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山本 和英 院長の独自取材記事

かずクリニック

(豊橋市/西小坂井駅)

最終更新日:2021/10/12

山本和英院長 かずクリニック main

遠くに山並みを望み、周囲に水田が広がる「かずクリニック」。木の風合いを生かした、アットホームな建物である。院長の山本和英先生は、自身が生まれ育った、のどかな地域で2001年に開業した。「患者さんはほとんどが知り合いです」とほほ笑む山本院長。地元ならではの気さくで親しみやすい対応が魅力で、多くの患者に慕われている。院長は呼吸器内科が専門で、CTも備え、肺がんをはじめとする各種のがん、脳腫瘍など、さまざまな病気の早期発見に努めるとともに、在宅診療にも積極的に取り組み、地域の頼れる「かかりつけ医」として根を下ろしている。「患者さんの立場にたち、優しく」と毎朝振り返り、常に柔らかな笑顔を見せる山本先生に、診療姿勢や患者への思いについて語ってもらった。

(取材日2017年8月23日)

落ち着いた癒やしの空間でCTを使い病気の早期発見も

開業された時のことや、来院される患者について教えてください。

山本和英院長 かずクリニック1

開業を考えていた頃、21世紀が間近でしたので、せっかくならその時にと2001年1月に開業しました。院名は「ミレニアムクリニック」にしようかとも考えたのですが(笑)、患者さんが呼びやすいほうがいいだろうと、私の名前から「かずクリニック」に決めました。私はここで育ち、近くの保育園から小学校、中学校とすべて通いましたので、患者さんはほとんどが知り合いです。開業時から園医と校医もしていますので、子どもたちの成長も見てきており、みんな自分の子のような気持ちでいます。患者さんは高齢の方が多いですが、夏は熱中症、冬はインフルエンザなどで、お子さんから働き盛りの方々も来られます。昔は小さかった子が、親になってお子さんを連れてきてくれることもあり、とてもありがたいと思っています。

院内は木の内装で、温かみのある雰囲気です。

癒やしの空間にしたくて、木造の建物にしました。天井は松の丸太をそのまま表し、高さもありますから、「ログハウスみたい」とか「ここでコーヒーが飲めたら最高だね」と言われたりします。処置室にはベッドも10台用意しています。待合室の椅子は、体が疲れないように通常より背もたれを高めにしています。また床暖房ですので冬も暖かいですよ。私が、絵画や仏像が好きですので、それらを院内に飾り、BGMはオルゴールやクラシックのピアノ演奏にして、患者さんに落ち着いて過ごしていただけるようにしています。

このあたりでは珍しいCTも、開業時から備えられているのですね。特に得意とする疾患はありますか?

山本和英院長 かずクリニック2

はい。CTは画像が鮮明できれいですし、エコーだけでは見えない部分も見えるなど、病気の早期発見に非常に有意義だと考えています。例えば肺がん、肝臓がん、膵がん、胆のうがん、腎がん、それから脳腫瘍などですね。毎年、この検査で病気を発見しています。また、私が得意としているのは、高齢者の肺炎の検査・診断、そして治療です。名古屋市立大学で取得した博士論文もそれをテーマにしました。中でも実際に多い疾患は誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)で、それ以外にも肺炎球菌感染症やブドウ球菌性肺炎などがあります。肺炎の初期の症状としては咳と発熱、食欲不振などですが、お年寄りですと、それらの典型的な症状が出ない場合も多いのです。熱もないし、十分な咳反射もない。ですから聴診器でのしっかりした診察とレントゲン撮影での診断が重要になります。

患者の立場にたち、十分な説明と診察、在宅診療も

お年寄りは肺炎でも熱も咳も出ないということですと、病気に気づかないこともあるのでは?

