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三橋 純 院長の独自取材記事

デンタルみつはし

(世田谷区/下高井戸駅)

最終更新日:2024/02/21

三橋純院長 デンタルみつはし main

下高井戸駅から世田谷線の線路沿いに歩いて1分ほどの場所にある「デンタルみつはし」。2000年の開業当初から歯科用顕微鏡を導入し、20年以上にわたって顕微鏡歯科治療の実績を重ねている歯科医院だ。「当院では予防・メンテナンスから虫歯治療、根管治療や抜歯に至るまで、すべての処置に顕微鏡を使います。一方、歯科用顕微鏡を持つ歯科医院も徐々に増えてきましたが、正しく活用されているとは言い難い状況も。正しい知識と技術の普及にも尽力しています」と語るのは日本顕微鏡歯科学会の理事でもある三橋純院長。多忙な診療の合間を縫って、顕微鏡歯科治療全体のレベルアップに向けて奔走している。そんな三橋院長に、顕微鏡歯科治療のメリットや、同院ならではの取り組みについて詳しく話を聞いた。

(取材日2023年10月2日)

細部まで確認し質の高い処置につなげる顕微鏡歯科治療

顕微鏡歯科治療に早くから取り組んでいらっしゃったとか。

三橋純院長 デンタルみつはし1

開業準備中に歯科用顕微鏡と出合い、2000年の開業時より治療に活用してきました。今でこそ歯科用顕微鏡を持つ歯科医院も増えてきましたが、当時の認知度は低く、「歯科で顕微鏡なんてどう使うの?」と歯科医師から尋ねられたことも。以来23年、当院での診療をすべて顕微鏡下で行うとともに、独自に立ち上げたネットワークでの活動などを通じて顕微鏡歯科治療の普及や治療技能の向上に力を注いできました。当初は機器の導入セミナーを数多く開催していましたが、今は機器の活用を目的としたハンズオンセミナーに主軸を移しています。少しずつ歯科用顕微鏡の普及と認知の広がりを実感していますが、正しく活用されているかという点では課題を感じることも少なくありません。顕微鏡治療を希望したものの、実際にはあまり使ってもらえないケースもあるようです。顕微鏡歯科治療の質の向上には、今後も引き続き力を入れていきたいですね。

なぜ、歯科用顕微鏡を導入しようと思われたのですか?

最初の出会いは1993年です。夏休みにオーストリアのウィーン大学を訪れた際にスラビチェック教授が顕微鏡を使っているのを目にし、「こんなものがあるのか」と思いました。本格的に導入を考え始めたのは開業準備をしていた1999年のこと。一度実物を見に行こうと、御徒町にあったメーカーを訪れました。そこで、帰りに上野動物園に寄ることを楽しみについてきた、当時小学2年生の長女の口の中を見た時の衝撃は忘れられません。「人間の歯ってこんなに美しいものなんだ」と思いました。天然歯を拡大すると、先端は半透明で表面には砂丘にできる風紋のような模様が見えます。その美しさには思わず見とれてしまいました。同時に「こんなに美しい歯を削って人工的に介入することが、果たして良いことなのだろうか?」と感じました。「治療は最小限にとどめてできるだけ天然歯を残したい」と思い、その場で顕微鏡導入を決意したのです。

顕微鏡歯科治療とはどのような治療でしょうか。

三橋純院長 デンタルみつはし2

医科で手術に使うような顕微鏡を用いて行う歯科治療です。肉眼の約30倍まで拡大した視野で患部を確認しながら行えるので、より精度にこだわった治療につながります。治療内容自体は一般の歯科治療となんら変わらず、当院では予防・メンテナンスから虫歯治療、歯周病治療、根管治療、抜歯まで、すべての処置を顕微鏡下で行います。歯は小さく、口の中は暗くて狭い上、死角もありますから、肉眼頼りの治療にはどうしても限界があります。顕微鏡を使うと、歯と歯の間やかぶせ物との隙間のような細かい所までつぶさに観察できるので、見落としが少なくなります。例えば、以前の治療で虫歯をきちんと取ったつもりだったのに、顕微鏡であらためて見たら取り切れていなかったとか、根管をきれいにしたつもりだったのに見落としがあったとか、完全に抜いたつもりだった歯のかけらが残っていた、ということもあります。

