結城 裕之 院長の独自取材記事
中央レディスクリニック
(福岡市中央区/西鉄福岡(天神)駅)
最終更新日:2021/11/10
商業施設の集まる天神地区のシンボルともいえる警固公園。その目の前に建つオフィスビルの6階に「中央レディスクリニック」はある。不妊治療に特化した診療を行うクリニックだ。院長の結城裕之先生は、九州大学病院や浜の町病院で不妊治療や婦人科腹腔鏡手術の研鑽を積んできたベテランドクター。タイミング指導から、人工授精、体外受精、顕微授精まで、質の高さにこだわった医療を提供している。高度な治療を求めて、遠方からも患者が訪れるという。妊娠したいという女性の願いを1人でも多くかなえるべく、仕事に励む結城院長。クリニックの特徴や診療にかける思いなど、たっぷりと話を聞いた。
(取材日2020年3月26日)
亡き父の導きで、患者に寄り添う医師の道へ
そもそも、先生が医師を志したきっかけは何だったのですか?
私の父が病弱だったことが大きいですね。一家の大黒柱が病気になって働けなくなると、精神的にも経済的にも大きな負担を抱えこむことになります。手術の時などに専門用語で説明されて内容がよくわからず戸惑ったこともありました。患者さんに寄り添えるような医療を実践したい。そう思って医師を志すようになったのです。
これまでのご経歴と開業に至った経緯を教えてください。
九州大学医学部大学院での免疫、不妊、細胞培養の研究を経て、九州大学病院や浜の町病院、原三信病院でずっと不妊治療に携わってきました。そこでずっと気になっていたのが、開院当時、全国的に妊娠率が低いこと、費用が高額になりやすい傾向にあることです。また、「診療時間の制約があることで、仕事と治療の両立が難しい」との訴えがあり、何とかしたいと思っていましたが、大きな組織の中にいたのでは、理想の医療を追い求めることはできません。そこで、思い切って開業することにしたんです。それから20年、「できるだけ患者さんに経済的、時間的な負担をかけない形で、質の高い医療を提供していく」という目標に向かって突き進んできました。自分がやりたい治療を取り組めていることに、そして何よりも来てくださっている患者さんに感謝しています。
不妊治療に訪れる患者さんはどのような方が多いですか?
平均年齢は30代後半で、下は20代から、上は50歳くらいの方まで来ていただいています。そのほとんどが誰かからのご紹介のようです。近隣にお住まいの方以外に、広島や山口、沖縄から、遠くは海外からわざわざお越しになる患者さんもいらっしゃいます。現代は、仕事に追われて忙しい方が多く、パートナーともすれ違い生活になりがちで、自然に子どもを授かることが難しい環境にあるようです。しかし、どのような状況下でもベストを尽くして、多くの方に妊娠していただきたいと考えています。
客観的なデータをもとに治療方法を選択
クリニックの特徴を教えてください。
単なる思い込みではなく、検査・治療データに基づいた治療を行っていくことが当院の診療ポリシーです。2001年から毎年、不妊治療の成績を集計し、結果を公表しています。妊娠した年齢や不妊期間、選択された治療法のグラフを院内に掲示し、患者さんが治療方法を選択するときの参考にしていただいています。また、ホームページには毎年妊娠された患者さまの年齢・経歴を示しています。自分と似た人がどのような経過を経て妊娠したのかがわかって心の支えになるようです。また、先ほども申し上げたように、働いている方が多いので、お仕事帰りやお休みの日にも受診できるよう、朝の10時から夜の19時まで、土曜日も診療を行っています。私自身は、年末年始以外は出勤するようにしています。
具体的にはどんな治療を行っているのですか?