山本和英院長 かずクリニック3

そういった見落としがないよう、往診で気を配っています。今は昼休みの時間を使って毎日訪問しています。聴診器を当てて体の具合を確認し、呼吸状態をよく診ます。これはおかしいなと思ったら、クリニックでレントゲンを撮ったり、市民病院へご紹介するなどの対応をしていきます。やはり、「いつもと様子が違う」、「食欲がない」というのが一つの目安になりますね。高齢者の肺炎は多いので、まずこちらも疑うことが必要だと思います。

待合室には、先生の理念が掲げられていますね。

「患者さんの立場になり、やさしくおもいやりのある医療をめざします」「充分な説明と同意に基づいて信頼される医院をつくります」「在宅医療を積極的に行ない、地域に根ざした医療を実践します」。毎朝読み上げていますので、頭に入っています。患者さんは不安や心配事を抱えて来られますので、当院の考え方をお示しして、少しでも安心していただきたいと思いました。特に説明には力を入れていて、納得いただけるまでお話しています。また在宅診療は、総合病院での勤務医時代から外科や小児科の先生にも呼び掛けて一緒に取り組んでいました。これまで多くの方をご自宅で看取らせていただきました。開業してから16年経ち、70歳だった方は80代後半になります。「死ぬ時には来てくれよ」とおっしゃる方もいて、実際にお看取りさせていただいた際には、「希望をかなえてあげられた」とご家族にもとても感謝されたことは印象深い経験です。

生涯にわたりずっと診てくださるのですね。

山本和英院長 かずクリニック4

特に開業してからは、患者さんとの距離が格段に近くなったと感じます。お互いに地元ですので、膝を交えて話すという感じで患者さんも何でも相談してくれます。話が病気以外のことに及ぶこともあり、“よろず相談所”のようですね。ただ、待っている患者さんがいらっしゃるので時間を考えながらです。朝6時頃からクリニックの前に来られる方や、私の自宅のほうまでわざわざ来られる方もいらっしゃいます。頼りにしていただけることは本当にありがたいですし、これからもそう感じていただけるよう努めていきます。

患者に親切に、そして安心感を持たれるクリニックに

先生は、そもそもどうして医師をめざされたのですか?

山本和英院長 かずクリニック5

中学生の時に大きなけがをし、医師という仕事を意識したのがきっかけです。当時診てくれた先生は昨年亡くなったのですが、生前、医師になったことを伝えると喜んでくれましたね。私自身、医師になってよかったと心から思っています。確かに忙しく、夜中に診療があったりと大変な部分もあるのですが、患者さんが笑顔で帰って行かれる時は特にやりがいを感じます。実は私の息子2人も医師になり、それぞれの分野で頑張っているようです。

クリニック以外での先生についても教えてください。

現在、市内外の企業5社の産業医をしており、労働衛生コンサルタントもしています。企業の安全衛生委員会に月1回出席し、工場などへ出向いて、けがや病気はないか、精神的にストレスを抱えている人はいないか情報を得るとともに労働環境を巡視する仕事です。問題があれば改善するよう提言します。労働衛生コンサルタントは都市部では多いかもしれませんが、東三河では現在、2人だけのようですね。あと、実家が農家ですので休診日には天候に合わせて農作業をします。春には田植え、秋には稲刈りで、私は田植え機を運転します。畝をまっすぐにするのはなかなか難しいのですが、結構うまいんですよ(笑)。

最後に、これからのことについてお聞かせください。

山本和英院長 かずクリニック6

まずは健康維持と思い、時間があれば標高200mほどの山へ出かけています。ここから十数分で山のふもとに着くので、2~3時間で登って帰ってくるのです。年間70~80回は行っているでしょうか。そうして体と心を鍛えながら、今後も「患者さんに親切に丁寧に」ということを変わらず心がけていきたいと思います。私自身、けがをしてつらい思いをしましたから、常に患者さんの気持ちを考え、説明をきちんとしていきたいですね。やはり「本当に治るんだろうか」「説明がよくわからなかった」と不安なまま帰られてしまうようではいけないと思うのです。自分が納得できると病気も早く治ります。当院のスタッフたちは、婦長をはじめみんな優しく、丁寧です。生き生きと働いてくれていて、患者さんとは和気あいあいと話をしていますので、その点でも来院される方にはこれからも安心して受診していただければと思います。

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