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黒坂 一秀 院長の独自取材記事

黒坂内科

(世田谷区/桜上水駅)

最終更新日:2023/01/05

黒坂一秀院長 黒坂内科 main

「黒坂内科」が誕生したのは、1998年。“内科”といっても、看板に記されている診療内容は、内科、胃腸科、消化器科、皮膚科と幅広く、これまで体の不調を訴えるさまざまな患者を受け入れ、親身に相談に乗ってきた。現在の院長は、2代目の黒坂一秀先生。専門とするのは消化器科で、内視鏡のプロフェッショナルでもある。診療所に立つ傍ら、国立国際医療研究センターに非常勤医師として勤務。第一線の医療に携わっているという一秀先生。インタビューの途中、ふいに、天国に召された患者のことを思い出して涙ぐむ姿に、医師としてだけでなく、人としての温かさをみた。

(取材日2019年10月2日/更新日2022年12月28日)

ヒーローものに憧れた、やんちゃだった幼少期

先生のご出身はどちらですか?

黒坂一秀院長 黒坂内科1

生まれは埼玉らしいのですが、物心がついたときには東京にいました。本郷、白山、駒込、明大前など、けっこういろいろ引っ越しましたね。小さな頃のエピソードといえば、特撮ヒーローのヘルメットをかぶって変身ベルトを巻き、四輪車に乗って家の周りをパトロールしている写真がたくさん残っています。ほかには、パチンコ玉を飲み込んで逆さまに吊るされたこととか、覚えています(笑)。

かわいいですね(笑)。小さな頃の、将来の夢は?

父は医師で巣鴨で診療所を開いていたんです。駒込に住んでいる頃は、そこへちょくちょく遊びにいって父が働く姿を見ていましたから、何となく医師への憧れというのはありましたね。といっても、父から「医師になれ」とか「継いでほしい」とか言われたことは一度もありませんでした。実際、僕の姉も弟も、別の道を歩んでいますし。最終的に医学部をめざすことに決めたのは、高2〜3ぐらい。どうせ仕事をするなら、やはり人のためになり喜んでいただけることがいいなと思ったんです。

実際、医学部に入られて、勉強はいかがでしたか?

東京慈恵会医科大学だったんですけれど、毎日9〜17時頃まで授業がびっしり詰まっている上、単位を落とすと留年決定というようなカリキュラムだったんです。ですから、高校以上にさぼらず、真面目に通っていました。といっても、合間をぬって遊んだ楽しい思い出もいっぱいありますよ。

医学の勉強の中でも、特に興味のあった分野は?

黒坂一秀院長 黒坂内科2

国家試験が終わった後に、研修医として、大学病院のいろいろな科をまわる機会があるんです。まだ研修医の身ですから見ているだけのことも多い中、ある先生は「やらなくちゃうまくならないから」といって、内視鏡をどんどん触らせてくれたんですね。それがきっかけで、消化器系に興味をもつようになりました。研修医を経た後は、主に消化器科の医師として慈恵医大の付属病院に5年ほど勤め、のちに国立国際医療研究センターに移りました。

患者をいつまでも見守れる、病診連携

国立国際医療研究センターには、いつ頃まで?

黒坂一秀院長 黒坂内科3

いや、実は今も勤務しているんです。以前はもっと頻繁に通っていたんですけど、ここの院長をしていた父が高齢になり、仕事をリタイアしたため私が院長を引き継ぎ、診療所の勤務日を増やしていったんです。今では、ここの勤務が月、火、水、金、土曜。不定期ですが国立国際医療研究センターには木曜日に行っています。

今でも国立国際医療研究センターに勤務し続ける理由は何ですか?

