全国のドクター9,096人の想いを取材
クリニック・病院 158,815件の情報を掲載(2024年3月28日現在)

  1. TOP
  2. 東京都
  3. 世田谷区
  4. 下北沢駅
  5. 美都デンタルクリニック
  6. 早坂 美都 院長

早坂 美都 院長の独自取材記事

美都デンタルクリニック

(世田谷区/下北沢駅)

最終更新日:2021/10/12

早坂美都院長 美都デンタルクリニック main

京王井の頭線下北沢駅西口からすぐの場所にある「美都デンタルクリニック」。優しい笑顔が印象的な早坂美都院長は、患者との会話を何より大切にしており、歯科嫌いの患者に対しては「なぜ嫌いなのか」をじっくりと聞いた上で、克服できるような治療に努めているという。虫歯・歯周病予防にも力を入れ、患者一人ひとりの状態に合わせた歯磨きのアドバイスを実施。また開院当初から一般の待合室とは別にキッズルームを設けるなど、母親に優しい歯科医院づくりにも取り組んできた。最近は全身疾患を踏まえた口腔ケアにも注力しているという。「地域に根差し、患者さんと二人三脚で歯科治療を頑張っていきたい」と語る早坂院長に、いろいろな話を聞いた。

(取材日2011年7月19日/再取材日2017年9月22日)

患者の話を丁寧に聞いて、できる限り力になる

歯科医師をめざされたきっかけをお聞かせください。

早坂美都院長 美都デンタルクリニック1

子どもの頃、歯並びが悪かったことがコンプレックスでした。当時は今ほど歯のケアに力を入れていなかった時代でしたから、虫歯も多かったですね。私のように歯並びや虫歯を気にしている方の悩みを解消する手助けをしたいと思ったのが、歯科医師をめざした理由です。実家が宮城県多賀城市でしたので、そこから通える東北大学歯学部に入学しました。実際に矯正治療したのは大学に入った後ですが、それによってコンプレックスが解消できたことも大きかったですね。

治療の中で心がけていることはありますか?

口の中の状態について、一人ひとりに丁寧に説明するようにしています。ご自身では見えない部分なので、どうなっているのか不安に思われる方も少なくありません。ですから、実際の口の中の様子をモニター画面で見ていただき、なるべく簡単な言葉で説明するようにしています。その上で患者さんの希望を引き出せるように、じっくりと話を伺います。患者さんが歯科治療に求めているレベルは千差万別。痛みをすぐになんとかしてほしい方から、時間はかかっても悪い所を全部治したいという方までさまざまです。そういった患者さんの希望を丁寧に聞いた上で、できる限り力になりたいと思っています。

予防に力を入れているとお聞きしました。

早坂美都院長 美都デンタルクリニック2

「予防」の重要性については、開院当初から折にふれて声をかけてきました。理解してもらうまで苦労はしましたが、現在はほとんどの患者さんが定期的なメンテナンスに通ってくれています。「歯垢は歯周病菌の塊で、台所のシンクのぬるぬると同じようなもの。それが固まって取れなくなってしまったのが歯石です」「虫歯や歯周病になってからの治療費よりも、こまめなメンテナンスの治療費のほうが安上がりです」といったことを、丁寧にお話ししてきたことが功を奏したのだと思います。初診の段階からこのようなお話をすると引かれてしまうことも多いので、話すタイミングを見計らうことも大事ですね。歯の健康を保つことで糖尿病の改善につながるなど、全身疾患との関わりも明らかになっているので、生活習慣病の予防のためにも、今後も予防の大切さを呼びかけていきます。

ちょっとした歯磨きの仕方で口腔内環境は劇的に変わる

生活習慣病と口の中の健康は関係しているのですか?

早坂美都院長 美都デンタルクリニック3

はい。口の中には歯周病菌や虫歯の原因となるミュータンス菌といった、たくさんの細菌がいるんですが、これらが血液の流れに乗って全身に回ると、さまざまな病気の原因となったり、生活習慣病を悪化させたりしてしまうんです。最悪、それが原因で心内膜炎や粥状動脈瘤といった危険な病気を発症することもあります。また全身麻酔が必要な手術を受ける方も、口腔内の環境には注意しなければいけません。全身麻酔のために気管へ挿管したチューブから口の中の細菌が肺へ入ってしまって、合併症を引き起こすといった危険があるからです。このように口の中の健康は、全身の健康とつながっているんです。

