高田 眞智子 理事長の独自取材記事
高田眼科
(つくば市/つくば駅)
最終更新日:2026/09/08
つくば駅から車で約5分、筑波大学附属病院のそばに立つ白い2階建ての「高田眼科」。開放感のある院内には、公開式の手術室や先進的な医療機器がそろう。2000年の開業以来、「瞳に光と希望を」を理念に掲げる高田眞智子理事長は、白内障の日帰り手術をこの地域で早くから始め、多焦点眼内レンズや眼瞼下垂、緑内障と診療の幅を広げてきた。2026年5月には医療格差の解消をめざして下妻市に分院を開設。さらに2027年春には、総合診療科や心療内科、薬局と連携する新施設「つくばメディカルテラス」の完成を控え、地方から新しい医療モデルを形づくる取り組みを進めている。「光を届けることが難しい患者さんにも、希望をつないでいきたい」と語る高田理事長に、その信念と今後の展望を聞いた。
(取材日2026年7月29日)
白内障手術に魅せられ「瞳に光と希望を」を信念に
開業までの歩みをお聞かせください。

1990年に医学部を卒業し、研修を経て眼科医局に入りました。眼科を志すきっかけとなったのは、白内障手術の新しい術式との出会いでした。精緻な手技によって視力回復をめざす、その奥深さと美しさに強く惹かれました。その後、結婚を機につくばへと移り、民間病院の眼科で4年、東京医大茨城医療センターで3年学んだ後、2000年に開業しました。もっと多くの患者さんを診療したい、新しい医療機器を導入してより良い医療を提供したいという思いが次第に強くなり、それなら自分の手で理想の医療を実現しようと開業を決意しました。開業当時、つくば周辺では白内障手術といえば入院が一般的で、日帰り手術に対応する施設はほとんどありませんでした。一方、欧米ではすでに日帰り手術が主流となっており、この地域でも十分に実現できるはずだと考え、早い段階からその導入に取り組んできました。
診療で最も大切にされていることは何でしょうか。
開業当初から掲げている理念が「瞳に光と希望を」です。“光”には、私たちの技術で患者さんの目に光を届けたいという願いを、“希望”には、十分な光を届けることが難しい場合でも、生きる力を失ってほしくないという思いを込めています。適切な時期に治療を受けていれば視力を守れたかもしれない方が、治療が届かないまま見えなくなっていく。そうした現実を何度も目の当たりにし、それを防ぐことが自分の使命だと感じてきました。同時に、治療する私たち自身の瞳にも光と希望を宿し、学び続け、患者さんに尽くすことを喜びとする集団でありたいと思っています。
クリニックづくりにでこだわった点を教えてください。

開業時から特にこだわってきたのが、公開式の手術室です。当院では見学窓を設け、ご家族にも手術の様子をご覧いただけるようにしています。順調な経過だけでなく、万が一の際に私たちがどう向き合い、対応するのかまで隠さずお見せする。その覚悟を持って、あえてオープンな環境にしています。外来でも、検査画像を用いて目の状態をわかりやすく説明する診療を開業当初から続けてきました。医療をできる限り開かれたものにし、納得と安心につなげることが、信頼関係の土台になると考えているからです。また、より良い治療のため、先進的な医療機器の導入にも積極的に取り組んできました。技術だけでなく、設備を含めた診療環境全体を整えることも、医療の質を支える大切な要素だと考えています。
多焦点眼内レンズという選択肢を一人でも多くの人に
開業時から現在まで、診療内容はどのように変化してきましたか。

