山田 孝之 院長の独自取材記事
レディースクリニック山田産婦人科
(鳥栖市/新鳥栖駅)
最終更新日:2026/05/15
新鳥栖駅から徒歩8分の閑静な住宅街にある「レディースクリニック山田産婦人科」。院長を務める山田孝之先生は、久留米大学医学部を卒業後、九州各地の病院で研鑽を積み、1999年に同院を開業した。婦人科にとどまらず内科や外科系、精神医学まで学びを広げ、女性ホルモンを軸とした心と体の総合的な診療を実践している。長年かけて築いた精密な診断力と専門家ネットワークを駆使し、必要に応じて迅速に他科へつなぐ姿勢も頼もしい。穏やかな笑顔の中に患者への強い思いをにじませる山田院長に、恩師から受け継いだ覚悟、開業してもなお学び続ける日々、そして地域の女性を支える同院の診療などについて語ってもらった。
(取材日2026年4月7日)
婦人科と産科、恩師に導かれ両方の道を追求
医師を志し、産婦人科を専門に選ばれた経緯をお聞かせください。

義理の叔父が代々医師の家系で、幼い頃からよく遊びに行っていました。父は医師ではなく、進路は自由だったのですが、自分の性格を考えると組織の中で働くよりも、自分の判断で仕事に向き合える医師のほうが合っていると感じ、医学部へ。叔父からは「医者というのは人の命を預かって診る仕事だから、それを覚悟しなければならないんだよ」と小さい頃から教わっていて、その言葉は今も胸にあります。もともと外科系を志望していたところ、学生時代に婦人科へよく顔を出していた縁で教授から声をかけていただきました。産婦人科は「生から死まで全部診る」科だと教わり、その懐の深さに惹かれて入局を決めたんです。
大学の医局ではどのような研鑽を積まれたのですか?
教授から卵巣がんを研究テーマとして与えられため、婦人科が中心になるところ、赤ちゃんが好きだったので産科もやらせてほしいとお願いしたんです。すると「量は増えるが弱音だけは吐くな」という条件で両方を任せてもらえました。腫瘍学・周産期・不妊・女性医学という産婦人科の4つの分野を満遍なく経験できたのは、教授の懐の深さがあってこそと感謝しています。出向先はいつもハードな職場ばかりでしたが、結果的にはそれが大きな糧になりましたね。当時は先輩も厳しく、食いしばってついて行かなければ一人前になれない時代。疑問があれば遠慮なく意見をぶつけました。それを受け止めてくださる恩師のもとで、医師としての土台が築かれたと思っています。
鳥栖で開業された経緯を教えてください。

恩師である教授が退官されるタイミングに合わせ、私も開業して自分の道を歩むことに決めました。大学のある久留米を起点に候補地を回り、縁あってこの鳥栖にクリニックを持つことに。以来、新鳥栖駅から徒歩圏内のこの場所で診療を続けています。閑静な住宅街にあり、駐車場も正面と裏の両方に設けていますので、お車での来院にも便利です。待合室は自然光が差し込む広めの空間で、お子さん連れの方にはキッズスペースもご利用いただけます。現在、分娩は行っていませんが、妊婦健診をはじめとする産科の診療にはできる範囲で対応しています。この鳥栖・三養基エリアで産婦人科は限られていますので、地域の女性の健康を支える役割を果たしていきたいと考えています。
女性ホルモンの働きを熟知し、婦人科の枠を超えて診療
来院される患者さんの主な症状について教えてください。

