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許 智栄 院長の独自取材記事

ともクリニック

(神戸市北区/鈴蘭台西口駅)

最終更新日:2022/12/26

許智栄院長 ともクリニック main

粟生線・鈴蘭台西口駅から徒歩9分、落ち着いた環境が人気の住宅街で、2022年から診療を開始した「ともクリニック」。診療科目や専門性を前面に押し出すのではなく、すべての世代のあらゆる病気に対して一次診療を行う「家庭医療」の提供に努めるクリニックだ。院長の許智栄(ほ・ぢよん)先生は、総合診療を担う家族のかかりつけ医を志してきた。京都大学医学部から救命救急の現場へ、そして米国留学という経歴からは、タフで知的で近寄りにくそうな医師を想像されるかもしれない。そんなイメージとは真逆の、穏やかで温かい人柄が言葉の端々から感じられる許院長。子ども好きで話しやすい雰囲気も魅力の許院長にさまざまな話を聞いた。

(取材日2022年11月29日)

家族のかかりつけ医を志し、救急科から米国留学へ

診療内容を簡単にご紹介ください。

許智栄院長 ともクリニック1

当院は2022年10月に開院し、家庭医療を中心に、老年医療、小児医療、救急医療、予防医療を提供するトータルケアに努めるクリニックです。一次診療であり総合的な診療でもあるプライマリケアや、救急科を専門とする医師として、年齢や性別などあらゆる前提に縛られず、目の前の患者さんを診療することが重要と考えています。医療は患者さんが主人公で、必ず患者さんの協力が必要です。薬を出したらおしまいではなく、健康づくりのために一緒に取り組んでいきたいのです。地域とともに、患者さんとともに、「ともに考える」をキーワードに、クリニック名を決めました。僕の名前を日本語で読むと「ともひで」なので、それも取り入れました。

この場所に開業されたいきさつを教えてください。

家族で北区に転居してきて、当院のある鈴蘭台周辺の環境が好きになりました。ここで自分たちにも何かできればと、開業を考えるようになりました。そんなとき、クリニックの継承先を探していた先生と巡り合ったんです。その先生が偶然、僕と同じ高校の出身だったこともあり、意気投合して、当院の継承を決めました。建物自体は20年前に建てられたもので、待合室をリフォームし、新たに第3診療室を作りました。現在の新型コロナウイルス感染症の流行を念頭に、他の患者さんと分離できるように考えての配慮です。第3診療室は待合室を通らず入れますので、感染症を疑う症状のあるときは、あらかじめお電話いただいてからご案内します。機材や設備は基本的なものばかりですが、院内設置の超音波診断装置に加え、訪問診療用のポータブル型エコーも用意しています。

開業までのご経歴や、医師の仕事を志した理由も教えてください。

許智栄院長 ともクリニック2

両親とも医療関係者ではないけれど、子どもの頃から将来は医師になるように言われていました。適当に相づちを打ってきましたが、中学時代に祖母が大腸がんになったことで、真剣に考えるようになりました。それまでは、口に出すのもはばかられるエピソードばかりのやんちゃ坊主だったんです。医師になると決めてからは必死に勉強して、京都大学医学部に進みました。超難関で知られている大学なのに、周囲にはひょうひょうとしている人もたくさんいたのが意外でしたね。最初から専門を絞らずに、将来は総合的な診療として家庭医療をやっていきたいと決めていました。患者さんの問題を全部診たいという思いが軸にあったのですが、当時の国内にはまだそのためのプログラムがなかったんです。そこで、まずは救命救急の現場に入り、急性期医療に幅広く携わらせてもらって、その後は米国で学ぶことにしました。

医療の初期対応について、分野を問わずに診断・治療を

総合的な診療を学ぶために、米国留学されたのですね。

許智栄院長 ともクリニック3

今でこそ日本でも、総合的な診療はプライマリケアとして広がってきましたが、当時の日本では発展途上の分野でした。一方、米国では、医療を受けようとすると、日本のようにいきなり専門医にかかることはできません。まずは一次診療機関であるかかりつけ医にかかって、その紹介で専門医を訪ねることになります。米国の一次診療機関では「ゆりかごから墓場まで診る」必要がありますので、あらゆる分野を扱う総合的な診療のトレーニングを積む必要があります。しかし学んでいく中で、総合的な診療の限界も知ることになりますから、基幹病院や専門医療と連携が取れるのも大切です。当院でもこの方針で、地域医療に役立ちたいと考えています。