白内障の日帰り手術からスタートし、少しずつ診療の幅を広げてきました。まず取り組んだのが、加齢などによってまぶたが下がる眼瞼下垂の手術です。早い時期から炭酸ガスレーザーを用いた術式を導入し、現在も多くの手術を行っています。その後、白内障手術では多焦点眼内レンズを取り入れ、遠方から近方まで、より快適な見え方をめざす治療にも対応するようになりました。さらに、近隣の大学教授との連携によって硝子体手術が可能となり、緑内障を専門とする医師も加わるなど、診療体制を充実させてきました。近年では、若い世代の近視矯正を目的とした眼内コンタクトレンズの手術にも取り組んでいます。白内障手術を通じて培ってきた眼内レンズ治療や屈折矯正の経験が、若い世代への治療にもつながりました。一つの分野を深めることで、その先に新たな治療の可能性が広がっていく。そうした積み重ねが、現在の診療の形になっています。
白内障治療について、読者に伝えたいことはありますか。
白内障手術は、ただ濁った水晶体を取り替えるだけでなく、その先の人生をどのような見え方で過ごしたいかを考える機会でもあります。多焦点眼内レンズは、生活スタイルによっては眼鏡への依存を減らし、暮らしを快適にする選択肢の一つです。もちろん、すべての方に適しているわけではありません。大切なのは、単焦点・多焦点それぞれの特徴を正しく知り、納得して選ぶことです。2025年6月に『眼科医の私が白内障手術を受けて分かったこと』を出版したのも、自らの経験を伝え、「知らなかったために選べなかった」という後悔を少しでも減らしたいからです。自分らしい見え方と、これからの人生を考えるきっかけになればと願っています。
患者さんとのコミュニケーションで心がけていることはありますか。

患者さんには、できる限り正直に、筋道を立ててわかりやすくお話しすることを大切にしています。厳しい言葉は避けますが、難しい状態の方に根拠のない期待を持たせることもしません。しかし、必ず「一緒に治療していきましょう」と勇気づけ、どのような状況でも希望を失わないように心がけています。たとえ十分な光を届けることが難しくても、心には希望を届けたい。それが私の診療への思いです。また、症状が進んでからでは治療の選択肢が限られることもあるため、予防と早期治療も重視しています。適切な時期を逃さず、その方に必要な治療をご提案し、大切な視力を守るために責任を持って寄り添うことを心がけています。
連携して届ける新しい医療のかたち
若手の先生もご活躍されていると伺いました。

「こういうことをやりたい」と発信し続けてきたことで、同じ志を持つ先生方が集まってくれたのだと思います。当院では、若い先生の「やりたい」「学びたい」という気持ちを大切にし、新しいことへの挑戦を積極的に応援しています。眼瞼下垂では専門の先生から学んだ技術が院内で受け継がれ、これまで何人もの若手執刀医が育ってきました。白内障や緑内障、硝子体手術でも同様に、次の世代の執刀医が育っています。一方で、若い先生ならではの新しい知識や発想から、私自身が学ぶこともたくさんあります。月に1度の勉強会や日々の診療を通じ、年齢や立場に関係なく互いに学び、切磋琢磨する。同じ方向を向きながら、ともに成長していけることが、当院の大きな力だと感じています。
地域の医療に対して、今後どのような展開を考えていますか。
2026年5月、下妻市で分院を開設しました。以前から「つくばまでは遠い」という患者さんの声も多く、今後は本院と分院が連携し、住む場所による医療格差を少しでも減らしていきたいと考えています。特に高齢の方にとって、必要な医療を身近に受けられることは、フレイルを防ぎ、元気な生活を支える上でも大切です。さらに2027年5月には、当院の隣に「つくばメディカルテラス」が完成予定です。「よく見える」ことを入り口に、心身ともに健やかに暮らせる地域医療の拠点をめざします。総合診療科や心療内科、薬局など、同じ志を持つ仲間と連携しながら、目の前の患者さんに真摯に向き合い、自治体とも協力して、地方から未来につながる新しい医療モデルを発信していきたいと考えています。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

「よく見える」=単に視力が良い、ということではありません。家族の表情に気づくこと、季節の移ろいを楽しむこと、本を読むこと、外へ出かけること。そうした一つ一つが、毎日の喜びや、人とつながる力、生きる意欲につながっていきます。年齢を重ねても、自分の目で見て、自分で選び、自分らしく暮らせることは、とても大切なことです。私は眼科医として、目の治療を通じて「見える」だけでなく、その先にある「よく生きる」ことまで支えていきたいと思っています。皆さんがこれからの人生を、より明るく、前向きに、そして自分らしく歩んでいけることを心から願っています。
自由診療費用の目安
自由診療とは白内障手術用の多焦点眼内レンズ(選定療養)/片眼:32万円~、近視用の眼内レンズを用いた治療/適用検査3300円+術前手術1万1000円+治療費66万円~
※レンズの種類、保険負担割合等により費用が異なります。詳しくはクリニックへお問い合わせください。

