小澤 哲夫 院長の独自取材記事
こざわ耳鼻咽喉科医院
(松山市/余戸駅)
最終更新日:2021/10/12

松山市立西中学校の東側、閑静な住宅街にたたずむ「こざわ耳鼻咽喉科医院」。院内はバリアフリーで、開放的な待合室には小上がりのキッズスペースを設けている。また、子どもの恐怖心を和らげるため、明るい窓際に整えた吸入スペースも特徴的だ。中耳炎やアレルギー性鼻炎、扁桃炎、咽頭炎、花粉症など耳鼻咽喉科一般の診療に加え、アレルギー性鼻炎や花粉症の治療に関してはレーザー治療にも力を入れている。小澤哲夫院長は愛媛大学医学部を卒業後、同附属病院耳鼻咽喉科や宇和島、八幡浜にあるその関連病院の耳鼻咽喉科などでの18年の経験を生かし、患者一人ひとりの疾患にあわせたオーダーメイドの診療を心がけているという。誠実な人柄がうかがえる優しい語り口で、患者に対する想いなどを打ち明けてくれた。
(取材日2019年6月6日)
地域に根差した医療の実践をめざし、開業医に
開業されて20年になるそうですね。先生が医師になったきっかけ、そして開業された経緯を教えてください。

実は最初から医師をめざしていたわけでなく、医療系で幅広く考えていました。薬が好きだったので新薬の開発なども面白そうだなと思っていましたが、医学部に進んでからは医師一本に絞りました。愛媛大学医学部を卒業後は、附属病院耳鼻咽喉科の医局に所属し、そこから宇和島病院や八幡浜総合病院の耳鼻咽喉科に派遣され、地域医療も経験しました。医師になった愛媛で、地域に根差した医療を提供したいと思ったのが開業のきっかけです。
とても清潔感のある雰囲気ですが、クリニックの特徴は?
住宅街の中心にあるため、患者さんとしては近隣にお住まいの方が多いですね。年齢層は赤ちゃんから高齢の方まで幅広いので、皆さんが過ごしやすい院内環境づくりを心がけています。また、小さいお子さんが患者さんの場合、お母さんだけでなくそのご兄弟も一緒に連れて来られることも多いので、待合室はできるだけ広くてゆったりした空間にしたいと開院当初から考えていました。キッズスペースも小上がりとして、お子さんだけでも安心して遊べるような場所にしています。当院では、耳鼻咽喉科の一般的な疾患から花粉症、アレルギー性鼻炎まで、耳や鼻、喉の疾患を全体的に診ています。
患者さんと接する際にどのようなことを大切にされていますか?

やはり、患者さん一人ひとりに合わせた診療をすることでしょうか。同じ疾患でも、患者さんによって表れる症状や程度は違うので、まずはしっかり問診を行い、どのような症状で悩んでいるのか、いつ頃から発症したのか、症状が出やすい時間帯やどんなときに症状が強く出るのかなど、できるだけ細かく、丁寧にヒアリングをして、患者さんに最も適した治療法を提案することを心がけています。特に花粉症やアレルギー性鼻炎は症状の出方に個人差が大きいですし、薬の種類もかなり多いので、薬の処方には気をつけています。その薬で症状が改善されたらいいのですが、緩和されない場合は薬を変えてみるなど、しっかり経過観察しながら臨機応変に対応していくことが求められます。だからこそ、患者さんが目に見えて良くなっていくのをそばで感じられることのやりがいは大きいですね。
患者一人ひとりにあわせた、オーダーメイドの診療を
どのような疾患の患者さんがいらっしゃいますか?

