河口 治彦 院長の独自取材記事
かわぐちクリニック
(名古屋市瑞穂区/総合リハビリセンター駅)
最終更新日:2021/10/12
輸入住宅のような雰囲気のドクタービレッジ内にある「かわぐちクリニック」。開院当時は明るい色を使う医院が少なかった中、全体的に明るい色合いにこだわったという河口治彦院長。窓際には河口院長の妻が作った豪華なプリザーブドフラワーなどが並び華やかな雰囲気だ。同院は朝8時から診察を行っているのが特徴で、患者が出勤や通学前に寄れるよう配慮している。やわらかい表情で話し、親しみやすさも感じられる河口院長の専門は呼吸器科。喘息や結核、肺気腫などの気をつけたい症状や、開院までの経緯、今後の展望などについて話を聞いた。
(取材日2016年8月4日)
長く続く咳など気になる症状があれば早めに受診を
開院までのご経歴について教えていただけますか?
医師が身内にいたわけではありませんが、中学生の時に祖母が寝たきりになり、母が在宅で看病していました。その大変さを見て医師になろうと思いました。内科を選んだのは、広く全身の疾患を診るベースとなるからです。1987年に名古屋市立大学医学部を卒業後、同大学病院で研修を行いました。そこでどの病気でも、肺炎や呼吸不全などの呼吸器疾患、合併症を起こす可能性があることから、呼吸器科に興味を持ちました。1989年からは名古屋第二赤十字病院に呼吸器科の医師として勤務し、救急の当直では、さまざまな科の先生方と相談しながら治療にあたりました。救急では、まずどの病気なのかの正確な診断が大切で、現在の診察の基礎的な部分は、当時の経験が大きいと思います。1992年からは名古屋市立大学病院に戻り、呼吸器科で肺がんの化学療法に携わったり、免疫力についての論文執筆を行ったりしました。そして2001年に開院しました。
開院のきっかけやこのあたりのエリアの特徴について教えてください。
開業しようと思ったのは、臨床や医学部生の指導、そして研究や学会など多くを経験した中で、一番臨床に向いていて、現場で患者さんを診ることに力を入れていきたいと考えたからです。研究や教育も行う大学病院に比べて、開業すると臨床のみに集中できますので、多くの患者さんを診察することができるようになります。開業したこの場所は、在籍していた名古屋市立大学病院や名古屋第二赤十字病院にも近く、連携が行いやすいことから選びました。またドクタービレッジということで、ほかの科の医院も集まっているため、患者さんのご紹介はもちろん、治療について先生方に相談をさせていただくこともあります。このあたりのエリアは、高齢化が進み一人暮らしのご高齢の方も多いと聞いています。患者さんは、ご高齢の方とお子さんが中心ですね。呼吸器疾患の患者さんがメインでしたが、そのご家族の方も来ていただくことも増え、内科として広く診察を行っています。
最近増えている症状や、気をつけておきたい症状などはありますか?
全体的には呼吸器疾患の患者さんが多いです。熱もなく元気なのに、3ヵ月以上続く咳は要注意。一般的には喘息や、がんなどが隠れている場合もあります。特に50歳以上の方は、注意が必要。症状が咳だけの場合だと、検査をしてもはっきり原因が見つからないこともあり、その見極めはとても重要です。呼吸器疾患は聴診所見が大切なので、呼吸器の経験を積んだ医師による診察をお勧めします。また海外へ行かれる方が増えるのに伴って、結核にかかる人も増えています。結核は治療をすれば治りますが、治療をしなれば人に感染してしまいます。さらに喫煙習慣のある方や、高齢者に多い肺気腫にも気をつけていただきたいですね。早く治療をすれば、進行を遅らせることも可能です。進行してしまうと、在宅酸素療法などが必要になる場合もあります。自覚症状としては咳や呼吸困難、息切れなどです。気になる症状があれば、早めに診察を受けていただきたいですね。
積極的な病診連携で、より良い医療を提供
クリニックの特徴について教えてください。
基幹病院や、近隣の医院との連携が取れていることです。やはり私一人では、限界がありますので、他院との連携は重視しています。ほかに在宅医療で酸素療法を行っていること、花粉症に対する舌下免疫療法を行っていることも特徴だと思います。また朝8時から診察をしているため、出社前のビジネスパーソンの方なども来られます。そのことからも、どちらかというと夕方よりも朝の時間帯のほうが混雑傾向にありますね。
診察にあたってどのようなことを心がけていらっしゃいますか?
