黒﨑 雅典 院長の独自取材記事
くろさきこどもクリニック
(宇都宮市/東武宇都宮駅)
最終更新日:2026/10/15
宇都宮市駒生にある「くろさきこどもクリニック」は、1999年の開院以来、地域の小児医療を支えてきた。2026年4月、父である前院長から引き継いで院長に就任したのが黒﨑雅典先生。自治医科大学附属病院の小児科で腎臓疾患を中心に長く研鑽を積んだ日本腎臓学会腎臓専門医だ。現在は一般小児科診療に加え、アレルギーやおねしょの相談にも幅広く対応する。明るい色調の院内には水槽やキッズスペースが設けられ、子どもたちが落ち着いて過ごせる空間が広がる。穏やかな雰囲気の黒﨑院長が「お子さんが元気に育っていってくれたらうれしいです」と語る姿からは、歴史ある同院をさらに発展させたいという思いがにじむ。継承の経緯から日々の診療、分院開設の構想まで話を聞いた。
(取材日2026年9月9日)
腎臓専門医として研鑽を積み、父の小児科を受け継ぐ
まずは、院長に就任された経緯をお聞かせください。

当院は1999年に父が開院した小児科クリニックで、今年の4月に私が引き継ぎ、院長に就任しました。大学病院の小児科で経験を積みながら、父が現役のうちにスムーズにクリニックを引き継げたらという思いを以前から持っていました。一方で、十分な経験を積んでから地域医療に貢献したいという気持ちもありましたので、その両方のバランスを考え、このタイミングでの継承を決めました。建物やスタッフ体制は父の代からそのまま受け継いでいます。27年の歴史の中で地域の皆さんと築いてきた信頼関係を大切にしながら、培ってきた専門性も加えて、さらに良いクリニックへと発展させていきたいと考えています。
小児科を志し、腎臓を専門にされた理由を教えてください。
父が小児科医だったことも大きいのですが、臨床研修でさまざまな科を回る中で、将来のあるお子さんを相手にしていきたいという思いが強くなり、小児科を選びました。山梨大学を卒業後、自治医科大学の小児科に入局し、そこで出会った指導医の先生方に恵まれたことが腎臓を専門にするきっかけになりました。腎臓疾患のお子さんたちとふれあう機会を重ねるうちに、この分野を深く学びたいと感じるようになったんです。大学病院ではネフローゼ症候群や腎炎、透析が必要なお子さんの治療など幅広い腎臓疾患に携わり、腎臓専門医の資格も取得しました。そうした経験が、今クリニックでお子さんの腎臓や排尿に関する悩みに対応する上で、大きな土台になっていると感じています。
来院するお子さんのために、院内で工夫されていることはありますか?

待合室に水槽を設置しており、魚が泳ぐ様子をお子さんたちが夢中で眺めていることが多いです。今後、モニターを設置して映像で興味を引くような取り組みも考えています。キッズスペースも設けていますので、待ち時間に遊んでいただくこともできます。院内は明るい色調で、リラックスできる雰囲気を大切にしています。受診の仕組みとしてはウェブでの順番予約を導入しており、インターネットやアプリで順番を確認できますので、順番が近づいてから来院されると院内でお待ちいただく時間が少なくて済むのではないかと思います。予防接種や乳児健診は一般診療と時間帯を分けて行い、感染症の症状があるお子さんは隔離室で対応しています。また、お車で来院される患者さんが多いので、駐車場は敷地内と北側に合わせて22台分を用意しています。
アレルギーやおねしょに腎臓専門医の視点から向き合う
日々の診療では、どのような症状のお子さんが多いですか?

