戸松 章 院長の独自取材記事
とまつレディースクリニック
(可児市/可児駅)
最終更新日:2025/12/04
1998年開業以来、27年にわたって妊産婦や地域の女性を多方面に支えてきた「とまつレディースクリニック」。戸松章院長は「優しく・明るく・快適なクリニック」をキャッチコピーに、日々の診療にあたっている。先進の設備や制度などを取り入れ安全性に配慮している。また、待ち時間対策として無料のハンドマッサージを行うなど、患者に快適に過ごしてほしいとさまざまな工夫を凝らしている。「総合病院との連携も大切にしています」と戸松院長。インタビューでは、診察で心がけていることや、もっと多くの人に知ってほしいこと、婦人科診療で用いる低用量ピルや、子宮頸がんワクチンについてたっぷりと語ってもらった。
(取材日2020年7月17日/情報更新日2025年8月4日)
幅広い年齢層が婦人科をメインに来院
開業されて27年とのことですが、現在はどのような患者さんが多いのでしょうか?

婦人科の患者さんが多いですね。婦人科一般外来として、月経不順、子宮がん検診、不妊症、性感染症、更年期障害、緊急避妊の相談など、さまざまな方がおみえになり、幅広い年代の患者さんが来院されています。最近は生理痛に悩む子宮内膜症の患者さんが増えています。当院の診療は基本的に予約制なのですが、急な出血などでおみえになる患者さんもいらっしゃるので、その場合は臨機応変に対応しています。最近は高齢出産の妊婦さんも多いので、慎重に健診し、何らかのリスクがある場合は早めに総合病院に紹介する体制を取っています。
この地に開業をしたきっかけを教えてください。
父が一宮市で産婦人科を開業していたので、同じ一宮市で開業をするか、妻の実家の近くで開業するか……など、いろいろと候補を挙げて考えていたところに、これから発展する場所ということでこの地を紹介されました。妻の実家が近いこともあり、ぜひこの場所で出産や女性の心と体のサポートがしたいと、この地で開業を決意しました。当時は田園風景が広がっていて、夜になるとカエルの大合唱が聞こえるほどで、まさか目の前にマンションが3つも建つなんて、当時は考えられないことでした。その頃と比較すると人口も増えたと思います。「これから発展する」というのは間違っていなかったですね。
医師をめざしたきっかけから現在に至るまでを教えてください。

父の影響で子どもの頃から医師になりたいと思っていました。ですが、私が11歳の時に父が他界してしまい、母は私を1人で育てながら、医師になるためのサポートをしてくれました。母にはとても感謝しています。専門を選ぶ時は、産婦人科と整形外科で迷いました。高齢化社会に向けて整形外科は必要とされる科だと思っていたのですが、当時の産婦人科教授が私の父を知っていたことや、先輩から誘われたことが後押しとなり、産婦人科を選ぶことに決めました。非常にやりがいがある仕事で、今は本当に産婦人科医師で良かったと思っています。また、当院の経理部長をしている妻の支えや、スタッフの協力のおかげで今日までのクリニックを築くことができ、感謝しています。
優しく・明るく・快適なクリニックとして地域に貢献を
患者さんと接する上で心がけていることはありますか?

開業当初から「優しく・明るく・快適なクリニック」をキャッチコピーにしています。アットホームな温かい雰囲気で患者さんをお迎えし、患者さんの立場に立った診療を心がけています。スタッフには5つの気「元気・根気・やる気・本気・勇気」が大切だと伝えています。不安な気持ちを抱えていらっしゃる患者さんに安心して受診していただくために、スタッフのサポートは欠かせません。また最近は、お母さまに連れられて受診する10代の患者さんが増えています。10代の患者さんには、いきなり内診をするのではなく、最初は問診と腹部超音波画像診断のみで診察することが多いです。もし内診が必要とされる場合であっても、内診をするかどうかは、ご本人はもちろんお母さまの承諾も取ってじっくりと進めていきます。年齢に関わらず、初めて婦人科にかかる方への配慮はとても大切だと考えています。
婦人科では月経にまつわるお悩みで来られる方も多いそうですが、症状や治療法について伺います。
月経に関するお悩みで多いものの一つが「月経困難症」で、その治療に用いられる代表的な薬が低用量ピルです。もともとは避妊を目的に開発された薬ですが、生理痛の軽減にも有用で、現在では月経困難症の治療薬としても広く処方されています。低用量ピルは、卵胞刺激ホルモンと黄体化ホルモンの分泌を抑えることで排卵を抑制し、同時に子宮内膜の増殖も抑えるため、それによって月経時の出血量が減り、生理痛が軽くなることや、生活の質の向上につながることが期待できます。しかし一方で、「なんとなく怖い」といった不安を抱く方も、一定数いらっしゃいます。
ホルモン剤のピルが「怖い」というイメージはどういった理由なのでしょう。

