齊藤 光正 院長の独自取材記事
齊藤歯科クリニック
(藤沢市/辻堂駅)
最終更新日:2024/10/15
JR東海道本線辻堂駅から車で5分程度の位置にある「齊藤歯科クリニック」。駐車スペースを備え、1997年の開院以来、湘南の街で地域住民の口の健康を守り続けている歯科医院だ。院長の齊藤光正先生は、昭和大学の歯科矯正学講座出身。診療においては矯正に特化することなく一般歯科診療を幅広く行っているが、専門知識を生かして力を入れているのが、小児の矯正である。口元の習慣や舌の使い方が歯並びにも影響することから、早い段階からそれらを意識する大切さを提唱。トレーニング装置を使いながら、将来的に大がかりな矯正をしなくても済むような方法を取り入れている。他に通院が難しくなった高齢者の訪問歯科にも積極的に取り組む。爽やかな笑顔と優しい話し方が印象的な齊藤先生に、診療方針などを聞いた。
(取材日2024年8月28日)
憧れの湘南の地で開院。4世代で来院する家族も
辻堂で開業された経緯を教えてください。
大学を卒業後、歯科矯正学講座に残っていた時に藤沢駅前にある歯科クリニックに勤務し、一般歯科の幅広い治療を経験しました。そこには6年ほど勤務しましたが、東京から東海道線に乗って大船を過ぎた辺りから、湘南の風を感じるといいますか、とてつもなくいい気持ちになりまして。都会の喧騒からモードが切り替わる自分がいたんですね。もう一つ、私は湘南の海について歌うロックバンドグループがデビュー当時から大好きなんです。だから、湘南にずっと憧れがあったこともあります。そんな中、たまたまこの辺りの物件のチラシを見て、いてもたってもいられなくて、この場所で開業を決めたのが経緯です。でも、私は青森県の出身で辻堂に人脈があるわけでもないし、最初は患者さんも来なくてね。毎日、妻と2人でひたすら院内の掃除をしていて、新しい診療台がさらにピカピカになりました。それでも、少しずつ患者さんが増えて、今に至ります。
患者さんの年齢層はいかがですか?
年齢層は幅広いですし、4世代にわたって来ていただいているご家族などもいて、ありがたいですね。開院当初に子どもだった患者さんはもう30代、40代に。いまだにちゃんづけで呼んでしまって「ごめん!」と謝ると、「いや、そのままでいいですよ」と言ってもらえたり。辻堂の辺りは大企業の社宅だったところがいくつかマンションに変わったり、大きな商業施設ができたり、雰囲気が激変したと感じています。引っ越してくる方も増えて、お子さんの数も増えましたね。ですから、最近は私がこれまで学んできたことを還元したいという気持ちがふつふつと湧いてきて、小児矯正などお子さんのお口の問題に力を入れていきたいと考えているところです。
診察の際に意識しているのは、どのようなことでしょうか?
十分な説明だと思いますね。治療の内容にしても、予防にしても、きちんとした説明がやはり大事。同意あっての診療をめざしています。各ユニットにモニターを配置して、アニメーションを駆使した動画で説明しています。待合室にもデジタルサイネージを設置し、当院の診療方針などをわかりやすく説明する動画をずっと流しています。診療のイメージができると、患者さんのお口の中に対しての意識も高くなります。そうすると、おのずとブラッシングも上手になるのではないかと期待しているんです。
専門を生かし、子どもの口の健康と予防にも注力
さまざまなアプローチで、お口の問題にも取り組んでいるとのことですが、それはどのようなことですか?
