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菊池 守 病院長の独自取材記事

下北沢病院

(世田谷区/下北沢駅)

最終更新日:2019/08/28

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活気あふれる町・下北沢にある「下北沢病院」が足の傷と糖尿病の専門病院としてリニューアル。地域のそして社会のニーズに応える形で新たなスタートを切った。「足から健康を支えていく」をテーマに整形外科、形成外科、血管外科、循環器内科、糖尿病内科の医師に加え、理学療法士や薬剤師、栄養士など他職種によるチーム医療で足のトラブルすべてに対応していく。院長の菊池守先生は形成外科の医師としてこれまで数多くの足の傷の治療を行ってきた。その経験と整形外科的な知識の融合によって、足の傷の原因を究明し根本的な解決に尽力している。話し上手で穏やかな笑顔が印象的な菊池先生に、病院のコンセプトや診療内容についてのほか、将来の展望についてまでたっぷりと語ってもらった。(取材日2016年8月8日)

足のトラブルにチーム医療で対応する「足の総合病院」

下北沢病院が「足の総合病院」として生まれ変わるきっかけは何でしたか?

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これまで、傷があれば形成外科、足が冷たいときには整形外科や心臓血管外科、糖尿病の方は糖尿病内科といったように、さまざまな科を受診していただいていました。アメリカにはすでに医学部、歯学部のほかに「足学部」が独立して存在し、医師、歯科医師と同じように足病医がいます。彼らは足のトラブルを専門的に診療し手術をすることや症状に応じて専門の診療科に振り分けていきます。これを日本で展開すれば日本でも良い足の医療を提供できるのではないかというコンセプトで、このプロジェクトが立ち上がりました。現在は私が専門とする形成外科をはじめ、整形外科、血管外科、糖尿病内科、循環器内科の医師によるチームで、専門の治療を完結できることをめざしています。

診療における特徴を教えてください。

一番の特徴は科ごとではなく「足病総合部門」として外来を行っていることです。各科の医師が足について知識を共有し、科にとらわれることなく診療し、さらなる専門知識を要するときにはそれぞれの科に振り分けていきます。中には診療中に次から次へとドクターがやって来るのでびっくりされる患者さんもいらっしゃいます。また、足は骨や筋肉の動き、姿勢やバランスもとても大切なので、診察には必ず理学療法士が立ち会い、機能面にどんな問題があって、どんなストレッチが有効か、患者さん自身でどのようにリハビリテーションに取り組めばよいかなど理学療法士による評価とリハビリ指導を行っています。彼らの専門知識を生かしたドクターとは違った視点は欠かすことができないものとなっています。

力を入れている治療法などはありますか?

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当院は手術ができる外科病院なので入院と手術をメインに行っていきますが、手術には至らない運動的機能から関節の硬さまでオールラウンドに診ていきたいと考えています。整形外科の中にも足の外科という領域がありますが、こちらはやはり整形外科的な手術がメインとなり、血行再建や皮膚、陥入爪については専門ではありません。そうしたこれまで手薄になってしまっていた部分も含め、全部を一度に見ることのできる病院は国内では数少ないので、そういったところに力を入れていきたいと思います。

患者と家族の理解のもと、重症になる手前の予防を

今、足に注目が集まってきているのには何か理由があるのでしょうか?

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例えば足の血管の狭窄や閉塞によって足の末梢からの壊疽(えそ)や閉塞性動脈硬化症が起こると、これまでは切断を余儀なくされていました。しかしそうするとそのための入院、手術、治療後のリハビリ、介護サービスなどが必要になり、余分に医療費がかかってきます。そこで重症化になる手前で止めることの必要性が重視されるようになり、糖尿病患者さんの重症化予防として月に一度専門の看護師がケアすることや透析患者さんの重症化予防も保険適用となりました。足の重症化予防の必要性が認識されたことで、これまでの整形外科の領域とは別の足の問題が注目されるようになったのだと考えられます。

