稲澤 かおり 理事長の独自取材記事
稲澤クリニック
(吹田市/山田駅)
最終更新日:2026/04/15
専門性の高い眼科診療の提供に努める「稲澤クリニック」。稲澤かおり理事長は日本眼科学会眼科専門医の資格を持ち、レーシック手術など数多くの手術に携わってきた眼科診療の専門家だ。0~100歳までを診るホームドクターとして、地域の目の健康を支えている。2児の母としての一面もあり、診療では子どもの健康を願う親心に寄り添っている。「常に新しい情報に敏感で、活気あるクリニックでありたいです」とほほ笑む稲澤理事長に、併設するデイケア施設の内容や、注力する子どもの近視診療などについて幅広く話を聞いた。
(取材日2024年12月16日/再取材日2026年2月9日)
小児の近視の診療に尽力
時代のニーズに合わせ、求められる医療に応えてきたそうですね。

2004年の開業以来めざしてきたのは、患者さまに「本当にここへ来て良かった」と思っていただけるクリニックであることです。地域のかかりつけ医として、目に関することならまず相談してもらえる存在でありたい。そのためには、時代のニーズに合わせて診療を進化させ続けることが欠かせないと考えてきました。新しい治療法や薬が出れば勉強し、全国の勉強会などにも積極的に参加して研鑽を重ねてきました。中でも小児の近視抑制治療は、私自身のライフワークです。こうした取り組みから、最近では各地のセミナーなどで講演するオファーも多くいただくようになりました。
小児の近視が増えている背景や、問題視されている点について教えてください。
小児の近視は以前からあるものですが、ここ数年で増加しています。特に2020年以降、スマートフォンなどのデジタル機器を使う時間が増えることにより、世界的に近視人口が増え、低年齢化も進んでいるといわれています。近視は「見えにくいだけ」ではなく、将来、緑内障や網膜剥離、近視性黄斑症など失明につながる病気のリスクを高めることがわかってきました。小児の近視は近年問題視され、2025年には近視進行抑制薬として承認された点眼薬が処方できるようになりました。2026年には、近視進行抑制の有用性のあるコンタクトレンズが発売が予定されています。今後も新しい治療法が増え、選択肢が広がることが期待されています。近視は「なってから治療するもの」ではなく、「進行を防ぐために治療し、子どもの将来を守るもの」という認識が広がってきています。
近視に対してどのような治療を提供しているのですか?

最近は、近視の進行を抑えるための治療も選択肢が増えています。今注目されているのが、2025年に国内承認を受けた、近視の進行を抑制するための低濃度アトロピン点眼薬です。近視が進みやすいお子さんにとって新しい選択肢として注目されています。それから、当院では以前からオルソケラトロジーにも力を入れており、多くの患者さんに処方しております。また、2025年8月には8歳以上のお子さんに使っていただける、進行抑制に対する有用性のある近視用コンタクトレンズが承認され、当院でも取り扱う予定です。近視治療は、進行が安定する18歳頃まで長く付き合っていくものになるので、お子さんの年齢や生活スタイル、費用面なども含めて、無理のない方法を一緒に相談しながら選んでいくことを大切にしています。
視機能トレーニングができるデイケア施設を併設
主な患者層や主訴を教えてください。

0~100歳まで幅広い世代の患者さんが来院され、地域柄、ファミリー層と長く住むご高齢の方が多いのが特徴です。お子さんは弱視や近視など視力に関する相談や、プールの季節には「はやり目」、春先には花粉症によるアレルギー性結膜炎が多いです。ご高齢の方は加齢に伴い発症リスクが高まる緑内障や白内障、加齢黄斑変性などです。中年層は角膜乾燥症(ドライアイ)や眼精疲労が多いです。長時間のパソコン作業や空調環境で、肌と同じように目が乾燥し発症しやすくなります。眼精疲労は思っている以上に合わない眼鏡を装用している方が多く、また40代後半辺りからはパソコンの距離に合わせた眼鏡を処方すると、びっくりするくらい楽になることが見込まれる方もいらっしゃいます。目が疲れやすいと感じる方は、プロの目で原因を追究して対策しますので、ぜひご来院ください。
通所リハビリテーション施設を整えられたとか。
以前分院で通所リハビリ、つまりデイケアを展開していた頃から、私自身も興味がありました。特に眼科が提供するデイケアはあまりなく、もしあればもっと私も関わっていけるのではないかと考えていたところ、タイミング良くクリニックの並びに空き店舗ができ、開設に至りました。特徴的なのは視機能トレーニングを取り入れているところ。例えば、「見る」機能を高めるために機器を用い、光が出ているところを手で押さえる運動をします。これは目と体との協応動作を利用したトレーニングです。他には目の遠近感にアプローチするためのトレーニングも取り入れています。また、理学療法士による個別プログラムなども行います。デイケア施設を通じて利用者さんたち同士が仲良くなり、「おしゃべりするのが楽しい!」と、笑顔になって帰っていただけるとうれしいです。
訪問診療にも対応されていると伺いました。