一番多いのは風邪をはじめとした一般的な感染症です。季節によって手足口病やインフルエンザなどの流行もありますので、そうした急性疾患に幅広く対応しています。近年はアレルギーのご相談も増えています。大人だけでなくお子さんの花粉症も増加傾向にあり、アトピー性皮膚炎や食物アレルギーで受診される方も少なくありません。私自身、アレルギーの分野は勉強会にも参加しながら知識を深めてきました。今年からは舌下免疫療法も導入しています。スギ花粉やダニのアレルギーに対して、少量のアレルゲンを毎日摂取し、少しずつ体を慣らしていくことをめざす治療法です。アトピー性皮膚炎では軟こうの塗り方など日常的なスキンケアの指導も丁寧に行い、血液検査による診断にも対応しています。
ご専門の腎臓領域の知識は、クリニックの診療にどう生かされていますか?
腎臓専門医としての知識が特に生きるのは、おねしょや学校検尿で異常を指摘された場合の対応です。おねしょのご相談では、まず飲水のタイミングや排尿の習慣づけといった生活指導から始めます。記録をつけながら焦らず取り組んでいくことが大切で、お子さんの年齢や状況に合わせて段階的に進めていきます。生活面の見直しだけでは難しい場合には内服治療へ進み、さらに、おねしょを検知するとアラームが鳴る装置を使ったトレーニングを取り入れることもあります。便秘があるとおねしょや尿漏れに影響することもわかっていますので、排尿と便秘の関連にも目を配りながら総合的に診ていくことを心がけています。
お子さんやご家族と接する際に、大切にしていることを教えてください。

お子さんの目線に立った丁寧な診察を大切にしています。小さなお子さんは自分の症状をうまく言葉にできませんから、表情や様子にも目を配ります。親御さんには、今の病状や今後の経過、どのような時にまた受診したほうがよいかといった目安をわかりやすくお伝えするよう心がけています。不安を感じている方には、何でも相談してくださいと声をかけることも意識しています。小児科が内科と異なるのは、お子さんだけを診ていても良くならないことがある点です。家庭の背景や学校生活なども含め、周辺の環境をトータルで見なければなりません。医学的に正しいことに加え、ご家庭で無理なく続けられるかも一緒に考えていくことを大事にしています。
分院を開設し、地域の子育てを支えたい
今後、地域の小児医療のために取り組みたいことはありますか?

今年の11月に宇都宮市平出町に分院を開設する予定です。本院から車で30分ほどの距離で、周辺には小児科を専門とするクリニックが少ない地域です。お子さんの診療を内科のファミリークリニックで受けている方も多いと聞いていますので、小児科専門の医療を届けたいという思いがありました。本院と分院で休診日をずらしていることが特徴です。分院は火曜と土曜を休診とし、本院の休診日である水曜と日曜に診療します。患者さんの情報は両院で共有できる体制にしていますので、本院が休みの日に分院で受診いただくことも可能です。分院は理事長である父がメインで診療し、私も週1回担当します。休診日に急病で困るということがないよう、地域の皆さんの利便性を考えた体制づくりをめざしています。
クリニックを支えるスタッフの方々について教えてください。
開院当初から27年間勤めてくれている看護師がいます。一度定年を迎えましたが、再雇用でお願いしており、私が小学5年生の頃からの付き合いです。患者さんのこともよく知っていて、本当に心強い存在ですね。理事長である父は本院で週1回の診療を担当する他、お子さんの発達に関する相談にも対応しています。母もお子さんの発達や心の悩み、学校や家庭での困り事についてサポートしています。必要に応じて学校と連携することもあります。こうした家族とベテランスタッフの支えがあるからこそ、私も安心して日々の診療に向き合えています。チームワークを大切にしながら、一丸となってお子さんとご家族を支えていきたいと思います。
最後に、読者へメッセージをお願いします。

うれしかったのは、大学病院の小児科で診ていたお子さんが成長し、お母さんになってご自身のお子さんを連れて当院に来てくれたことです。そうした長いご縁を感じると、この道を歩んできてよかったと心から思います。お子さんの元気な姿を見られた時にも、続けてきてよかったなと感じます。気になることがあれば何でもお気軽に聞いてください。わかることは何でもお答えします。子育てをされている地域の皆さんが安心して過ごせて、お子さんが元気に育っていってくれること、それが私の一番の願いです。父から受け継いだこのクリニックを土台に、専門性も新しい取り組みも加えながら、地域の小児医療をさらに充実させていけるよう、これからも丁寧に取り組んでまいります。