先生のご専門や積極的に取り組まれている分野を教えてください。

形成外科の医師として、これまでは足の傷や痛みやしびれを診る機会が多かったのですが、足の傷は足が心臓から遠いため血行が悪くなりやすく、それが原因で治りが悪いことが問題でした。そこで専門の先生と協力して心臓のようにバイパス手術やカテーテルによって傷を治すことをテーマにしてきましたが、今、問題になっているのは歩行することですぐに傷が再発してしまうこと。これは当たり前なのですが、歩くということは傷を擦りつけているのと同じことです。そこで、整形外科の先生、義肢装具士とともにインソールや靴、手術までを治療の選択肢に入れ、足趾の変形や骨の突出などの変形がある足そのものを歩行のストレスから守り、治すことを積極的に取り組んでいます。どうして傷が治りにくいかという問題から変形を治すことで足の傷を治すという発想が生まれ、傷の再発を防止するための専門治療に取り組んでいます。

診療やスタッフとの関わりの中で大切にされていることはありますか?

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専門用語はできるだけ使わずに、いかに理解していただくかを重視しています。また、チーム医療には患者さんとそのご家族の協力も欠かせません。いくら僕らが頑張って治療をしても、家でインソールを履いてもらえなければどうしようもないですからね。患者さんと家族を巻き込んで治療の必要性を理解していただくのが一番大切だと思います。特に糖尿病は今の生活が病につながっていて、それを変えていくことが重要だということを理解していただかないと難しく、安静、インソール、ストレッチを守っていただくために模型や資料を使っての説明や、医師だけではなく看護師も理学療法士も共通したことを毎回伝えていくようにしています。また、院長としては、スタッフのモチベーションを維持するためにも、相手の話を聞くことを心がけ、今後に役立てていきたいと考えています。

知識を共有し日本の足病学のモデルケースとなるように

医師をめざしたきっかけは何でしたか?

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僕の小さい頃は、アンドロイドや二足歩行ロボットの開発が全盛期でした。例えば、卵を落とさないように摩擦を計算しながら持ち上げるのはとても難しい作業だということを雑誌で読んで、「ロボットってすごい、人間ってすごい」と思うわけです。そこから工学やロボット、医学に興味を持つようになり、人間の機能により強く関心を持ったことで医学部に進学しました。形成外科に進んでからはたくさんの手術をしてきましたが、診断学がないことに疑問を感じていました。でも、足の傷にはこの傷はなぜ治らないのか、原因は何なのかという診断学があり、それがきっかけで足の傷に取り組むようになりました。アメリカに留学した際には足病医と出会い、傷だけではなく原因を治さないと治らないということにたどり着き現在に至ります。

今後の病院の展望についてお話しください。

手術ができるのが当院の強みの一つなので、それを重点的にやっていきたいと考えています。下肢救済においては糖尿病内科部門の充実はもちろんのこと、透析用のベッドを3台用意し、透析患者さんや糖尿病患者さんの足に関しての治療に取り組んでいく予定です。僕個人としては整形外科の医師レベルまで足の診療ができるようになりたいですね。足の機能面について整形外科の先生に教えていただき、足の診断学をきちんと診られる医師になれればうれしいです。アメリカの足病学はアメリカ人の足に基づいているため、われわれは日本人の足のための学問をつくらなければいけません。足を臓器としてみる学問は日本にはまだないので、それをつくっていくことが将来の目標。われわれ自身が知識を共有して日本の足病医になることで、日本の足病学のモデルケースになれたらいいと思います。

最後に読者へのメッセージをお願いします。

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足の痛みにお困りになったらぜひご相談ください。痛み、しびれ、糖尿病や腎臓病、合併症、足自身に問題があるなど、足で困っていることを何でも診るのが当院の役割です。特に最近多いのが高齢になってから運動を始めたことで痛みが出てくるというご相談です。健康になるために運動をするのに止めてしまってはもったいないので、そうしたこともカバーしています。当院のテーマは「足から健康を支えていく」です。健康のために足を守る、足を守ることで健康になっていく。そして足だけではなく全身につながっていく。全身の健康のために足を診てもらおうという考えを多くの方に持っていただけたらと思います。

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