留学前は救急の現場で働いていたそうですが、現在でも対応可能でしょうか。

もちろんです。急な発熱や痛み、ケガの処置など、院内で可能な検査を迅速に行い、僕が治せるものは直ちに処置し、難しいと判断した場合は速やかに専門の医療機関につなげます。実は、米国留学を考えるきっかけになったのも、昔テレビで見た米国の救急医療ドラマの影響があるんです。救急の現場では、基本的にどんな病気やケガでも扱いますし、僕自身も救急科で働いていましたから関心が強かったですね。当時、米国で兄が仕事をしていたこともあり、いろいろな話を聞いていたため、留学に迷いはありませんでした。米国への出張や留学のため、医療的な相談や証明書を希望される患者さんには、お力になれることもあるかと思います。

小児の診療もしているのですね。

許智栄院長 ともクリニック4

家庭の医療を幅広く扱いますので、乳児や小児の診療も行います。現時点では当院の周辺には小児科が少ないようですし、地域医療としても力を入れていく必要があると思っています。ちなみに、米国留学の際には、乳児や小児の診療についても学びました。また、私自身子どもは2人おり、乳児のころから僕がお風呂に入れる担当でした。看護師として一緒に働いている妻からも「赤ちゃんをあやすのが、私よりも上手」と言ってもらえるのが、ちょっとうれしいです。僕自身も子育て真っ最中ですし、子どもの健康や発育・発達についてお悩みの親御さんにとって、相談しやすい相手でありたいですね。

患者と医療をつなぐ地域のハブになりたい

老年医療では訪問診療も扱っているのですね。

許智栄院長 ともクリニック5

開院して間もないこともあり、訪問診療は、まだそれほどご依頼がないんです。ただ、外来では高齢の患者さんが増えている状況ですので、医療にかかりたいけれど通院が難しいという方は、実はこの地域にもたくさんいらっしゃるのではないかと予想しています。当院でも体制を整え、患者さんやご家族のご希望を伺い、話し合いながら、患者さんにとって適切な医療を提供したいと考えています。

診療の際に心がけていることや、大切にしていることを教えてください。

子どもに対しては僕が関心を示しているのが伝わるように、笑顔でアピールすることですね。不器用で、面白いジョークも言えないんですけど。大人の方、特に高齢の方は人生経験が豊富ですから、考え方や経験をしっかり聴くことです。患者さんへのリスペクトを忘れず、変えられるもの、変えられないものを理解して、一緒に医療を作り上げていきたいです。自分自身が大切にしているのは、プロフェッショナリズムを忘れず、自分に厳しくあることです。自己研鑽を忘れず、時間を見つけて勉強しています。最近は時間に余裕がないので、車の運転中に医療情報や研究成果を音声で聞くのが精いっぱいなのですが。

今後の計画や展望、読者へメッセージなどをお願いします。

許智栄院長 ともクリニック6

地域の皆さんに「ここに来れば健康になれる」とわかってもらえるような取り組みをしたいと思っているんです。情報提供や相談を受けつけるにあたって、何かきっかけになるイベントをするのもいいかな、と。例えば、野菜を食べるのは健康増進に良いので、野菜を育てている農家さんと連携して、クリニックに来てもらえないかな、とか。農家さんと患者さんをつなぐハブになって健康増進を広げていけたらいいのですが、開院したばかりでまだそんなコネクションもありませんから、今のところは願望ですね。患者さんや読者の方にお伝えしたいのは、初診の患者さんからはお話を十分に伺うために時間をかけているため、お待たせすることも多くなっており申し訳ないということです。少しでも待ち時間が短くなるよう、スタッフ一同で努力しますので、ご理解いただければありがたいです。

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