伊東 明彦 院長の独自取材記事
いとう耳鼻咽喉科
(枚方市/枚方市駅)
最終更新日:2026/07/31
京阪本線「枚方市駅」よりバスで約11分、「桑ヶ谷」停留所からすぐのクリニックモール2階に「いとう耳鼻咽喉科」はある。2001年の開業以来、2度の移転を経て、2025年より現在の地で診療を行っている。院内は白とベージュを基調とした落ち着いた空間が広がり、木をあしらった受付カウンターがぬくもりを添える。伊東明彦院長が特に大切にしているのは、内視鏡で患部の画像を提示しながらわかりやすく説明する「見せる治療」だ。「患者さんの痛みや苦しみへの共感が大切」と穏やかに語る伊東院長に、長年貫いてきた診療スタイルや地域医療への思いを聞いた。
(取材日2026年4月22日)
自らの通院体験を原点に耳鼻咽喉科医の道に進む
先生が医師を志されたきっかけを教えてください。

幼い頃から蓄膿症やアトピー性皮膚炎を患い、耳鼻咽喉科と皮膚科に長く通っていました。母が勤めていた皮膚科の先生はとても優しく接してくださいました。一方で、通っていた耳鼻咽喉科の先生は落ち着いた雰囲気で、子どもながらに「かっこいいな」と憧れを抱いていました。そうした先生方との出会いが重なり、小学生の頃には自然と医師を志すようになりました。近畿大学医学部へ進学後は、耳鼻咽喉科と皮膚科のどちらに進むかで悩みましたが、最終的には耳鼻咽喉科を選びました。小さなお子さんからご高齢の方まで幅広い年代の患者さんを診ることができる点や、治療によって患者さん自身が症状の変化を実感しやすく、喜んでもらえる点に、大きなやりがいを感じたためです。
耳鼻咽喉科の道に進まれてから、どのような経験を積まれたのですか。
大学では研究にも携わっていましたが、新宮市民病院での臨床経験が大きな転機となりました。耳鼻咽喉科の常勤医が長く不在であった地域に赴任し、受診される患者さんが増える中、内視鏡を用いて患部の画像をお見せしながら説明する「見せる治療」が自然と定着していきました。いかにわかりやすく伝え、納得していただけるかを日々追求する中で、多くの患者さんと信頼関係を築くことができたと感じています。最後の診療日には大勢の患者さんが長蛇の列を作ってくださり、多くのお手紙も頂戴しました。この経験から、一人ひとりに丁寧に向き合う外来診療が自分に合っていると確信し、開業を決意しました。
クリニックの設備や空間づくりで、大切にされていることはありますか。

2001年に枚方市香里ヶ丘で開業し、2006年に1度目の移転、そして2025年に現在の場所へ移転しました。新しいクリニックでは、診療の質はもちろんのこと、患者さんが安心して過ごせる空間づくりにも力を入れています。内装はホテルのロビーを参考に、白とベージュを基調とした落ち着きのあるデザインにしました。受付カウンターの下には木をあしらい、ぬくもりを感じていただける雰囲気を大切にしています。設備面では、感染対策として隔離室を設け、感染症の患者さんと一般の患者さんの動線を分けました。また、中待合にはドアを設置し、プライバシーにも配慮しています。待合室にはキッズスペースを備えるなど、お子さん連れでも気兼ねなくお越しいただける環境を整えました。
内視鏡を活用した喉や鼻の奥を「見せる治療」
診療の柱となっている内視鏡について、具体的にお聞かせください。