まずは、タイミング療法や薬物療法などを行います。タイミング療法とは、排卵日を予測して、妊娠しやすいタイミングを指導していく方法です。薬物療法には、西洋薬や漢方薬、ホルモン剤、排卵誘発剤などさまざまな種類があります。一般治療は保険が適用されるため、経済的な負担は少なくて済みます。できるだけ1年以内に結果を出したいと考えていますが、なかなか妊娠が難しい場合や、短期間で結果を出したいという場合は、人工授精や体外受精などの治療法を説明し、患者さんの希望に応じて実施します。また、当院は卵管鏡下手術を行っているクリニックです。不妊症の原因となる卵管の詰まりを解消していくことで自然な妊娠をめざしていきます。治療に際しては、麻酔をしてなるべく痛みが軽減されるよう努めています。
男性側が不妊の原因になっているケースもあるとか。
不妊症に悩むご夫婦のうち、50%近くが男性に原因があるといわれています。ですから、不妊治療は女性だけが行うものと考えるのは間違いです。なかなか妊娠できなかったら、男性も早めに検査を受けることをお勧めします。検査をして男性側に問題がある場合は、当院で泌尿器科の先生へご紹介をしています。不妊治療が成功されている方は、ご主人と協力されているケースが多いですね。当院では、妊娠するためにどのような治療が必要なのか、どのくらい奥さまに負担がかかるのかをきちんとご理解いただくために、治療に入る前の段階でご主人にも来院してもらうようにしています。
負担が少なく、一人ひとりに合った方法を提案していく
患者さんと接する際に心がけていることは?
患者さんの想いを重視し、ご納得いただいてから治療を進めることを大切にしています。不妊症の原因や治療法について説明する際は、難しい専門用語はできるだけ使わず、わかりやすい言葉でお話しすることを心がけています。不妊に対する治療には、いくつかの選択肢がありますが、こちら側の意見を一方的に押しつけるようなことはありません。エビデンスに基づいた十分な説明を行い、最終的にどのような治療をするのかをご本人に選択していただきます。ただ、残念ながら年齢を重ねるにつれ、妊娠が難しくなっていくのは事実です。それでも妊娠を希望される場合、妊娠が難しいかもしれないのに高額な費用がかかる治療をお勧めするわけにはいきませんから、なるべく患者さんに負担がかからない自然な方法をご提案するようにしています。また、お名前ではなく番号でお呼び出しをするなど、患者さんのプライバシーにも配慮しています。
不妊治療に関して、こちらでの診療以外にも活動をされているそうですね。
不妊の検査や治療に関することはまだまだ知られておらず「痛い」「すぐに高額な治療を勧められる」といった先入観を持たれがちです。特に最近は、不妊治療といえば体外受精がメインになっており、一般治療を行っているクリニックが少ないため、不妊治療はハードルが高いと感じている方も多いでしょう。皆さんに不妊治療について正しい知識を持ってもらいたい、保険適用の方法があることを知ってほしいという想いから、月に1回不妊教室を実施し、不妊治療はどのように行われているのか、どんな検査をするのか、費用はどのくらいかかるのかといったことを包み隠さずお話しするようにしています。その相談会や教室は無料ですので、不妊治療を受けようか悩んでいる方は、活用してみてはいかがでしょうか。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
不妊治療を検討される場合は、しっかり説明を聞いて、納得されてから治療を受けることをお勧めします。言われるがまま、医師の言っていることをきちんと理解しないまま高額な治療を受けて、後でびっくりということがないようにしていただきたい。それから患者さんには必ず伝えるのですが、妊娠するためには「夫婦仲良く」が前提です。子宝に恵まれたいと願うのであれば、日頃から夫婦のスキンシップを十分にとりましょう。それだけで自然妊娠される方もいらっしゃいます。当院では、保険が適用できる範囲内の治療で妊娠をめざし、それだけでは難しいときに、切り札として人工授精や体外受精などの不妊治療を行うようにしています。どうかご夫婦やお一人で悩まれずに、お気軽にご相談ください。
自由診療費用の目安
自由診療とは人工受精/1万6500円~、体外受精/22万円~、顕微授精/27万5000円~