副作用の心配をされる方が多いですね。確かに、飲み始めの時期には腹痛や頭痛、吐き気などの副作用が出ることがまれにありますし、血栓症のリスクがわずかではありますが、高まるという報告もあります。35歳以上の喫煙者、肥満体質、高血圧などの方は注意が必要です。しかし、医師の診察と検査を受けた上で、適切に服用すれば、低用量ピルは決して怖い薬ではありません。副作用のリスクを最小限に抑えるためにも、自己判断ではなく、医師の指導のもとで使用することが大切です。最近では、日本でも低用量ピルの一種であるミニピルが処方可能になりました。特徴として、従来のピルと比べて血栓症のリスクが低いとされています。
リラックスして受診できる環境を大切に
スタッフ体制が充実していますが、患者さんにとってどのようなメリットにつながっていますか?

患者さんへのフォローやサポートがしっかり行き届いていると思います。おなかが痛いなど、ちょっとでも不安なことがあれば、すぐに助産師や看護師に相談できる環境を整えています。また当院では、待ち時間には、外来待合室にてエステティシャンによるハンドマッサージを無料で受けていただくこともできます。産後ケアも行っていますので、ぜひお母さま方にはご利用いただきたいですね。ほかにも開業当初から患者さん目線でいろいろなアイデアを実践してきましたが、これからも患者さんが安心できて、かつ快適に過ごせるクリニックづくりにスタッフ皆で取り組んでいきたいです。
今後の展望を教えてください。
最近は子宮内膜症の患者さんが増加傾向にあるので今後力を入れていきたいと思っています。また、地域性だとは思いますが、ブラジルやフィリピンなど外国の方が診療にいらっしゃることも多いです。通訳の方に単語だけでも教わったりしながら、少しでもコミュニケーションが取れるよう、安心していただけるようにしたいと思っています。また、スタッフとは話し合いの場を大切にし、情報の共有はもちろん、お互い気を引き締め合い、常に初心を忘れることがないよう心がけています。女性の心と体に寄り添い、「優しく、明るく、快適なクリニック」をモットーに、心のこもった医療で今後も地域に貢献していきたいと思っています。
読者へのメッセージをお願いします。

婦人科は敷居が高いと思われている方が多いですが、そんなことはありません。リラックスして受診できるように、スタッフ一同アットホームな雰囲気で患者さんをお迎えしていますので、不正出血など気になる点があれば早めに受診してください。内診を行う場合は、お洋服などに気をつけていただくとより安心だと思います。あと、子宮頸がん検診は、気になる症状がなくても1年に1回くらいのペースで検診を受けることをお勧めします。この病気は初期に自覚症状がほとんどないため、定期検診が早期発見の重要な鍵となります。また、当院では子宮頸がんワクチンも推奨しています。どんな薬でもごくわずかな割合で副作用が生じることはあり得ます。ですが、日本では毎年子宮頸がんで多くの方が亡くなっているという現実があり、私はがんの発症リスクを減らすことが大切だと考えています。何か心配事があれば安心して来院していただければと思います。
自由診療費用の目安
自由診療とは子宮頸がんワクチン 9価 / 2万8000円
※小学6年生~高校1年生までは自己負担なし