美しい歯をあるがまま保つため、最小限の介入をめざす

顕微鏡歯科治療をすることで、より繊細な治療が可能になるのですね。

三橋純院長 デンタルみつはし3

顕微鏡歯科治療は、歯科医師の経験と技量を拡張し、治療の質を上げるためのツールです。肉眼では見落としてしまうようなごく初期の虫歯や、歯と歯の間、歯とかぶせ物の間などに生じた小さな病変などの発見に有用です。また、歯を削ったり詰めたりする際にも、従来の肉眼での治療では勘に頼らざるを得なかった部分まで細かく見ながら行えるので、より精密な処置につながるでしょう。健全な歯質はきちんと残しながら悪い部分のみをピンポイントで取り除いたり、かぶせ物をぴったりと合わせて装着したりすることで、患部の再感染を防ぎ、症状の再発を避けることにつながるのです。よく見えるがゆえに、私たち歯科医師サイドの問題意識も高まりますし、同時に問題があればその場でアプローチするため、治療の質のさらなる向上も期待できる。それが顕微鏡歯科治療の最大のメリットだと思います。

こちらで行う顕微鏡歯科治療の特徴を教えてください。

3台あるユニットに歯科用顕微鏡を設置していますが、すべて足元のペダルで処置中に自在に倍率・ピントの調整ができる電動顕微鏡です。顕微鏡下では高倍率になるほどピントが合う範囲が狭くなるため、頻繁な調整が必要になります。医科の手術では調整がスムーズな電動顕微鏡がスタンダードになっていますが、歯科では都度処置を中断して手動で調整を行う必要がある手動顕微鏡が主流です。当院では電動顕微鏡を使うことで低倍率から高倍率までを使い分け、シャープな映像を確認しながら処置を行います。また、患部への視線を自在に操るミラーテクニックを、すべての歯科医師はもちろん、歯科衛生士も習得しています。これにより「見える顕微鏡歯科治療」が実践できるのです。

どのような患者さんが多くいらしていますか?

三橋純院長 デンタルみつはし4

従来の治療で満足のいく結果が得られなかった方や再発を繰り返している方の他、セカンドオピニオンの相談で来られる方も多くなっています。また、「マイクロスコープで自身の現状を詳細に把握したい」という検診のご要望もあります。肉眼ではまったく問題のない口腔内でも、顕微鏡で見るとトラブルが見つかるケースは、想像以上に多いものです。

感染症対策に独自の工夫をなさっていると伺いました。

個室で行う診療では、顕微鏡ごとに患部をビニールのカーテンで覆うマイクロドレープを用いて飛沫感染を防いでいます。当院で考案したマイクロドレープは、飛沫は最小限に防ぎながら視野は確保できる、歯科用顕微鏡下ならではの感染症対策として、現在セミナーなどでもお勧めしているものです。他にも、ヨーロッパ規格のクラスBシステムで機器を滅菌したり、オゾンガス発生装置で空気を清浄したり、定期的な換気と消毒に取り組んだりと、安心して受診いただける環境づくりに力を入れています。

痛みなどの症状がない人こそ、顕微鏡歯科治療を

歯科医師をめざしたきっかけを教えてください。

三橋純院長 デンタルみつはし5

父が歯科医師だったことが一番の理由です。中学時代に作文で別の夢を発表したら、なぜか担任の先生から呼び出されて、「君はお父さんが歯科医師なのだし、歯科医師は誰もがなれる職業ではないんだぞ」と諭されたこともありました(笑)。その頃から少しずつ自覚するようになりましたね。口には出さなくても両親が期待していることはわかっていたので、大学受験の際には迷わず歯学部進学を決めました。父は引退してから私のセミナー動画のウェブ配信などを見て喜んでくれていたようで、少しばかりの親孝行ができたかなと思っています。

休日はどのように過ごされていますか?

休みの日は自宅で孫と遊ぶことが多く、夏はプール、冬はスキーにも遊びに行きますね。妻と一緒に出かけることもよくあります。また、最近では、しばらく積極的な活動ができていなかった講演活動や実習セミナーを通して、顕微鏡歯科治療の普及や、若い先生方の指導にあたっています。

読者に向けてメッセージをお願いします。

三橋純院長 デンタルみつはし6

顕微鏡というと「難しい根管治療などに使うもの」と思い込んでいらっしゃる方もいるようですが、1本の歯を丁寧に診ることで幅広い治療に役立ちます。特に痛みなどの症状がない人こそ、顕微鏡下での早期発見により、治療の選択肢が広がる可能性もあるのです。当院では治療中の様子を録画し、実際にご自身の口腔内の様子をその目でご確認いただきます。ごく初期の症状や検診でも、ぜひ顕微鏡を用いた歯科診療をご検討ください。

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