高齢の方や認知症の方など、ご希望があれば訪問診療を実施しています。受診は難しいけれど日に日に見えづらくなることに不安を感じておられる方はたくさんいらっしゃいます。院内で診療するのと同様に丁寧な説明を行い、可能な限りのことをいたします。状態を診て手術が必要だと判断した場合は、大規模病院へ紹介しています。患者さんとそのご家族のご要望によっては、ケアマネジャーや介護施設と協力しながら対応しています。患者さんを診察し、ご家族の方と力を合わせながら治療ができることに、とてもやりがいを感じています。
患者の立場に立ち、わかりやすい説明を心がける
普段の診療で心がけていることはありますか?

患者さんに安心して相談していただけるよう、話しやすい雰囲気づくりを大切にしています。眼科に限らず、患者さんは「どんな治療法があるのか」「悪化する可能性はあるのか」「改善は期待できるのか」といった点が気になるものです。十分な説明がないままだと、不安は大きくなってしまいます。当院では初診時に、「早めの治療がお勧めです」「しばらく様子を見ても良いでしょう」など、診療の見通しをお伝えするようにしています。期間や費用についても、できるだけ具体的な数字を示し、納得して治療を進めていただけるよう心がけています。また、働き盛りの世代の患者さんも多いため、受診回数をなるべく少なくする工夫も大切にしています。
場合によっては、はっきり意見を伝えることもあるとか。
大切なことをきちんと伝えるのも、医師の使命の一つだと考えています。そのため、必要なことはぼかさず、はっきりわかりやすくお話しするよう心がけています。例えば緑内障は、指示どおりに点眼を行わないと、悪化のリスクが高まる病気です。もし受診が途切れがちであれば、「目薬をきちんと使って、定期的に来てください」と率直にお伝えします。また、お子さんの弱視治療など、改善が見込める時期が限られる場合は、「将来困らないためにも、今の治療が大切です」と親御さんに説明するようにしています。スタッフが説明内容をメモにしてお渡しするなど、チームでフォローしています。
院内のアップデートも積極的にされているそうですね。

2022年6月に電子カルテを導入しました。以前は紙カルテだったので、患者さんが受診されたらカルテを探し、診療が終わったら元に戻す作業がありました。今はその手間がなくなり、スタッフの作業が圧倒的に少なくなりました。診療中も前回処方した薬の詳細など、欲しい情報をスムーズに引き出せるようになりました。また、2023年5月にはインターネット予約の受けつけを開始しました。待ち時間の負担軽減につながれば幸いです。
最後にメッセージをお願いします。
これからも、「本当に来て良かったと思えるクリニック」をめざして努めていきたいと考えています。また、「ここに来れば何か新しい提案をしてくれるかもしれない」と感じてもらえる存在でありたいですね。眼鏡やコンタクトレンズについて、「どこに相談すればいいかわからない」「こんなことで眼科に行っていいのかな」と迷っている方は多いと思います。使っている眼鏡の度数が合っていないだけというケースも考えられます。専門家の視点で調整するだけで、ぐっと楽になることも期待できます。どんな些細なことでも、気軽に相談していただけたらうれしいです。
自由診療費用の目安
自由診療とはオルソケラトロジー/検査・コンサルテーション1万円(税込み)、レンズ代(定額制) 両眼6600円/月(税込み)、低濃度アトロピン点眼薬による治療/4380円~(税込み)、近視進行抑制のためのソフトコンタクトレンズ処方/6600円~(税込み)