やはり大きな病院にいると、第一線の治療に携われますし、新たな情報もどんどん入ってきますから、医師として大きな刺激になりますよね。また、診療所にいらっしゃった患者さんを大きな病院にご紹介しなければいけなくなったときにも、国立国際医療研究センターなら、よく知っている医師がたくさんいますし、病気の経過やデータを教えてもらうこともできる。だから安心して紹介できるんです。入院された方の場合は、医療センターに勤務している時に、「様子はいかがですか?」と顔を見に行けますしね。もちろん患者さんの症状によっては国立国際医療研究センター以外の病院をご紹介することもありますが、いずれにせよ、病診連携はとても大切だと思っています。

こちらのクリニックでもしっかりと機器が充実されていますね。

すべて最初からそろっていたわけではないのですが、患者さんのニーズに応じて、徐々に増えていきました。例えば、腹部超音波、動脈硬化検査の機器、24時間心電図。もちろん、僕の専門分野である消化器系を診る大腸カメラや胃カメラもあります。胃カメラについては、過去につらい経験をされた方も多いと思いますが、できるだけ苦痛を抑えられる機器を使っています。また、大腸カメラに関しては検査中にポリープなどが見つかった場合、その場で切除できる機器がありますので、検査と処置を同時に行うことも可能です。

苦痛を抑えられる胃カメラとは?

黒坂一秀院長 黒坂内科4

例えば、鼻から入れる経鼻内視鏡。これなら喉を通る必要がないので、「オエッ」という咽頭反射も抑えられます。といっても、「鼻から入れるのなんて嫌だ」という方がいらっしゃるのも事実。そうした方には従来どおり口からの胃カメラにしますが、できるだけ楽に受けられるよう、管の細いものを使い、希望があれば眠くなる薬も使用しています。

“天国からの贈り物”にこめられた、患者の想い

胃カメラと大腸カメラ。どんな症状を持つ方にお勧めですか?

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胃カメラについては、胃の不調を感じていなくても、ピロリ菌を持っている可能性があれば、ぜひ受診していただきたいですね。胃の病気の元となりやすいピロリ菌ですが、これは感染しますので、ご家族の中に菌を持っている方がいる場合も要注意です。一方、大腸カメラのほうは、ご家族で大腸がんを患ったことのある方がいる場合や、血便を発見したとき、下痢や便秘を繰り返すときなど。近年、食生活が欧米化していることもあり、大腸の病気は増えているんです。また、ストレスによって引き起こるIBSという病気で、ひどい下痢に苦しむ方もいます。「ちょっとおかしいな」と感じたら、我慢せずに、気軽に相談にいらしてください。“案ずるより産むが易し”というように、思い切って検査をしてしまえば、案外気が楽になって、症状も緩和されたりしますからね。

生活習慣病も増えていますが、患者さんにはどのようなアドバイスをされていますか?

歩く距離を延ばしたり、食事は腹八分目にしておくなど、無理なく続けられる方法を勧めています。といっても、80~90歳を超えて「毎日のご飯がおいしいんです」と言われる方に、食事制限が必要なのかは難しいお話ですね……。例えば以前、胃がんが見つかった90歳過ぎの患者さんがいたのですが、ご本人は「もう長生きしたし、手術はしたくないんだよね。ただ痛いのだけは嫌なんだ」と。結局、ご本人の思いをくんで薬による治療をし、今までどおりに毎日を楽しく過ごしていただくようにしました。残念ながら、しばらくして亡くなられてしまったのですが、その後に突然、その方から贈り物が届いたんです。生前、準備していらっしゃったんでしょうね。まさに“天国からの贈り物”です。ご家族の方々にも「父は心から納得して他界したはずです。ありがとうございます」と言われ、患者さんのお気持ちや、医師としてのあり方について考えさせられました。

最後に黒坂先生が診療の際に大切にされていることを教えてください。

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独りよがりにならず、常に患者さんの目線になってお話を聞き、わかりやすくご説明することでしょうか。そしてご納得いただいた上で治療を進めたり、お薬を渡すように心がけて、一人ひとりの患者さんに適した医療ができるよう、これからも診療にあたっていきます。

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