分に支障が出てくる。中でも自分ではあまり意識しないうちに弱くなっているのが骨。最近では、「いつの間にか骨折」といった言葉も耳にするようになった。骨が弱くなる骨粗しょう症は高齢化に伴い患者数も増加傾向にあるという。女性は閉経後、エストロゲンの減少によって骨密度が急激に減少することもあるため、特に注意が必要となる。「北千葉整形外科稲毛クリニック」では、骨粗しょう症の早期発見と正しい診断のために全身型DEXA(デキサ)法による骨密度検査を実施し、一人ひとりの状態に即した治療を行っている。蓮江文男副院長に詳しく話を聞いた。
(取材日2022年4月27日)
目次
骨の強度が低下して骨折しやすくなる骨粗しょう症。健康寿命を延ばすために早期発見・早期治療が大切
- Q「いつの間にか骨折」というのはどのような骨折なのですか?
-
A
▲「いつの間にか骨折」について説明する蓮江副院長
言葉どおり自分では痛みも何も感じない間に、いつの間にか脊椎圧迫骨折(脊椎椎体骨折)が起きている状態です。脊椎骨折の約3分の2は痛みを伴わない圧迫骨折といわれています。その原因が骨の強度が低下して骨折しやすくなる骨粗しょう症です。骨がもろいために自身の体の重みに耐えきれず椎体がつぶれてしまうのです。女性は閉経後10年の間にエストロゲンの急激な減少に伴い骨量も急激に減少しますので注意が必要です。身長が若い頃に比べて4センチ程度縮んだ、壁に背中をつけてまっすぐに立った時に頭が壁につかない、などという時には脊椎圧迫骨折が起きている可能性が高いと考えられますので整形外科を受診してください。
- Q骨粗しょう症を放置するとどうなるのでしょうか。
-
A
▲骨粗しょう症による骨折が原因で寝たきりになる恐れも
骨粗しょう症で骨折が起きやすいのが、手首の骨、腕の付け根の骨、大腿骨、背骨です。早期の段階では、転んで手をついた時に手首や腕の付け根を骨折するケースも多いです。高い所から落下して倒れたのではなく、自分の立位の状態から倒れて骨折した場合は骨粗しょう症が進行しているかもしれません。大腿骨や背骨を骨折すると日常生活が難しくなるだけでなく、寝たきりになってしまう恐れもあります。生活の質を維持して健康寿命を延ばすために骨粗しょう症の予防は非常に重要です。まずはご自身の骨の状態を知ることから始めましょう。千葉市では40歳以上の女性に対して節目検診を行っていますので、それを活用するのもよいでしょう。
- Q検査はどのように行うのでしょうか。
-
A
▲DEXA法を用いて精密に検査をする同院
骨粗しょう症の検査は骨塩定量(骨密度)検査、エックス線検査、問診などを行います。当院では日本骨粗鬆症学会のガイドラインで推奨されているDEXA法を用いて精密に検査しています。全身型DEXA法は骨折しやすい大腿骨頸部と腰椎を直接測定し、骨密度が若年平均の何パーセントであるかによって診断します。エックス線検査では背骨の骨折の有無を確認します。骨粗しょう症は生活習慣とも関連が深いため、普段の食生活、運動習慣、喫煙や飲酒、生活習慣病罹患の有無などについて丁寧な問診を行います。女性の場合、65歳を過ぎたらリスクが高まりますので骨粗しょう症の検査を受けるようにしてください。
- Q治療について教えてください。
-
A
▲医師や看護師、理学療法士などと連携しながら患者をサポートする
骨の強度を高めて骨折を防ぎ、身体機能の低下も防ぐことで健康寿命を延ばすことを治療の目的としています。具体的には薬物療法、あとは食事と運動の指導で総合的に改善を図ります。骨吸収を抑制するための薬や骨の形成を促す薬、ビタミンD製剤など多くの種類がありますので、それらの中から年齢、骨密度や骨代謝の状態に合わせて適切な薬を選択していきます。骨粗しょう症の治療で大切なことは治療の継続。骨密度は一朝一夕には増えませんので根気強く治療を続けてください。食事については当院では看護師が資料などを見せながら丁寧に説明しています。スタッフ同士で連携しながら服薬指導や生活指導などによって患者さんをサポートしています。
- Qリハビリテーションについても体制が整っていますね。
-
A
▲理学療法士が患者に合わせた適切なリハビリテーション指導を行う
骨粗しょう症の予防やケアに精通したスタッフも在籍しており、広いリハビリテーションルームでは、理学療法士が医師の診断に基づき、患者さんの状態に合わせて筋力や動作などの身体機能を評価。それに即して適切なリハビリを指導しています。運動器の障害によって移動機能が低下している状態をロコモティブ症候群といいますが、骨粗しょう症の人はこのロコモティブ症候群になっている場合も多く、転倒や骨折のリスクがさらに高くなります。リハビリでは運動機能の改善を第一にめざし、自宅でも無理なく続けられるよう指導します。腰痛や変形性関節症といった整形疾患を併発している場合は、その疾患の治療のためのリハビリも併せて行います。