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宮地 昇 院長の独自取材記事

みやち内科

(刈谷市/刈谷駅)

最終更新日:2019/08/28

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刈谷駅から1km弱、猿渡川沿いののどかな情景が広がる一角にある「みやち内科」。院長の宮地昇先生は、すぐ近くの刈谷豊田総合病院の内分泌・代謝内科医長を経て、2002年、医師として患者と長く共に歩む最善の方法が開業であると考え、この地に根を下ろすことを決めた。以来、日本糖尿病学会認定糖尿病専門医として、働きざかりの人々を中心に、この病気に悩む老若男女の健康管理と治療に専心する。「医師としての先生であるだけではなく糖尿病教育の先生でありたい」と語り、患者と同じ目線で、一人ひとりの個性に合わせた指導・治療を心がける。何より「結果」を出し、地域の人々が糖尿病を乗り越え、健康で幸せな暮らしをしていけるようにと願う宮地先生。その医師としての心意気を取材してきた。
(取材日2017年6月16日)

患者と長く一緒に歩むために開業

なぜ糖尿病を専門になさったのですか?

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研修医時代に循環器、呼吸器、消化器、代謝・内分泌という4つの内科をローテーションし、自分に合っているのは代謝・内分泌だと思いました。他の分野はどちらかというとスピーディな対応、その日のうちに結果を出すことが求められますが、言い換えれば患者さんと接する時間も短め。逆に糖尿病はずっと長いお付き合いになります。医師が一方的に患者さんを“治す”というより、患者さんと医師が同じ土俵に立って、コミュニケーションを取りながら、相手に伝わったことによって結果が出る。それが自分の仕事の評価につながるという点で、私に合っていると思ったんです。学校の先生のような感じですかね。

貴院での標準的な治療管理について教えてください。

初診時に糖尿病療養に関して専門的な知識を持つ看護師や管理栄養士が約1時間くらいかけてこれまでの経過を聞き取り、そのうえで診療を開始します。その後は定期的に血糖値を管理していくことが多いですね。糖尿病の患者さんは、大抵は自覚症状はなく、自分の血糖コントロールや合併症の有無を確認するために来院します。患者さん自身が「何のためにここに来るのか」を自覚していることが大切。検査の結果がいいと「これなら半年に1回の通院でもいいのでは?」と思う方もいますが、定期的な検査で、結果が良ければ安心して過ごせる、悪化していればその原因を究明して対処することになります。基本的に血糖値がいい人ほど、定期的に来院します。良くない結果が出るような方は来たくない、だからどんどん悪化する、という悪循環。それぞれの患者さんの心理をうまく汲み取って、指導するのが私たちの仕事です。

なぜ開業医として糖尿病を診ることを決めたのですか?

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糖尿病の治療では、患者さんは医師に対して自分の生活を、ひょっとすると家族にも話さないようなことまで含めてさらけ出すことになります。相手が専門家だからといって簡単には話す気にはなれないでしょう。やはり長年の付き合いによって信頼できる医師を選んで、ついて来てくださるのだと思うのです。私が比較的早い段階で開業の決断を下したのは、こうした形で診療所を開くことが、自分が病院で診てきた患者さんを今後もずっと診ていくための最善の方法だと思ったからです。現在在宅医療も行っていますが、当院へ通院中の患者さんが通えなくなったとしても、最期まで診させていただくためです。

刈谷は医師としての自分を育ててくれた町

なぜこの地に開業することになったのですか?

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刈谷には研修で来たのが最初です。医学部を卒業し、大学病院よりも、市中の基幹病院で研修したかったので刈谷総合病院(当時)を選びました。いろいろな大学の出身者が集まって初期臨床教育を受けたことはとても良かったと思っています。自分が生まれ育ったのは名古屋市ですが、医師と育ててもらったのはこの刈谷。その地域に恩返ししていきたいという思いから、この地で開業することにしました。

患者さんにも地域性など特徴はありますか?