やはり中耳炎や耳鳴り、めまい、咽頭炎、副鼻腔炎、花粉症などのアレルギー性鼻炎といった耳や鼻、喉の疾患で来院されますが、まずは何かしらの不調を感じていらっしゃいますね。風邪の症状で来られる方も多いです。風邪の症状は、鼻が出たり、喉が痛かったりするので、耳鼻咽喉科の守備範囲です。鼻が出るので風邪だと思っていたら、アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎であったとか、小さいお子さんでは鼻の中に消しゴムやおもちゃが入っていたりすることもあります。また、私は校医もしているのですが、学校健診でアレルギー性鼻炎を見つけることも多い印象ですね。
先生は、アレルギー性鼻炎のレーザー治療にも力を入れてらっしゃるそうですね。
レーザー治療は、鼻の中の粘膜の大きい部分にレーザー光を当て、その部分の粘膜表面を蒸発させることで粘膜の腫れを取り、花粉などの抗原が入りにくく、また反応が起こりにくい粘膜にするための治療法です。アレルギー性鼻炎や花粉症の一つの治療法として、当院ではしっかりと診察をし、患者さんの症状や生活スタイルなどを見極めた上でレーザー治療の提案をしています。薬の服用だけでアレルギーの症状をコントロールできていればいいのですが、薬だけでは効かなかったり、重症の状態が長く続いていたりと生活に支障が出てしまっている場合や、妊婦さんで薬の服用ができない、仕事柄車の運転が多く、眠気を起こす薬の服用は避けたいという患者さんに対しては、レーザー治療が有用かと思います。
レーザー治療は子どもでも可能でしょうか?

そうですね。子どもさんでも、麻酔のガーゼを鼻の中に入れることができるぐらいであれば、行えます。小学校高学年ぐらいなら大丈夫なことが多いですね。また、レーザー光は鼻粘膜で吸収されるので、体内には入りません。ですから妊娠中のお母さんにも適した治療法であると思いますね。
先進の治療を取り入れ、最良のアプローチをめざしたい
耳や鼻、喉の疾患や花粉症、アレルギーに関して、気をつけておくべきことはありますか?

特に小さなお子さんを持つ親御さんに気をつけていただきたいのは、外からもらってくる病気ですね。最近は両親共働きの家庭が増えているので、赤ちゃんの頃から保育園に預ける場合も多く、そこではやりの病気をもらってくることがあります。ですから、そういった情報は早めにキャッチし、予防しておくことをお勧めします。また、花粉症やアレルギー性鼻炎の対策としては、基本的にはその原因となる物質(抗原)が鼻の中に入るのを防ぐことが一番。そのためには、たとえ現在症状が出ていなくても、日頃から花粉やホコリ、ダニなどを吸い込まないように心がけましょう。そしてアレルギー症状をやわらげるには、生活環境を整えてあげることも大事。例えば洗濯物を干すとき、ホコリやダニのアレルギーなら、外で太陽の光に当てて干したほうがいいけれど、花粉症だったら春の外干しは避けたいですよね。そんな少しの心がけでも、症状の緩和が見込めると思います。
注目されている治療などはありますか?
花粉症やアレルギー性鼻炎の治療法の一つに、アレルゲン免疫療法というものがあります。これは、アレルギーの原因であるアレルゲンを体の中に少しずつ投与することで体をアレルゲンに慣らし、症状の改善につなげていく治療法です。この治療法は、原因となるアレルゲンを体内に取り込むものですから、まずは何のアレルギーか確定することが重要。アレルギー検査をして、原因が明らかになった上で行います。アレルゲン免疫療法には皮下に注射する「皮下免疫療法」と舌の下に治療薬を投与する「舌下免疫療法」がありますが、私が今、積極的に取り組んでいるのは、注射の痛みもなく、家庭でも服用できる「舌下免疫療法」です。日本国内においては、スギ花粉症とダニアレルゲンによる通年アレルギー性鼻炎が舌下免疫療法の保険適応となっていますので、関心のある方はお気軽にご相談ください。
最後に、読者の方へメッセージをお願いします。

愛媛に住み、早40年。もうすっかり愛媛県民です。医師となり、家庭を持ち、開業した松山で、これからも地域に根ざした医療に邁進していきたいと考えています。先ほどの「舌下免疫療法」もそうですが、新しい治療法や新薬が発表されたら、そのメリット・デメリットを見極めた上で積極的に取り入れ、少しでも治療の選択肢は増やしていきたいですね。そして子どもさんからご年配の方まで、皆さんが耳や鼻、喉に違和感を感じたとき、気軽に来られるような医院をめざしていきたいと思います。