全国のドクター9,367人の想いを取材
クリニック・病院 160,592件の情報を掲載(2022年8月09日現在)

  1. TOP
  2. 大阪府
  3. 吹田市
  4. 北千里駅
  5. 泌尿器科くろだクリニック
  6. 黒田 秀也 院長

黒田 秀也 院長の独自取材記事

泌尿器科くろだクリニック

(吹田市/北千里駅)

最終更新日:2022/04/15

133644 top

阪急北千里駅前ロータリーに面したビルの4階。2001年に開業した「泌尿器科くろだクリニック」は、頻尿をはじめとする排尿障害の診療を中心に、がんの早期発見、患者の生活の質(QOL)向上をめざし、年齢や性別を問わない幅広い診療で地域貢献を果たしている。「あっという間の20年でした」と出迎えてくれたのは、院長を務める黒田秀也先生。日本泌尿器科学会認定泌尿器科専門医として多数の論文・著書があり、講演などの啓発活動を精力的にこなし、その名は全国に知られている。そんな黒田院長に自身の見識やメッセージ、時代に合わせた取り組みなど、ベテラン医師ならではの興味深い話をじっくり聞いてみた。

(取材日2022年3月17日)

泌尿器科の専門性を高めて開業医としての役割を果たす

現在のクリニックの状況はいかがですか?

20220330 1

おかげさまで大勢の患者さんにご来院いただき、正直かなり手一杯というのが現状です。お一人お一人を丁寧に診察していると、どうしても時間がかかります。特に初診の患者さんは午前の診療時間の終了間際に集中しがちで、日によってはものすごくお待たせすることがあります。非常に申し訳ない気持ちもありますが、診療の手を抜くわけにもいきませんから、そこはご理解いただきたいと思います。皆さん、きちんと順番を待っておられます。重症の方をお待たせしないためにも集中を避け、早めの時刻をめざしてお越しいただきたいというのが私からの切なるお願いです。

泌尿器科の開業医としての役割を教えてください。

現在、泌尿器科でも大学病院などの大規模病院と開業医の分業化が進み、病院は泌尿器がんの治療が中心になっています。一方私たち開業医は、高齢者の排尿障害の治療やがんのスクリーニング、尿路感染症の診療が中心で、前立腺肥大症や過活動膀胱が代表的な疾患ですね。中でも前立腺がんや膀胱がんなどの一次スクリーニング施設としての役割が開業医に求められています。当院でもこうした多くのがんを診断し、連携する近隣の病院へ紹介しています。

昨年、泌尿器科開業医の医会を新たに立ち上げられたそうですね。

2

全国のベテラン開業医5人で、全国規模の医会を立ち上げました。泌尿器科の開業医が少ないことに加え、横の連携が十分にとれていないことから、コミュニケーションの場を持ちたいと考えたのが動機です。医療に関する学問的な新しい情報は学会で学べますが、開業医ならではの情報や悩みを共有できるコミュニティーが不足していたからです。医会のホームページでは、診療や医療機器の情報から近隣の医療施設との連携、労務管理に関することまで、さまざまな情報交換を行っています。わずか1年で全国から300人以上の先生方が集まったことからも、潜在的なニーズがうかがえます。こうした活動を通じて、開業医としての専門性をいっそう高め、得られたノウハウを患者さんに還元していくことをめざしています。

頻尿の多くは水分の取り過ぎが原因

高齢化が進み、泌尿器科の役割はさらに大きくなっていますね。

3

そのとおりです。この千里ニュータウンでも現在は65歳以上の高齢者が35%を超え、まさに超高齢社会のど真ん中にあります。そうした中でがんの発見とともに大切なのは、高齢の方のQOLをいかに向上させるかということですが、それを下げる3つの大きな要因が、認知症、フレイル(虚弱)、そして排尿障害です。特に排尿障害があるとQOLが著しく下がり、身体機能低下の要因の一つになります。排尿障害には、夜間に排尿のために起きる・尿失禁・尿が出にくいなど、さまざまな症状がありますが、一番多いのは頻尿・夜間頻尿ですね。トイレが近いことで、外出が怖くて引きこもりがちになってしまう可能性もあり、その結果、認知症や筋力低下がますます進行しかねません。こうした高齢の方の生活を支えることが、泌尿器科医の役割であり、そう考えれば、患者さんにとっても私たちの存在が身近に思えるのではないでしょうか。

頻尿はなぜ起こるのですか?