患者さんのお話をしっかりと聞くことです。特にご高齢の患者さんの場合、同居されているご家族の方からもお話をお聞きすることもあります。お子さんの場合は、重大な疾患の見落としがないように注意を払っています。小学高学年未満のお子さんは、まだコミュニケーションがうまく取れないこともあるので、保護者の方とお話しをして、「こういう疾患と考えられますが、こんな可能性もあります」などと説明するようにしていますね。何か疑わしい症状があるときは、基幹病院をご紹介しています。また私の専門でもある小児喘息については薬で治療を行いますが、慢性疾患のため長く飲み続けなければなりません。勝手に判断して薬を飲まなくなると症状が悪化することもあり、だからこそ、親御さんの理解を得ることが大切です。喘息治療のほとんどは、親御さんへの説明といえるぐらい注力しています。
在宅医療についてもお聞かせください。
ちょうど開院した15年前ぐらいは、在宅医療が一般的になりはじめた頃でしたね。在宅の酸素療法は開院当初から行っています。現在当院で在宅医療を行っているのは瑞穂区の患者さんです。通院が困難になった患者さんからのご要望で始めました。どうしても24時間対応は難しいため、何かあれば基幹病院との連携により対応しています。
在宅医療ではどのようなことを大切にされていますか?
外来では患者さんとの意思疎通を大切にし、在宅医療では患者さんだけでなく、ご家族とのコミュニケーションも大切にしています。患者さんによって、最期は自宅で看取ってほしいとか、最期は大きな病院に入りたいなどさまざまな要望がありますが、患者さん自身にも、ご家族にも在宅医療は負担がかかる面があります。ご高齢の患者さんで、その娘さんや息子さんもご高齢の場合は特に大変な面があり、もうこれ以上のことはできない、ということも出てきます。医師は私1人ですので、今後も可能な範囲で在宅医療を行っていきたいです。
地域に根差した医療で老若男女の健康をサポート
日頃からスタッフの方にはどのようなことを伝えられていますか?
現在、看護師が5人、事務は6人のスタッフが在籍しています。スタッフには、患者さんの立場で考えて行動することの大切さや、患者さんの痛みがわかるような接し方をしてほしいということを伝えています。病院ですから、健康な方が来られるわけではなく、皆さん体調が悪い中で来られていますので、細やかな配慮が大切だと考えています。
院長の休日の過ごし方など、プライベートについてお聞かせいただけますか?
ゴルフが趣味で、だいたい週1回はラウンドしています。妻と行くこともありますが、友人と行くことが多いですね。また妻も含めて、家族ぐるみで仲良くしていただいているご家族の方たちと集まることも多いです。職業もまったく違う方々ですが、ごはんを食べに行ったり、誕生日会をしたり、キャンプに行くこともありますね。子どもは1男1女おりますが、どちらも医師をめざしているところです。まだわかりませんが、もし医師になれば、自分の持っている知識なども教えていきたいですね。
最後に今後の展望について教えてください。
15年この場所でやってきましたが、これからも地域に根差した医療を実践していきたいです。老若男女問わず、お気軽にお越しいただき、どんなことでもご相談いただければと思っております。呼吸器科を中心に幅広く診察しておりますので、それぞれの症状について、適切に診断をし、必要があれば近隣の大学病院などにご紹介させていただきます。やはり自分一人ではすべて治療できませんので、提携の医院と密にコミュニケーションを取りながら診療していきたいと思っています。