田口 俊章 院長の独自取材記事
タグチIVFレディースクリニック
(鳥取市/鳥取駅)
最終更新日:2026/06/02
鳥取市覚寺にある「タグチIVFレディースクリニック」は、生殖医療を中心に、婦人科診療や妊娠初期のフォローまで幅広く対応する産婦人科クリニック。赤いれんが調の外観と、光が差し込む温かみのある院内は、リラックスして過ごせる空間づくりが印象的だ。胚培養室や専門スタッフによるチーム体制を整え、一人ひとりに寄り添った診療を行っている。思春期から更年期まで幅広い年代の患者が訪れ、地域に根差した医療を提供してきた同院。「お子さんを望まれるカップルに『できるだけ早く赤ちゃんを抱っこしてほしい』という一心で診療にあたっています」と語る田口俊章院長に、クリニックの特徴や力を入れている不妊治療について話を聞いた。
(取材日2026年4月28日)
幅広い診療で女性の一生に寄り添う産婦人科
まずは、院長が医師を志し、産婦人科を専門に選ばれた理由を教えてください。

一生できる仕事がいいなと思ったのがきっかけですね。年齢を重ねても、自分自身のスキルがあれば続けられる、いわば“生涯現役で取り組める仕事”がいいなと思い、高校3年生の時にいろいろ考えて「医師がいいのではないか」と考えたのです。産婦人科を選んだのは、できることの範囲が広いからでした。産科や婦人科だけでなく、外科や小児科、精神的な面も含めて総合的に関われる領域ですし、患者さんの層としても小学生くらいの患者さんから高齢の方まで幅広い年代の方を診ることができるので、そうした対応できる範囲の広さに魅力を感じてこの分野を選びました。
生殖医療に関心を持たれたきっかけは何だったのでしょうか?
大学院の時は胎児の心拍数について研究し、いわゆる周産期の領域を専門にしていました。その後、鳥取県立中央病院で臨床を中心に経験を積んでいたのですが、その頃ちょうど、日本で体外受精ができるようになるという、不妊治療において革新的な出来事が起きたのです。それまでも不妊治療自体は行っていましたが、まだまだ黎明期といえる時代で、新しい医療として本格的に取り組めるようになったことで強い関心を持ち、より力を入れて取り組むようになりました。鳥取県立中央病院での約18年の経験、分娩や不妊治療、婦人科診療の積み重ねが、今の診療の基盤になっていると思っています。
開業に至った背景には、どのような思いがあったのですか?

一つは勤務医としての限界を感じたことですね。不妊治療の場合、どうしても患者さんはお仕事が終わってから来られることが多いのですが、勤務医だと診療時間が限られてしまいますし、土曜日も対応できないことが多い。そういった面で、もっと柔軟に対応したいという思いがありました。また、自分としても、意欲を持っている領域を、しっかり突き詰めて取り組みたいという気持ちがありました。そこにはお産や不妊治療が入るのはもちろんですが、何より患者さんと話をすることが好きだったので、そうした時間が持てるような働き方がしたいという思いがありました。勤務医だと会議やさまざまな業務も多いので、そういったことではなく、患者さんとしっかり向き合う時間を大切にしたいという思いで開業を決めました。
対話を大切に、一人ひとりに向き合う診療
クリニックの特徴を教えてください。