頻尿には心臓の疾患や睡眠時無呼吸症候群など、泌尿器以外の全身的な病気が隠れていることもありますが、診察してみると何と3人に2人以上は水分の取り過ぎが原因なんですね。脳や心臓の血管がつまることを恐れ、就寝前に必要以上に水を飲んでいる方が非常に多いです。適度な水分は必要ですが、水分を取れば取るほど体に良いという考えは間違いで、取り過ぎはQOLの低下を招くだけではなく、健康にとってもマイナスです。成人の1日の健康的な尿量は「体重×20〜25ミリリットル」とされ、例えば体重50キロの人だと1~1.3リットル程度という計算になります。80歳で体重が40キロの人が毎日2リットルも飲んでいれば、頻尿だけではなく、深刻な心不全をきたす危険性もあります。テレビなどの情報を信じて、水を多く飲むことが健康的と思い込んでいる方は要注意です。

今はいろんな情報が錯綜し、難しい時代ともいえますね。

20220330 4

10年ほど前までは、水を飲むよう勧める医師も多かったんです。ところが、頻尿で当院を受診すると「必要以上に飲まないように」と言われるので、驚かれる方も多いです。このように、自分にとって適切な水分量を把握しておらず、専門家が首を傾げるようなインターネットの情報を信じて受診される患者さんが増えていますね。私たち専門家は常に新しい情報を収集し、エビデンスに基づいた診断やアドバイスを行っています。テレビやインターネットの情報をうのみにせず、疑問点は尋ねていただき、専門家の意見に耳を傾けていただければと思います。また、クチコミを見て遠方からお越しになる患者さんがいらっしゃいますが、そうした評価に満足するのではなく、地域の医師からの評価を高められるよう努めています。

信頼できるホームドクターの存在が健康の第一歩

診療後や休日はどのようにお過ごしですか?

5

昔からクラシック音楽が好きで、中世・ルネッサンスの古楽やバロック音楽から後期ロマン派の交響曲まで幅広く愛聴しています。CDは3000枚、レコードは1000枚ぐらいあるでしょうか。健康であればこそ、こうした音楽やおいしい食事、お酒も楽しめます。私も日本酒やワインが大好きですから、患者さんとよくお酒の話もします。待たせておいてとお叱りを受けそうですが、病気のことだけではなく、その方のされてきたことや地域との関係性、現在のご家族の状況なども診療では大切なポイントとなります。患者さんの背景によって治療の進め方も変わりますから、そうした情報を念頭に皆さんの健康を支えていくのも、地域の開業医の務めと考えています。

医師としての心がけを教えてください。

プロとして患者さんに向き合い、自分の知識や技術を還元することに医師の存在意義があります。専門家として最善の医療を提供しようと思えば、やはり日々の研鑽が欠かせません。そのため、私は今でも論文を読み、勉強会などに参加して最新の知識を身につけるようにしています。先端の知見についていけなくなったら、その時は医師を辞めてもいいと思っています。また地域との関わりも大切で、近隣の先生方と連携し、地域一体で患者さんを診ることを心がけています。千里ニュータウンは義理の父が55年前に小児科を開院した地域で、街と医療がゼロからスタートして現在に至ります。2022年現在、義父が閉院して15年、私が開業してからすでに20年になります。それぞれの時代をまたいで地域の中で培ってきたものを、また次の世代へと伝えていく、それも地域医療の姿だと思います。

最後に、今後の展望と患者さんへのメッセージをお願いします。

20220330 6

どの地域にも優秀な先生が必ずおられますので、泌尿器科でも内科でもいいので、近くに信頼できるホームドクターを見つけてください。1人の信頼できる医師がいれば、後ろにはその医師が信頼する医師が何人もいますから、必要に応じてあなたの症状に合った医師を紹介してくれるでしょう。そして医師に医術があるように、いい患者術を身につけてください。医師といかにコミュニケーションを取れるか、医師の言葉の中身を聞き取れるかが病気の治癒や回復、改善に向けた一番の近道となります。医師と患者だけではなく、医師と医師・地域のコメディカル施設も信頼関係でつながっています。1人の患者さんを1つの医療機関が診るのではなく、看護ステーションや介護施設を含めた地域全体で患者さんを支える時代が始まっています。だからこそ、地域の医療機関や介護施設と信頼関係を持ち続けることが、老後を健康で幸せに過ごすための秘訣だと、私は考えています。

Access