舌に着目しています。長年歯科に携わってきて、特に「舌の位置」がとても重要だと感じています。人は生後間もなく、舌と口の周りの筋肉を使って、反射的におっぱいを飲みますし、食事中には無意識に歯で噛んで飲み込んでいます。歯で食べ物をつぶす時にも巧みに舌を使うことが必要です。そして、舌には5つの脳神経が通っていて、高度にコントロールされています。一つの器官で5つの脳神経が通っているのは、人間の体の中で舌だけです。高齢になってからは、入れ歯をうまく使えるかどうかは舌の使い方にもよりますし、誤嚥にも舌が大きく影響しています。睡眠時無呼吸症候群も、寝ている間に舌の位置がどんどん下がって気道が狭まることが原因の一つとされています。そのため、マウスピースで舌が下がらないように導くための治療があり、私自身もそれを使っています。このようにライフステージのあらゆる場面において、舌は大事な役割を果たしているのです。
子どもの歯並びにも舌の使い方が影響していると聞きました。
舌が下がると歯並びも悪くなるし、気道も狭くなり口呼吸になるとされています。悪い歯並びの原因は遺伝が3割で、7割は子どもの頃のお口の習慣だといわれています。お口がポカンと開いてると、出っ歯になったり、叢生と呼ばれる乱ぐい歯になってしまったりすることもあるのです。そのため、マウスピース型の装置を使うことで、舌の位置が上がるよう促します。舌の位置が正常な位置に導けると鼻呼吸ができるようになることが期待できますし、ひいては歯並びの改善も望めるのですよ。それでも適切な歯並びが見込めない場合は、子どものうちにできる矯正がありますので、1ヵ月に1回通院してもらって調整しながら進めていきます。この矯正は、小学校3~6年生くらいの子どもたちを対象に行っています。
そういったケアが必要かどうかは、どう見極めるのでしょうか?
まずは「お口ポカン」になっているかを確認するために、初診の問診時に数分間、動画を撮影しています。最初は緊張して閉じていますが、だんだんお口が開き始めてきます。親御さんに普段の様子もお聞きしながら、改善が必要かどうかを判断します。まずは、マウスピース型のトレーニング装置を使って、お口の周りの筋肉の強化をめざします。うまくトレーニングできると口元に締まりが出るよう導けるので、これだけでも歯並びへのアプローチが望めるのです。このトレーニングは4~5歳から行えます。早くから取り組めば、大がかりな矯正をしなくて済むことも期待できます。
訪問歯科や予防にも力を入れ、地域住民の健康を支える
訪問診療も行っているそうですね。
長年通い続けていただいた方からの「高齢になって歩けなくなったので来ていただけますか?」というリクエストにお応えしたいという、今までの恩返しのような気持ちで訪問診療を始めました。それ以外に、ケアマネジャーさんからのご紹介もありますね。自宅以外に施設に伺うこともあります。歯のお掃除だけの場合は歯科衛生士が単独で伺うこともありますが、治療を伴う場合は、私が昼休みや休診日を利用して伺っています。私自身も年齢を重ねて無理が利かなくなっていますし、一人でできることにはやはり限りがあるので、実は今、新たな歯科医師を募集中なんです。訪問歯科を必要とされる患者さんが増えていくことも予想されるため、他の先生の手も借りながら、そこにも力を入れていきたいと思っています。
予防歯科にも力を入れているとお聞きしました。
歯科衛生士専用の診療台が4台あり、フィットネスクラブに通うような感覚で楽しく予防に取り組んでいただきたいと考えています。だいたい3ヵ月に1回くらいのサイクルで来ていただいて、大人は1時間、子どもは30分くらいとしっかり時間をかけてケアをしています。前回はどうだったか、今回はそれに比べてどうなっているかといった状況をすべてデータ化して、毎回、きちんと説明しながら進めています。当院では4年前にリニューアルをした際に、衛生面を保つための滅菌機をより充実させました。治療機器を洗って消毒するまでの作業が大変なのですが、それがオートマチックになることで、歯科衛生士の残業を減らすことにもつながりますからね。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
「できれば歯科医院には行きたくない」と思っている方は多いですよね。嫌われている場所だということは、よくわかっています。でも実は、美容室に通うようにすっきりとして気持ちがいいところだと知っていただきたいと思っています。お口の中が健康な状態になれば、ひいては全身の健康にもつながります。歯科医院に定期的に行くことが健康をめざすための秘訣だともいえます。ですから、恐れることなく、気軽にご来院いただきたいと思っています。
自由診療費用の目安
自由診療とはやわらかいマウスピース型装置/6万円程度 ※マウスピース型装置を用いた筋機能トレーニング
透明で取り外し可能なマウスピース型装置/30万円~ ※マウスピース型装置を用いた矯正
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。