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平野 隆博 院長の独自取材記事

平野エンゼルクリニック

(鹿児島市/市立病院前駅)

最終更新日:2021/10/12

平野隆博院長 平野エンゼルクリニック main

鹿児島大学のあるエリアに位置する「平野エンゼルクリニック」は、まるで外国の邸宅のような雰囲気のクリニック。平野隆博院長は、鹿児島市立病院で13年間産婦人科の診療の研鑽を積んだ後、同クリニックを開院した。平野院長が大切にしていることは、「どんな時も妊婦さんとその家族のことを第一に考えること」。開院から22年目の今も、その想いは変わらずに診療を続けているのだそう。信念をしっかりと持った平野院長に、同クリニックの特徴や理念、そして取り組みについて話を聞いた。

(取材日2021年5月27日)

新しい分娩スタイルを用いて家族で迎える出産を

産婦人科の医師をめざしたきっかけを教えてください。

平野隆博院長 平野エンゼルクリニック1

もともと、医師をめざし始めたのは小学生の頃からでした。親の持病があったこともあり、病院に行く機会も多く、医師という存在に感銘を受けていたのだと思います。それから大学に進学し、学生時代は脳外科や産婦人科、救急医療などに興味を持っていました。その頃、義父が周産期医療の事務方をしており、周産期医療のすばらしさを聞く機会があったのです。その話を聞くうちに産婦人科への興味が強くなり、鹿児島市立病院の産婦人科で勉強したいと思い、産婦人科の道へ進むことを決心いたしました。こちらの病院では、産科医療や婦人科のがん治療、さらに体外受精や腹腔鏡下の手術など、専門的な医療にも携わることができたおかげで、今でもオールマイティーに対応できていると思います。

開院をするきっかけになった出来事はありますか?

開院したきっかけは、1年間のアメリカ留学に行った時のある発見でした。それは、LDR室を用いた分娩方式で、当時の日本の分娩の方法とまるで違うことにとても衝撃を受けました。LDRとは、リビングのような部屋に妊婦さんとご家族が入院し、陣痛から出産、分娩後の回復までを1つの部屋で行っていく方法です。分娩時にはベッドが分娩台になりますし、医療機器がドアの向こう側から表れて、そのまま自然と家族も一緒に分娩に立ち会っていただけます。このLDR室を用いた分娩では、ご本人はもちろん、ご家族もリラックスして過ごされている印象が大きく、これが家族でお産を迎えるということなんだな、と納得がいったんです。「妊婦さん1人だけで出産のときを過ごすのではなく、家族単位で出産を迎えさせてあげたい」と考えていた私は、まさにこれだと思いましたね。そして帰国後、このLDR方式を実現したいという思いから、開院へと至りました。

院内はとてもアットホームな温かな雰囲気ですね。

平野隆博院長 平野エンゼルクリニック2

院内は皆さまに安心してもらえるような空間となるよう、アメリカやヨーロッパの邸宅のリビングをイメージしています。また、あるバイオリニストとの出会いをきっかけに、この方の心温まる作品を数多く飾っております。どの作品も人間愛のあふれる作品で、私の考える家族を思う温かな気持ちと合致しているんです。中でも、当クリニックのために作製してくださったデザインのステンドグラスは圧巻なんですよ。3人の天使が優しく見守るような優しい絵は、当クリニックのシンボルとして多くの患者さんを癒やしてくれています。実は、このほかにもクリニック内のあちこちに作品を飾っており、かくれんぼしているんです。ご来院の際は、ぜひ探してみてくださいね。

世代を超えてつながりを持てるクリニックをめざして

婦人科の診療について教えてください。

平野隆博院長 平野エンゼルクリニック3

当クリニックでは、子宮がんや卵巣がんの検診、子宮筋腫や子宮内膜症の治療のほか、生理不順に関する相談、更年期障害、避妊の相談など広く対応しています。診療の際に心がけているのは、少しも聞き漏らすことなく患者さんの想いをお伺いするなど、とにかく患者さんとの対話を大切にすることです。これは私に限らず、スタッフにも常に心がけてもらうようにしています。一人ひとりの患者さんに耳を傾けて寄り添うことで、患者さんとの信頼を築けるようになると信じております。今では多くの患者さんが病気のことだけでなく、家族関係の悩みや心配ごとなどを話してくださるようになってきました。もちろん、当クリニックで解決できないことや方針に不安を感じる方には、他の医療機関をご紹介することも可能ですので、ご相談ください。