では、予防の上で大切なことをお聞かせください。

やはり毎日の歯磨きですね。そのため歯科検診では、歯磨きの指導も丁寧にさせていただいています。歯磨きをきちんとされている方でも、どうしても磨き切れない部分は出てしまうんです。例えば、利き手側は磨きづらいため、虫歯になりやすいんですね。そうした苦手な部分を見つけ、それに合った磨き方をアドバイスしています。ちょっとしたヒントをお伝えするだけで、磨き方は劇的に変わります。すると、見る見るうちに歯茎がきれいになって、汚れの付き方も違ってきます。口の中に関心を持つことは、自分の体に関心を持つこと。歯のことをきっかけに、ご自身の体に気を配っていただけるようになるとうれしいですね。

歯医者が苦手な方にも気を配っていらっしゃいますね。

早坂美都院長 美都デンタルクリニック4

「歯医者嫌いな方」とひとくくりにして同じように対応するのは危険だと考えています。実際にお話を聞いてみると、嫌いになられた理由はさまざまです。原因がわからないとうまく対処できないので、苦手になった理由をじっくり伺います。その際、患者さんそれぞれが抱えている事情を理解するように気をつけています。例えば歯磨きがうまくできていない方に、その事実だけ指摘しても意味はないと思うんです。どうしてできないのかをよく聞いて、その方ができるようにアドバイスしないと。また、治療に伴う痛みは極力なくすように心がけています。歯医者嫌いな方は、「できれば来たくない」というマイナスの気持ちでいらっしゃることが多いんですが、当院から帰るときには悪くてもゼロ、できれば「来て良かった」というプラスの気持ちでお帰りいただきたいですね。

患者と二人三脚で地域に根差した歯科治療を

印象に残っている患者さんはいらっしゃいますか?

早坂美都院長 美都デンタルクリニック5

ある時、口の中が腫れてしまったという高齢の方がいらっしゃいました。いろいろと手を打っても原因がわからず、症状も良くならなかったそうです。診察させていただいたところ、菌によって引き起こされる口腔カンジタ症だとピンときました。早速大学病院を紹介しましたところ、10日くらいですっかり良くなったそうです。患者さんには「何ヵ月たっても治らなかったのに、先生のおかげですぐ良くなりました」と、とても喜んでいただけました。

それはお互いにうれしかったでしょうね。

的確な診断で治療の道しるべをつくることも一次診療の大切な役目だと実感した出来事でした。もう一人印象に残っている患者さんは、当時2歳のお子さんです。自転車のサドルが外れてむき出しになった金属の筒の部分に口から突っ込んでしまい、上顎部分にぱっくり穴が開いてしまったんです。取り急ぎ、私が応急処置として傷口を縫合しましたが、処置している間も脳への影響や後遺症がとても心配でした。ですが、搬送された大学病院の検査で脳にはまったく問題ないことが確認されて安心しました。そのお子さんは元気に大きくなりました。健やかに成長した姿を見ると、感慨深いものがありますね。

先生ご自身が健康のためにしていることや、趣味などがあれば教えてください。

早坂美都院長 美都デンタルクリニック6

歯科医師になってから体調を崩して仕事を休んだことがないのが自慢ですが、食事を玄米と野菜、魚中心にしているくらいで、取り立てて健康に気を配っているわけではありません。運動も自転車で通勤していることくらいです。趣味は歌舞伎とオペラの観劇が好きなのと、休日には美術館や博物館に出かけることもあります。あと、私は日本酒の利き酒師やワインソムリエ、ビアアドバイザーなどの資格を持っていて、理事を務める東京歯科保険医協会が会員向けに発行している新聞に、お酒についてのコラムなどを寄稿しています。歯と全身の関係性について医師や一般の方向けに講演を行うこともあるんですよ。

では最後に、今後の目標を教えてください。

私は「普通の歯医者さん」として、ごく当たり前の治療をしっかりとしていきたいですね。そして、歯を入り口として、地域の皆さんの健康を守っていければと思っています。歯を磨いてきれいにするということは、死ぬまで自分の歯で食べられるということ。食べることは生きる楽しみでもあります。歯が丈夫でなければ食事もおいしくないですし、食事がおいしくなければ生活も楽しくありませんよね。歯の治療と予防を通じて、今後も皆さんの生活を豊かにするお手伝いをしていきたいです。歯科医師になってから長い年月がたちましたが、私はいつも患者さんに支えられ、教えてもらうことで、歯科医師を続けてこられたのだと思っています。これからも患者さんと二人三脚で頑張っていきたいですね。

Access