最も多いのは更年期にまつわる症状で、めまいや動悸などさまざまな訴えがあります。若い世代では月経不順や月経痛、PMS(月経前症候群)で来られる方が目立ちますね。さらに子宮がんや卵巣がん、乳がんにつながる兆候を見逃さないための検診にも力を入れています。女性の体は年齢とともに大きく変化し、かかりやすい疾患も移り変わりますが、生活リズムと体調管理、それらに通じるのはいずれも女性ホルモンの働きです。ホルモンをしっかり理解することが、女性のお悩みに向き合う上で欠かせないと考えています。不妊についてはご相談はお受けしていますが、高度な治療が必要な場合には専門の施設へご紹介しています。
婦人科の診療に、他科の知識も必要になることがありますか?
大いにあります。例えば更年期の患者さんには、糖尿病や高血圧、骨粗しょう症、高脂血症、メタボといった合併症を抱える方が少なくありません。そうした疾患のお薬の知識がなければ、更年期の適切な管理はできないんです。骨粗しょう症も、悪化してからでは整形外科の領域になりますが、進行を抑えるためにも骨密度が下がり始めた段階で手を打つことが重要です。女性の尿漏れもホルモンや骨盤周囲の状態が大きく影響していて、泌尿器の治療だけでは解決しにくい。婦人科と産科、両方の視点で患者さんを診られるため、女性の体全体を見渡す力は総合診療にも負けないと思っています。県の勉強会にも足を運び、内科や外科系の知識も常に更新するよう心がけています。
幅広い診療を支えるために、どのような診療体制を取っていますか?

一つのクリニックで完結しようとせず、各科の専門の先生方との連携を大切にしています。学生時代からの仲間が内科や外科、整形外科、耳鼻咽喉科などで活躍していて、判断に迷う場面では電話一本で相談し、紹介できる関係を長年かけて築いてきました。大学病院に勤めていた頃は「もう少し早く紹介してもらえていたら」と感じた経験が何度もあり、悪くなる一歩手前で専門の先生にお願いするスタンスを徹底しています。精神面のケアも欠かせません。私自身、女性の精神医学についても研鑽を積んできましたが、やはり専門家に診ていただくのが一番ですので、信頼できる精神科の先生へ紹介するルートも整えています。当院も心理の専門家に月に1度来てもらい、必要に応じてフォローをお願いしています。
学び続ける姿勢で届ける、丁寧な女性科医療
診察や治療にあたって大切にされていることを教えてください。

すぐに薬を出して済む場合は実はとても少ないんです。そのため、まずは体と環境のバックグラウンドをしっかり調べ、どこに原因があるのかを見極めてから治療に入ることを大切にしています。女性の場合、ホルモンには周期がありますから、そのタイミングに合わせた診察が適切な判断につながります。指定した時期に来ていただくようお願いしているのも、そのためです。厳しいと感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、丁寧に診断をつけるにはそれだけの手順が必要なのですね。生活スタイルにもしっかり耳を傾け、「処方して終わり」には決してしません。治療は医師と患者さんの共同作業ですから、ご自身の体と向き合う気持ちで通っていただくと、それだけこちらも打てる手が広がっていきます。
医療の進歩が速い中で、日々どのような取り組みをされていますか?
毎日が勉強だと感じています。新しい薬や治療法が次々に登場しますから、各地のワークショップやウェブセミナーなど、学べる場にはできるだけ参加しています。ただ、新薬はすぐに採用するのではなく、使用状況を見極めてから取り入れるようにしています。良いと思った薬でも副作用が出れば患者さんにとっては大変なことですから、慎重さは欠かせません。最近は、ホルモン剤が使えない方への新たな治療の選択肢にも注目しているところです。スタッフについては少数精鋭の体制で、看護師には私の診療を間近で見ながら学んでもらっています。勉強会などで不在にする際は、大学の先輩である上妻益隆(こうずま・ますたか)副院長にサポートをお願いしています。勉強熱心だと言っていただくこともありますが、医師なら当たり前のことだと思っているんですよ。
最後に、地域の皆さんへメッセージをお願いします。

ご自身の体を大事にしてほしいということに尽きます。忙しい毎日の中で受診を後回しにしてしまう方は少なくありませんが、気になる症状があれば早めに相談していただきたいですね。年齢やライフステージによって必要なケアは異なりますから、今の自分に何が必要かを知ることが健康を守る第一歩です。きちんと治したいと思うなら、しっかり向き合ってくれる先生のもとで診察を受けることが大切だと私は考えています。治療を続けるには患者さんご自身の覚悟も欠かせませんが、その気持ちがある方を私は全力で支えたい。この鳥栖の地で、女性の皆さんの健康を生涯にわたってお守りしていけるよう、これからも研鑽を重ねてまいります。