食事にもこだわりがあるそうですね。

平野隆博院長 平野エンゼルクリニック4

カロリーや栄養のバランスを考慮した院内食をベースにアレンジを加えた多彩なメニューを用意し、皆さんに喜んでもらえるよう工夫しています。味はもちろん、盛りつけや彩りにもこだわり、見た目も楽しんでもらえればと思っています。クリスマスやお正月などの行事食ならではの料理もあるんですよ。また、お子さんが誕生した際の「祝い膳」も皆さんとても楽しみにしてくださっています。クリニックの4階にあるギャラリーで、同じ時期に出産された方数人でテーブルを囲み、シェフが腕をふるったコース料理を楽しみながらリラックスしていただけたらうれしいですね。

開業から22年ですね。クリニックを続けてきて思うことはありますか?

長年積み重ねてきたことがやっとつながってきたなと感じています。というのも、当院でお生まれになったお嬢さんが、昨年、こちらで女の子をご出産されたのです。親から子へ、そして孫へと受け継がれていく命のつながりに携われたことに、目頭が熱くなりました。また、こちらで生まれたお子さんが成長し、ここで働くのが夢で看護学校に通っているという、うれしい話を聞いたり、近くの小学校の生徒さんたちがくれたお手紙に「ここで生まれたことをクリニックの前を通る度にお母さんから聞いています」と書いてあったりと、世代を超えて家族の歴史に刻まれていることを実感しています。22年間の間に多くの命の誕生に関われたことは、産婦人科の醍醐味かもしれませんね。

妊婦を心細くさせないサポートを

コロナ禍におけるお産の取り組みを教えてください。

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新型コロナウイルス感染症は、産婦人科でも大きな影響を受けました。特に、立ち会い分娩は、妊婦さんや赤ちゃんのことも考慮し、制限せざるを得ない状況になりました。この状況下でも、ご家族にとって一生の思い出となる出産を一緒に共有したいと思い、スマートフォンを使った立ち会い分娩を導入しています。里帰り出産だったとしても、オンラインでつながることで、遠くにいるご主人との一体感を感じていただければいいですね。これは、通常の分娩だけでなく、帝王切開の場合でも同じように対応が可能です。この方法だと直接立ち会うよりも、リラックスして立ち会える方も多いようですね。この取り組みは、今後も続けていけたらいいなと思っています。

無痛分娩も徐々に増えてきているようですね。

立ち会い分娩ができなくなったことにより、一人で痛みに耐えることへの不安から無痛分娩を希望される方が増えてきている印象です。また、分娩は痛みを伴うため、出産を経験し、次の妊娠にトラウマがある方や躊躇してしまう方もいるようです。そんな方でも、リラックスして出産に臨んでもらえるよう、当クリニックでは無痛分娩に対応しています。分娩時には麻酔を使用しますので、当然リスクは伴いますが、安全性に配慮して行っています。一人目は通常の分娩で出産し、二人目は無痛分娩にする、そういった選択肢もあるんだなと、知ってもらえたらうれしいですね。

最後に読者へメッセージをお願いします。

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新型コロナウイルス感染症の流行によって、不安な思いを抱えている方は少なからずいらっしゃると思います。これから先も制限される日々が続くかもしれません。そんな中でも、妊婦さんが心細い気持ちにならないよう、私たちもしっかりサポートしていきたいと思っております。出産は産んで終わりではなく、この先もずっとつながっていきます。育児に関して、悩みが出てくることもあるでしょう。そんな時、相談したり、不安を解消したり、産後も頼ってもらえるような、環境づくりを努めてまいります。人生において大切な出産を、当クリニックでご家族とともに乗り越えて心に刻んでもらえたらうれしいです。数多くの子どもたちの未来のスタートに立ち会えることを心から楽しみにしております。

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