朴 錫勇 院長の独自取材記事
札ノ辻診療所
(京都市南区/九条駅)
最終更新日:2026/05/12
京都市営地下鉄烏丸線・九条駅徒歩5分にある「札ノ辻診療所」は、60年以上もの歴史を持つ診療所。内科を中心に外科・小児科などを標榜する地域のホームドクターとして、0歳から100歳までの幅広い患者の診療を行う。先代院長の父から、「社会的弱者を救う」という診療所の理念ごと引き継いだ朴錫勇(ぼく・しゃくゆう)院長は、患者の主訴をしっかりと聞きながら適した診断・治療を行うのはもちろん、雑談などを通じて患者との信頼関係を築き、地域の人々とともに独居高齢者らの生活を見守っている。経鼻内視鏡による胃カメラ、リハビリテーション機器などもそろい、さまざまな症状の患者を幅広く受け入れる朴院長に、診療所の歴史や経歴、心がけていること、在宅医療についてなど話を聞いた。
(取材日2019年12月13日)
「社会的弱者を助けたい」。設立60年超の診療所
診療所の歴史と、先生のご経歴について教えてください。

開院60年以上の歴史を持つ診療所です。先代院長である父に影響を受けて医学部に進学し、大学卒業後に兵庫医科大学に入職する際、さまざまなご縁があって消化器内科に進みました。当時、電子内視鏡が普及し始めたときで、機器の進歩とともに技術的なやりがいにもつながりましたね。消化器内科を選んで良かったと今でも思っています。その後、総合病院等に勤務していましたが、父が体調を崩したため2000年に副所長として戻り、2002年に院長就任となりました。子どもの頃は当診療所の横の路地に自宅がありましたので、小さいときから知っているおじいちゃん、おばあちゃんたちが今でも患者さんとしてお越しくださるんですよ。
診療理念を教えてください。
2019年で創立64年になる当診療所は、当時、医療機関にかかることのできなかった社会的弱者の方々を助けたい一心で設立されたものです。現在は社会的弱者の方々をサポートする各制度ができているため状況が違いますが、設立理念はそのままに日々診療にあたっています。当診療所は下京東部医師会エリアなのですが、このエリアには病院が見当たりません。ですからクリニック・診療所にかけられる期待も広いと感じ、当診療所の看板には内科・外科・小児科と幅広く掲げております。現在は0歳児から100歳までの患者さんが、同じ待合室に座っているような状況で、4代にわたり当診療所にかかられているご家族もいらっしゃいます。
そのほか胃カメラやリハビリまで幅広く診療されていると伺いました。

私の専門が消化器内科ですので、胃カメラには力を入れています。苦痛の少ない経鼻内視鏡を導入しておりますので、多くの患者さんに「思ったより楽だった」と感じていただけるはずです。また整形外科領域となりますが、頸椎・腰椎けん引、マイクロ波、低周波などの機器も導入し、リハビリテーションも可能です。首・肩・腰の痛み、手足のしびれでいらっしゃる患者さんも多いですね。また、高血圧・糖尿病・高脂血症の患者さんには、それぞれの患者さんの個性に合わせ、パンフレットなどを活用したわかりやすい説明と悪化した際の合併症の危険性などをしっかりとお伝えしています。今後も病状を進行させず、健康寿命を1年でも延ばせるような診療を心がけていきたいですね。
患者との会話を大切に。地域を“診る”手段にも
患者さんに接する際に心がけていることを教えてください。

どんな軽症であっても、患者さんは何らかの苦痛があり、それを取り除いてほしいから来院してくださっています。ですから、お話をしっかり聞き、不調箇所を見つけて適切に診断・治療を行うということが最も重要です。そして私が診られない、ここでは対応不可能な重症であれば病院をご紹介させていただきます。そしてすべての患者さんが満足しているかはわかりませんが、できるだけ不快な思いをさせないように注意していますね。総合病院勤務時代と現在では患者さんに対する対応はまったく異なりますし、今の私は患者さんに育てていただいたと実感しています。また、私はここで生まれ育っていますから話していて親近感もありますし、古くから知っている方も多いので家庭環境がある程度わかるのも強みかなと思います。
先生はとても優しくてお話ししやすいので、患者さんともおしゃべりが弾むのではないでしょうか。
ありがたいことに、よくそう言ってもらえるんですよ(笑)。待合が空いているときは、楽しく世間話もしますね。他のエリアでも同じだと思いますが、特にこの辺りは高齢化が進んでいると感じていて、独居の高齢者も多いんです。実は世間話でも、よく地域を見ている方々とのお話を通じて「現在の町内会長は誰か」「誰が民生委員をやっているのか」といった情報が得られることもあります。特に民生委員の方々は地域のご高齢者の方の見守りを行っていただいておりますから、そういった情報を共有させていただくことはとても重要なことだと考え、コミュニケーションを大切にしています。
在宅医療にも力を入れていると伺いました。

国の政策として在宅医療に力を入れていますが、当診療所では64年間、来院できなくなった方々のところに往診に行くということを当たり前にやってきました。ですから2000年にここに戻ってきたときから、父より引き継いだ在宅の患者さんがたくさんいらっしゃいましたね。最近では地域の介護職の方々や訪問看護ステーションとの連携を深めていかないといけないと思い、当診療所の2階にある会議室で勉強会を開催したりしています。できるだけ自宅で過ごしたいという患者さんのニーズに対して可能な限りのお手伝いがしたいという心づもりです。そして在宅療養は、24時間見守るご家族にもたいへんな負担がかかっています。私たち医療人は呼ばれて訪問したときだけでも、ご家族の負担を少しでも減らして差し上げたい。それも在宅医療の一つの目的かなとも思います。
検査、病状、服薬……患者が納得する丁寧な説明を
待ち時間の軽減や利便性向上にも注力しているとお聞きしました。

混雑時はどうしても待ち時間が長くなってしまいますが、なるべくお待たせしないよう心がけています。当診療所は建物の老朽化などにより2013年に改築しリニューアルオープンしたのですが、それをきっかけに電子カルテを導入しました。電子カルテは患者さんの順番が画面に表示され、診察室にいても「あの患者さんが来ているな」など混雑具合も含めてわかりますので、よりスムーズに診療を行えるよう話し方を工夫するなどしています。また診療後に薬局に向かって薬を受け取るよりも、会計時に一緒に受け取ったほうが利便性が高いと思いますので、設立当時から変わらず院内処方を続けています。
先生の健康法を教えてください。
ようやく余裕が出てきたので月1回ほどゴルフに行っていて、できるだけカートに乗らず歩くようにしています。これまでもお付き合いでは行っていたのですが、2015年から始めたんです。ただ月1回では本格的とは言えないですし、運動というほどではありませんね(笑)。ですからなるべく自転車通勤にするようにしていますし、季節の良いときの往診は自転車を活用していますよ。
今後の展望と読者へのメッセージをお願いいたします。

社会の高齢化により、今後ますますご高齢の方が増えていきます。昔は「取りあえず医師の言うことを聞いておいたらいい」という時代でしたけれども、今はそんな時代ではありません。お薬一つでも「どういう薬か」、検査一つとっても「どういう検査で、どんな意味があり、この数値は何を示しているのか」が重要です。病状はもちろん患者さんが知りたいことを、これまで以上により丁寧に説明していかなければならないと考えています。専門知識を持った医療人として、皆さまに適切なアドバイスができるように、患者さんが何でも相談しやすい医師をめざしていきます。当院は困ったときに真っ先に頼ることができる先として幅広く患者さんを受けつけておりますので、まずは気軽にご相談ください。