産婦人科として、思春期から更年期までの婦人科診療や、妊娠初期のフォローなど幅広く対応していますが、その中でも特に力を入れているのが不妊治療です。いわゆる不妊治療のクリニックという位置づけになります。一番強い思いとしてあるのは、不妊症で悩んでいる方に、できるだけ早く赤ちゃんを抱っこしてほしいということ。そのために、なるべく早く原因を見つけて、どうしたらいいかを一緒に考えていくことを大切にしています。妊娠された方については、赤ちゃんが大丈夫だろうと確認できる安定期までしっかりフォローをさせていただきます。それ以外にも、幅広い年代の方が来院されるため、女性の一生に関わってサポートしていくクリニックだと思っています。
不妊治療では、どのようなことを大切にされていますか?
患者さんによって考え方やニーズは本当にさまざまで、「できるだけ早く進めたい」という方も、反対に「ゆっくり進めたい」という方もいらっしゃいます。そのため、こちらから押しつけるのではなく、その方の気持ちをしっかり聞いて、それに沿って治療を考えていくようにしています。だからこそ、できるだけ患者さんの顔を見てしっかり話をすることを大切にしていて、診察室にもパソコンは置いていません。男性の方も一緒に来られることが多いため、ご夫婦それぞれのお話を聞きながら、その背景や状況を理解していくことが大事だと思っています。コミュニケーションを重ねながら一緒に進めていくことが基本ですね。
検査・治療・相談体制について、特徴を教えてください。

検査については、女性だけでなく男性も含めて、必要なものはほとんど院内で対応できる体制を整えています。治療もタイミング法から人工授精、体外受精まで一通り行っております。培養室も備え、設備面も整えており、採卵や培養、胚移植、凍結融解胚移植まで院内で完結できるのが特徴です。スタッフには、培養士や管理栄養士、カウンセラーなどが在籍しており、事務スタッフも含め全員が「不妊コンサルタント」として不妊に関する悩みに対応しています。そのため、費用や制度の説明も含めた包括的なサポートが可能です。一組一組の患者さんについてミーティングを行い、いろいろな立場から意見を出し合って方針を考えていくようにしていますし、最初はカウンセラーによる相談から始めることもできますので、気軽にお越しいただければと思います。
チームと環境で安心を支える体制を
婦人科診療では、どのような相談に対応されていますか?

本当に幅広い年代の方が来られていまして、小学生くらいの方から高齢の方まで診ています。思春期であれば月経不順が多いですし、更年期のご相談も最近は増えていますね。そのほかにも月経困難症や月経前症候群、がん検診、ピルの処方や避妊の相談など、婦人科全般に対応していますので、気になることがあれば気軽にご相談いただきたいです。例えば、更年期の治療では、ホルモン補充療法に対して不安を持たれている方も多いのですが、現在は天然型のホルモンが使われるようになり以前より使いやすくなっています。更年期によるホルモンバランスの変化から、骨密度の低下による骨折といったリスクも出てくるため、将来の健康リスクを減らすという意味でも、放置せずに治療を受けていただきたいと思っています。また、私は漢方も専門としていますので、漢方といった東洋医学や鍼灸の考え方も参考にしながら、その方に何が合うのかを探していくようにしています。
院内の空間や雰囲気づくりで大切にしていることはありますか?
まず、できるだけ温かみを感じられる空間をめざしました。木やクリーム色を基調にした内装にして、緊張を与えないような雰囲気にしていますし、光をしっかり取り入れて明るい空間にしているのも特徴です。暗いイメージは避けたいという思いがありますね。また、動線にもこだわっていて、患者さんにとっても私たちにとっても動きやすい設計にしています。院内の雰囲気づくりに関しては、スタッフたちに大きく貢献してもらっています。チームワークが良いと思いますね。カウンセラーが患者さんから聞いたことを共有してくれたり、それぞれが情報を持ち寄ってくれたりして、自然と連携が取れている体制です。長く勤めてくれているスタッフも多く、皆で患者さんを支えていくという雰囲気があると思います。
最後に、今後の展望と、読者へのメッセージをお願いします。

今後については「プレコンセプションケア」、つまり将来の妊娠に備えて若い時期から健康状態を整えたり、正しい知識を持ってもらうための取り組みを広げていけたらと思っています。機会があれば、講演などを通して啓蒙していきたいですね。メッセージとしては、子どもを望まれる方は、できるだけ早く一度お越しいただきたいということです。原因があるかどうかにかかわらず、一度調べてみることは決して無駄ではありませんし、早い時期のほうが選択肢も広がります。ご夫婦でのご来院はもちろん、まずはご相談からでも構いませんので、気軽に足を運んでいただけたらと思います。

