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早期発見・早期診断で寛解をめざす
関節リウマチ治療の今

かとう整形外科

(岡崎市/東岡崎駅)

最終更新日:2022/12/27

かとう整形外科 早期発見・早期診断で寛解をめざす 関節リウマチ治療の今 かとう整形外科 早期発見・早期診断で寛解をめざす 関節リウマチ治療の今
  • 保険診療

不治の病と言われていた関節リウマチの治療がこの十数年間で一変している。症状がまったく現れないところまで改善させることも望め、治療の継続によりその状態を維持することも期待できるようになった。中には治療終了というケースも1割程度ながらあるという。従来の抗リウマチ薬ではほとんど効果が期待できず、関節が破壊されていくのを黙って眺め、リハビリテーションや最終的には関節置換術といった手術に頼るしかなかった世界が、2つの薬が使えるようになったことで大きく変わった。リウマチは発症年齢によっては一生を大きく左右していたが、まさに患者の「人生が変わった」のだ。関節リウマチ治療の現状について、日本リウマチ学会リウマチ専門医でもある「かとう整形外科」の加藤武史院長に、詳しく話を聞いた。

(取材日2017年10月11日)

「不治の病・関節リウマチ」を治療可能にした抗がん剤の転用と、生物学的製剤の導入

Q関節リウマチとはどのような病気でしょうか?
A
かとう整形外科 エコー検査で異変をリアルタイムでチェック

▲エコー検査で異変をリアルタイムでチェック

何らかの理由で自己免疫系に異常反応が起こり、関節の滑膜が過増殖し骨を溶かしていく病気です。原因ははっきりわかっていませんが、男性より女性に多く、一般に30〜50代の患者さんが多いものの若い方や高齢の方もいます。遺伝的な要素もあるため、母や祖母、おばなどに患者がいる場合は注意しておいた方が良いでしょう。初期症状は小さな関節に生じ、徐々に大きな関節へ広がります。自分でも見つけやすく、手指の関節が浮腫む、腫れる、朝に痛む・こわばるといった症状に最初に気づくことが多いようです。進行すると関節の骨や軟骨が破壊され、関節が変形する、曲がる、動く範囲が狭くなる、拘縮(こうしゅく)するなどの症状がみられます。

Q検査と診断について教えてください。
A
かとう整形外科 見つけた異変をMRI検査で精密に確認

▲見つけた異変をMRI検査で精密に確認

まずレントゲン撮影をすると骨が破壊されている部分が黒っぽく見えます。それを見つけた場合には、MRI検査で滑膜の増殖、炎症や骨変化の様子を詳しく診ていきます。診察および超音波検査で関節の腫れの様子を、さらに血液検査でRF因子・抗CCP抗体という2つのリウマチ反応、および炎症反応を調べます。これらの検査結果をスコア化し、一定の基準を超えた場合に「関節リウマチ」と診断し、すぐに治療を開始します。これは日本リウマチ学会の診療ガイドラインに定められた診断基準であり、発症から3ヵ月以内、遅くとも半年以内に治療を始められることが理想的とされています。

Q治療法の何が変わったのですか?
A
かとう整形外科 リウマチ専門医の院長が丁寧にわかりやすく説明

▲リウマチ専門医の院長が丁寧にわかりやすく説明

十数年前にメトトレキサート(MTX)という抗がん剤に使用していた薬剤が関節リウマチに適用になったこと、そして生物学的製剤と呼ばれる薬が出たことで大きく変わりました。後者はリウマチで異常分泌される免疫物質の働きを抑えるよう作用し、痛みや腫れを改善するための薬です。壊れてしまった骨は元に戻せませんが、それ以上の進行を抑えようとする画期的なもの。治療はまずMTXの投与から始め、両者の併用が多いです。両方とも免疫を抑えるので副作用としては感染症に注意する必要があり、またMTXは間質性肺炎やリンパ腫などのリスクもありますが、どれも定期的に管理すれば発症予防が望めます。

Q貴院での治療にはどんな特徴がありますか?
A
かとう整形外科 オペ室も備え、重度の治療にも対応

▲オペ室も備え、重度の治療にも対応

生物学的製剤は無菌状態での投与が望ましいため、当院では無菌室を設置しています。悪化した場合の手術も可能です。以前主流だった関節置換術が必要なケースが少なくなった分、手指の関節など細かい部位の修復手術を希望する方が出てきました。これらは日帰りでの手術が可能です。またリウマチについて専門的な研鑽を積んだ看護師が9人ほど在籍し、治療に関する患者さんへの詳細説明したり、自宅での急変時の電話対応などを担当しています。私だけではとても患者さん一人ひとりに時間を割くことはかないませんが、専門知識を持つ看護師が丁寧に対応することで患者さんの不安も解消されるようにと、チームでのサポート体制を構築しています。

Q「リウマチかも?」と思ったら何科を受診すればよいですか?
A
かとう整形外科 早期に日本リウマチ学会リウマチ専門医を受診することが大切

▲早期に日本リウマチ学会リウマチ専門医を受診することが大切

当院は「整形外科」ですが、整形外科でも診ない先生はいます。一方で「リウマチ科」という名前を聞いたことがある方もいるでしょう。どちらもあり得ます。従来は外科手術が主な治療法の一つでしたが、現在は薬物療法でほとんど治るようになり、すでに外科の出番がほとんどなくなりました。ただし内科の中でも少し特殊な領域ですので、内科・外科問わず受診の際は、日本リウマチ学会の専門医の資格を持った先生がいるかどうかをチェックすることをお勧めします。これが専門知識と標準治療のガイドラインを心得ている先生であることの判断基準となります。学会ホームページにはリストが載っているので参考にしてください。

ドクターからのメッセージ

加藤 武史院長

リウマチは一生付き合うだろう病気ですが、薬剤の進歩で症状のない状態(寛解)まで回復も望めるようになりました。とにかく早期発見・早期の治療開始が肝心。そして治療を継続することです。気になる症状があれば怖がらずに受診してください。特に若い女性では、将来、結婚して子どもを授かり育てられるように、ということが治療の前提となる場合がありますし、それは十分可能だと思っています。子どもがほしい場合、MTXは中断して3ヵ月待ってから子づくりを始め、生物学的製剤なら妊娠に気づいた段階で中断することで赤ちゃんの安全も保てると見込めます。ご本人はその間、対症療法での維持が望めますので、ご相談いただきたいですね。

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