大手自動車部品製造業の本社があり、その関連の方がたくさん来られます。これらの企業は従業員の健診を行うだけでなく、糖尿病性腎症の重症化予防が医療費の適正化につながるため、積極的に糖尿病管理に介入するようになりました。健診で異常値が見つかり、翌年も同様な結果であればせっかくの健診が無駄なってしまします。改善のための療養指導の成果がこれまで以上に問われるようになりました。私たちにとっては良いプレッシャーですし、産業医と連携することで、患者さんの治療の中断を防ぎ、適切な労働環境へ改善していくことも可能です。どうしても通院治療で改善しなければ、病診連携による「教育入院」をすすめ、地域一丸となって糖尿病治療を行っています。

刈谷豊田総合病院とはどのような連携関係ですか?

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病診連携で圧倒的に多いのは委託検査です。私たちは糖尿病患者さんを「血糖値」だけでではなく、「全身」を診ています。糖尿病患者さんは、一般の人に比べて、膵臓、肝臓などのがんを合併するリスクが高いため、精密検査を病院に依頼します。刈谷豊田総合病院は近隣であり、多くのスタッフと医療設備も充実しています。当院が多くの糖尿病患者さんをトータルに管理するためには病診連携はとても重要です。当院の患者さんは、比較的若い方が多く、仕事をしながら糖尿病治療を続けるためには、病院よりも適していると思います。より気軽にまた短時間に診療を行い、良好な血糖コントロールの達成を常にめざしています。

患者一人ひとりの個性を大切に「結果」を出す

数値に表れにくい患者さんにはどのようなアプローチをしていますか?

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一番大事なことは治療を続けることです。中断してしまうと血糖コントロール悪化だけでなく合併症のリスクが非常に高くなる。だから、いかに治療を続けていただくかを優先します。そのためには、ご本人に「結果」を実感していただくことが大切。従来の治療がうまくいかなければ、新しい治療薬などを提案します。肥満の患者さんには、最近新しい作用機序で体重が落ちやすい内服薬や注射製剤も出てきました。まず1~2ヵ月試していただき、本人が成果を感じられれば、モチベーションも変わっていくんです。その人の個性に合わせた方法で「やってみよう」という気持ちを引き出すことこそが私たちの仕事です。私はドクターというより“みやち糖尿病塾の塾長”、塾に通ってくれている生徒と一緒に頑張る。そんな気持ちでいます。

印象に残っているエピソードはありますか?

何をやってもうまくいかなかった人に結果が出ると、大きな喜びを感じます。例えば独身の男性で「ようやく彼女ができた、今度結婚する、子どもをつくりたい」という患者さん。「ならば今の血糖値を良くしないと」と話してから数ヵ月で改善が見られました。また、それまで乱れた生活をしていた1型糖尿病の女性が「元気な子どもを産むためには何でもやります!」と言って変わっていく。やはり患者さん自身の価値観を尊重し、頑張るきっかけを応援するのがいいですね。同じ食事療法や運動療法でも「やらされている」のと自分が大事だと思ってやるのとでは、ストレスの感じ方が全く違う。どうしたら前向きな気持ちになっていただくかを考えます。

先生はケアマネジャーの資格もお持ちですね。

介護保険制度ができたときに、介護のことも知っておこうと思い取得しました。ケアマネさんたちとお話するときに役に立っていますね。彼女たちの中には全く医療のことを知らない方も多いのですが、ケアマネの資格を持っている医師の話は聴いていただきやすいようです。糖尿病を専門とする医師は、患者さんやコメディカルの人たちとフラットな関係で若い時から活動しているから、“多職種連携”がしみついているんです。

今後についてお聞かせください。

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私が医師になったのは、高校時代に周囲の勧めもあって医学部に入ったことがきっかけでしたが、この仕事が好きになり、一生続けたいと思ったのは、実際に医師として患者さんを診るようになってからです。最初の恩師に「患者さんから学べ。君たちにとっては患者さんが先生なんだ」と言われました。その通り。一人でも多くの人を診ればそれだけ学ぶことがあります。医師とは患者さんに育てられるのだと、感謝しています。これからも、患者さん一人ひとりから学びながら、私たちが持つ経験と知識を最大限に活用してベストを尽くしたいと思っています。「塾に行ったのに成績が上がらない」では来てもらえません。「結果」を出し患者さんから選ばれるクリニックになるよう、地道に努力を重ねていきます。

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