当院の診療において特に大切にしているのが、内視鏡を用いた「見せる治療」です。喉や鼻の奥など、患者さんご自身では確認できない部分を細い内視鏡で映し出し、実際の画像をご覧いただきながら説明しています。正常な画像と比較することで症状の程度を実感していただけますし、画像を記録することで前回との変化も一目で把握できます。こうした積み重ねが、患者さんの理解や安心感につながっていると感じています。開業時には、他の設備を削ってでも内視鏡だけは必ず導入したいと考えていました。当時はまだ導入している開業医も少なかったのですが、患者さんの納得につながることに加え、医師として小さな病変の見逃しを防ぐ重要なツールになると確信していたからです。現在も日常的に使用しており、業者の方にランプの消耗の早さに驚かれるほど活用しています。それだけ診療に欠かせない存在となっています。
お子さんの診療についてはいかがでしょうか。
開業してまず驚いたのが、想像以上にお子さんの患者さんが多いことでした。鼻風邪や咳、発熱などいわゆる風邪症状の患者さんが非常に多く、待合室がにぎやかな保育所のようになることもあります。大学病院ではあまり経験しない症状も多く、小児診療の理解を深める必要性を感じ、勤務医時代にご縁のあった先生を通じて、三重県の小児科クリニックへ隔週で日曜日に勉強に通い始めました。5年間学ぶ中で、「子どもは症状をうまく言葉にできないからこそ検査やデータを重視する」という視点を得られたことは、現在の診療にも大きく役立っています。耳鼻咽喉科として小児疾患の見逃しを防ぐための学びでしたが、非常に貴重な経験となっています。現在もその経験を生かしながら、お子さん一人ひとりの状態を丁寧に診ることを心がけています。
先生が得意とされている分野についても教えてください。

耳・鼻・喉の一般的な症状を幅広く診療していますが、特に自信を持っているのは耳の処置です。大学時代には中耳の研究や手術に携わり、専門的な経験を積んできました。また、恩師から「開業したら耳で差が出る」と助言いただいたことも印象に残っています。耳の中は非常に繊細で、処置の角度やアプローチのわずかな違いが結果に影響します。そうした点は、これまでの経験があってこそ対応できる部分だと感じています。また、アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎、風邪症状などの一般的な疾患も幅広く診療し、必要に応じて専門医療機関への紹介も行っています。同じクリニックモール内や近隣の内科・小児科の先生方と連携できる環境があり、耳鼻咽喉科の領域を超える症状についても相談しやすい体制が整っています。こうした連携は、患者さんの安心にもつながっていると感じています。
痛みに共感し「ここで良かった」と思える診療を
患者さんと向き合う上で、大切にされていることは何ですか。

患者さんの痛みや苦しみに共感することが最も重要だと考えています。「自分だったらどれほどつらいだろう」と相手の立場に立って感じることが、症状改善に向けた最善の道を探る原動力になるからです。私自身、子どもの頃から蓄膿症やアトピー性皮膚炎で長く通院し、不安な気持ちで待合室に座っていた記憶が今でも残っています。だからこそ、ご自身の状態がわからないまま不安を抱えて来院される方のお気持ちには、できる限り寄り添いたいと思っています。「ここで診てもらって良かった」と感じていただけることが、私にとって最も大きなやりがいです。
スタッフの方々や、今後の展望についてお聞かせください。
当院では14人のスタッフが、朝・昼・夜の3交代制で勤務しています。外部から講師をお招きし、定期的に接遇研修を実施しており、チーム全体で丁寧な対応を心がけています。日々真摯に取り組んでくれているスタッフには、感謝の気持ちしかありません。今後の展望としては、地域の皆さまにとって「安心して相談できる存在」であり続けることに尽きます。24年間この地で診療を続けてこられたのは、患者さんや地域の方々に支えていただいたおかげだと感じています。今後も医療の質を大切にしながら、過不足のない適切な診療を提供し続けていきたいと考えています。
最後に、読者の方へメッセージをお願いいたします。

耳・鼻・喉の症状は、日常生活の中で気になりながらも「この程度で受診していいのだろうか」とタイミングに迷われる方が多いと思います。ただ、わずかな違和感の段階でご相談いただくことで、結果的に早い対応につながることは少なくありません。どんな些細なことでも構いませんので、気になることがあれば遠慮なくご相談ください。当院では内視鏡の画像をお見せしながら、できるだけわかりやすくご説明し、患者さんにご納得いただいた上で治療を進めることを大切にしています。不安なお気持ちに寄り添いながら、お一人お一人にとって最適な医療を見極めていく。その姿勢を、これからも変わらず大切にしていきたいと思っています。

